みなさんは夏にはどんな短歌を作ってみたいですか?
夏は美しい景色だけでなく、身近にたくさんの風物詩が見つけられる短歌づくりには良い季節です。
しかし、どうすれば短歌に夏らしさを出すことができるのでしょうか?
そのヒントは「季語」にあります。
今回は俳句の世界で使われてきた「夏の季語」と高校生向け参考になる夏の短歌集をご紹介していきます。
短歌に夏らしさを出す!夏の季語を知ろう
短歌は「季語」を使う約束事はありませんが、短歌に夏らしさを出すためには「季語」を活用するのがとても効果的です。
ここでは、お天気や衣服・小物・食べ物・動物・植物と、夏らしさを出す季語をご紹介します。
作ってみたい短歌にあいそうな季語をまずは見つけてみましょう。
代表的な夏の季語【一覧】
【時候:天候】
夏 卯月 清和 五月 夏めく 立夏 初夏 若夏 小満 薄暑 皐月 六月 仲夏 芒種 田植時 麦の秋 入梅 梅雨寒 夏至 水無月 七月 半夏生 小暑 梅雨明 盛夏 夏暁 炎昼 夏の夕 夏の夜 短夜 明易 白夜 土用 三伏 大暑 暑し 炎暑 極暑 熱帯夜 冷夏 涼し 夏の果 晩夏 夏探し 夜の秋 秋近し 夏の日 夏の空 夏の雲 雲の峰 夏の月 梅雨の月 梅雨の星 卯月雲 風薫る 青嵐 南風 夏の雨 青時雨 薬降る 虎が雨 雹 虹 走梅雨 梅雨 五月雨 五月闇 梅雨晴 空梅雨 梅雨の雷 旱 夕焼け 炎天 朝曇 日盛 片蔭 西日 熱風 涼風 土用東風 雷 喜雨 露涼し 夕立 驟雨 雷雨 夏霧 海霧 雲海 朝凪 夕凪 風死す
【地理】
夏野 夏の山 お花畑 滴り 泉 清水 夏の川 瀧 噴井 夏の海 夏の湖 卯浪 植田 青田 田水沸く
【生活】
衣更 夏服 白服 白靴 レース 浴衣 夏帽子 麦藁帽子 日傘 サングラス ハンカチ 水着 新茶 筍飯 麦飯 豆飯 夏料理 鮓(寿司)土用鰻 冷素麺 冷やし中華 冷奴 冷汁 茄子料理 梅漬く 梅干す 麦茶 ラムネ サイダー ソーダ水 氷菓 かき氷 心太 白玉 ベランダ バルコニー 虫刺され 夏蒲団 網戸 扇風機 風鈴 団扇 冷房 花氷 冷蔵庫 ハンモック 噴水 避暑 暑中見舞 夏休 帰省夏季講座 帰省 泳ぎ プール 浮輪 サーフィン ヨット 登山 キャンプ 寝冷 バンガロー 夜店 水遊び 納涼 夜釣り 花火 ナイター 汗 日焼 昼寝 田植 日射病 草刈 雨乞 子供の日 母の日 父の日 鯉幟 ちまき 柏餅 祭 神輿 山車
【動物や植物】
雨蛙 蟇蛙 蛇 蜥蜴 時鳥 郭公 燕の子 海猫 夏燕 めだか 金魚 熱帯魚 鯵 鯖 穴子 蛸 烏賊 蛍 毛虫 蝉 空蝉 蟻 葉桜 えにしだ 牡丹 薔薇 新緑 若葉 青葉 夏草 青芝 万緑 夏木立 竹皮を脱ぐ 若竹 孟宗 孟宗竹 早苗 茄子の花 卯の花 花水木 茉莉花 木の花 沙羅の花 菖蒲 花菖蒲 鈴蘭 水芭蕉 睡蓮 蓮 芍薬 百合 紫陽花 カーネーション マーガレット ガーベラ アマリリス 時計草 鷺草 えんどう そらまめ キャベツ ニンニク 玉ねぎ らっきょう きゅうり 茄子 トマト 紫蘇 夏蜜柑 さくらんぼ 苺 枇杷 小梅 メロン バナナ パイナップル 昼顔 月見草 月下美人 蛍袋 葵 ダリア 金魚草 夕顔
高校生向け!!夏らしい有名短歌集【10選】
ここからは、高校生の方の参考になる夏の有名な短歌を10選ご紹介します。
まずは百人一首などの昔の短歌(和歌)からご紹介していきます。
【NO.1】良寛(良寛禅師歌集)
『 五月雨の 晴れ間にいでて 眺むれば 青田すずしく 風わたるなり 』
季語:五月雨
意味:続く五月雨の晴れ間に外に出て、周囲の風景を眺めてみると、青々と広がる稲の田に、初夏の風が涼しげに吹き渡っていますよ。
【NO.2】源俊頼(金葉和歌集)
『 風ふけば 蓮の浮き葉に玉こえて 涼しくなりぬ ひぐらしの声 』
季語:蓮
意味:風が吹くと、池に浮いている蓮の葉の上の水の玉が転がって、葉を越えて落ちていく。それにひぐらしの鳴く声も聞こえてきて、なんだか涼しくなってきましたね。
【NO.3】藤原基俊(金葉和歌集)
『 夏の夜の 月待つほどの手すさみに 岩もる清水 いくむすびしつ 』
季語:夏の夜、清水
意味:夏の夜、月がのぼるのを待ちながら、暇つぶしの手遊びで、岩から湧き出てくる清水を幾度すくったことでしょう。
※「手すさみ」は手遊びのこと。「むすびしつ」は両手で水を汲むこと。
【NO.4】従二位家隆(百人一首)
『 風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは みそぎぞ夏の しるしなりける 』
季語:夏
意味:風がそよいでいる「ならの小川」の夕暮れは、すっかり秋のように感じるけれど、小川で行われているの禊祓(みそぎはらい)が、まだ夏であることのしるしですね。
【NO.5】大伴家持(万葉集)
『 夏山の 木末(こぬれ)の茂に ほととぎす 鳴き響(とよ)むなる 声の遥けさ 』
季語:夏山、ほととぎす
意味:夏山の木のこずえの繁みで、ほととぎすがその声を鳴き響かせている。はるか遠くからではあるけれど。
※「木末」は梢(こずえ)。「遥けさ」は、はるかなこと。
ここからは明治以降、近代、現代の短歌をご紹介していきます!
【NO.6】前田夕暮
『 向日葵は 金の油を 身にあびて ゆらりと高し 日のちひささよ 』
季語:向日葵
意味:ひまわりは、まるで金色の油のような真夏の陽射しをあびて、ゆらりと高く咲いている。太陽がなんだか小さくみえるほどです。
【NO.7】与謝野晶子
『 夏のかぜ 山よりきたり 三百の 牧の若馬 耳吹かれけり 』
季語:夏
意味:さわやかな夏の風が山からふきおろしてきて、放牧されているたくさんの若い馬たちはいっせいにそのピンとたった耳を風に吹かれているところです。
※「三百の」とは、たくさんのという意味。
【NO.8】北原白秋
『 昼ながら 幽かに光る 蛍一つ 孟宗の藪を 出でて消えたり 』
季語:蛍
意味:昼間なのに、かすかな光をともした蛍が一匹、孟宗の竹藪からでてきて、どこかへ飛び去って見えなくなりました。
※「孟宗(もうそう)」は孟宗竹のことで、春に食べる多くはこの若芽です。
【NO.9】俵万智
『 思い出の 一つのようで そのままに しておく 麦わら帽子のへこみ 』
季語:麦わら
意味:麦わら帽子にへこみが出来てるけれど、思い出のひとつのようでなんだか愛おしく、そのままにしています。
【NO.10】斉藤斉藤
『 君の落とした ハンカチを 君に渡して ぼくはもとの 背景に戻った 』
季語:ハンカチ
意味:君の落としたハンカチを僕がひろって、君に渡したら、次の瞬間にはもうぼくは何事もなかったように、もとの背景に戻った。
こんな短歌もある!夏の素人短歌集【10選】
次はみなさんと同じ高校生の方のオリジナル短歌をご紹介します。
【No.1】ラムネ瓶の 底を覗いた 冒険譚 あなただけには 語りたかった
季語:ラムネ
意味:ラムネ瓶の底を覗いたときの冒険譚を、あなたにだけは話したかった。
【No.2】蝉の声 捲るページに 染み込んで 本の中身が 八月になる
季語:蝉、八月
意味:蝉の声がする部屋で読書している。捲るページに蝉の声がしみ込んで、本の中身が八月になってしまったようです。
【No.3】しっとりと トマトの皮を 剥く時の 指先が聴く 太陽の歌
季語:トマト
意味:しっとりトマトの皮を剥く時に、トマトが聴いた太陽の歌を、剥いている指先が聴いています。
【No.4】キャンプでの 楽しい思い出 苦笑い 撤収あとの 熱き温泉
季語:キャンプ
意味:キャンプでは楽しい思い出もあれば苦笑いもある。そして片付けて引き上げた後に入る熱い温泉が最高です。
※「撤収」は取り除いて引き上げることの意。
【No.5】爽やかに 素肌を冷やす 扇風機 お前はまるで 草原みたい
季語:扇風機
意味:爽やかな風で素肌を冷やしてくれる、扇風機、お前はまるで草原みたいだね。
【No.6】夏風の そよぐ縁側 よく冷えた 田舎の麦茶は とても美味しい
季語:夏風、麦茶
意味:夏風がそよいでいる縁側に座って飲む、田舎の麦茶はとても美味しいです。
【No.7】雷雨去り 雨だれの音間 遠くなる 庭に鈴虫 鳴きはじめたり
季語:雷雨
意味:雷雨が徐々におさまって、雨だれの音の間隔も短くなっていったころ、庭で鈴虫が鳴きはじめました。
【No.8】紫陽花に 容赦なく落つ 雨の糸 おもたきものよ 月曜の朝
季語:紫陽花
意味:糸のようにとぎれることなく降る雨が、容赦なく紫陽花に降っているのをみると、月曜の朝がより重たく感じられます。
【No.9】駅前の 小さき花屋に 人あふれ 母の日間近 花きゅーぴっと
季語:母の日
意味:駅前の小さな花屋さんに、いつになく人があふれていると思ったら、母の日が間近だ。花キューピットを頼むお客さんだったんだなあ。
【No.10】留守番で 父の日なのか 俺宛の アマゾンが来て 一人受け取る
季語:父の日
意味:ひとりで留守番していたら、自分宛の宅配便が届いた。注文したおぼえがないけど、今日は父の日だったかな?と、とりあえず受け取りました。
以上、高校生向け夏のおすすめ短歌集でした!
万葉集などの表現はむずかしいものが多いですが、現代の短歌の表現はとても自由です。