【夏の短歌 20選】高校生の宿題に最適!!夏らしいおすすめ短歌作品を紹介!

 

みなさんは夏にはどんな短歌を作ってみたいですか?

 

夏は美しい景色だけでなく、身近にたくさんの風物詩が見つけられる短歌づくりには良い季節です。

 

しかし、どうすれば短歌に夏らしさを出すことができるのでしょうか?

 

そのヒントは「季語」にあります。

 

今回は俳句の世界で使われてきた「夏の季語」と高校生向け参考になる夏の短歌集をご紹介していきます。

 

短歌職人
ぜひご参考にして夏の短歌にチャレンジしてみてください!

 

短歌に夏らしさを出す!夏の季語を知ろう

 

短歌は「季語」を使う約束事はありませんが、短歌に夏らしさを出すためには「季語」を活用するのがとても効果的です。

 

ここでは、お天気や衣服・小物・食べ物・動物・植物と、夏らしさを出す季語をご紹介します。

 

作ってみたい短歌にあいそうな季語をまずは見つけてみましょう。

 

短歌職人
季語は旧暦を基準としますので、立夏(五月六日ごろ)から立秋(八月八日ごろ)の前日までに使うのが夏の季語となります。

代表的な夏の季語【一覧】

 

【時候:天候

夏 卯月 清和 五月 夏めく 立夏 初夏 若夏 小満 薄暑 皐月 六月 仲夏 芒種 田植時 麦の秋 入梅 梅雨寒 夏至 水無月 七月 半夏生 小暑 梅雨明 盛夏 夏暁 炎昼 夏の夕 夏の夜 短夜 明易 白夜 土用 三伏 大暑 暑し 炎暑 極暑 熱帯夜 冷夏 涼し 夏の果 晩夏 夏探し 夜の秋 秋近し 夏の日 夏の空 夏の雲 雲の峰 夏の月 梅雨の月 梅雨の星 卯月雲 風薫る 青嵐 南風 夏の雨 青時雨 薬降る 虎が雨 雹 虹 走梅雨 梅雨 五月雨 五月闇 梅雨晴 空梅雨 梅雨の雷 旱 夕焼け 炎天 朝曇 日盛 片蔭 西日 熱風 涼風 土用東風 雷 喜雨 露涼し 夕立 驟雨 雷雨 夏霧 海霧 雲海 朝凪 夕凪 風死す

 

【地理

夏野 夏の山 お花畑 滴り 泉 清水 夏の川 瀧 噴井 夏の海 夏の湖 卯浪 植田 青田 田水沸く

 

【生活

衣更 夏服 白服 白靴 レース 浴衣 夏帽子 麦藁帽子 日傘 サングラス ハンカチ 水着 新茶 筍飯 麦飯 豆飯 夏料理 鮓(寿司)土用鰻 冷素麺 冷やし中華 冷奴 冷汁 茄子料理 梅漬く 梅干す 麦茶 ラムネ サイダー ソーダ水 氷菓 かき氷 心太 白玉 ベランダ バルコニー 虫刺され 夏蒲団 網戸 扇風機 風鈴 団扇 冷房 花氷 冷蔵庫 ハンモック 噴水 避暑 暑中見舞 夏休 帰省夏季講座 帰省 泳ぎ プール 浮輪 サーフィン ヨット 登山 キャンプ 寝冷 バンガロー 夜店 水遊び 納涼 夜釣り 花火 ナイター 汗 日焼 昼寝 田植 日射病 草刈 雨乞 子供の日 母の日 父の日 鯉幟 ちまき 柏餅 祭 神輿 山車

 

【動物や植物

雨蛙 蟇蛙 蛇 蜥蜴 時鳥 郭公 燕の子 海猫 夏燕 めだか 金魚 熱帯魚 鯵 鯖 穴子 蛸 烏賊 蛍 毛虫 蝉 空蝉 蟻 葉桜 えにしだ 牡丹 薔薇 新緑 若葉 青葉 夏草 青芝 万緑 夏木立 竹皮を脱ぐ 若竹 孟宗 孟宗竹 早苗 茄子の花 卯の花 花水木 茉莉花 木の花 沙羅の花 菖蒲 花菖蒲 鈴蘭 水芭蕉 睡蓮 蓮 芍薬 百合 紫陽花 カーネーション マーガレット ガーベラ アマリリス 時計草  鷺草 えんどう そらまめ キャベツ ニンニク 玉ねぎ らっきょう きゅうり 茄子 トマト 紫蘇 夏蜜柑 さくらんぼ 苺 枇杷 小梅 メロン バナナ パイナップル 昼顔 月見草 月下美人 蛍袋 葵 ダリア 金魚草 夕顔

 

 

高校生向け!!夏らしい有名短歌集【10選】

 

ここからは、高校生の方の参考になる夏の有名な短歌を10選ご紹介します。

 

まずは百人一首などの昔の短歌(和歌)からご紹介していきます。

 

【NO.1】良寛(良寛禅師歌集)

『 五月雨の 晴れ間にいでて 眺むれば 青田すずしく 風わたるなり 』

季語:五月雨

意味:続く五月雨の晴れ間に外に出て、周囲の風景を眺めてみると、青々と広がる稲の田に、初夏の風が涼しげに吹き渡っていますよ。

短歌職人
五月雨は梅雨自体のこと、または降ったり止んだりする梅雨時期の雨のことをいいます。しとしとと雨の降る日が続くなか、ある日パッと晴れたのに気づいた作者が外に出てみると、雨上がりの稲の田が涼しげで、いい風が吹いていたという歌です。雨のせいで小屋に籠りがちになっていた良寛が、風にあたりながらにこやかに青田をみている様子が目に浮かぶようです。

 

【NO.2】源俊頼(金葉和歌集)

『 風ふけば 蓮の浮き葉に玉こえて 涼しくなりぬ ひぐらしの声 』

季語:蓮

意味:風が吹くと、池に浮いている蓮の葉の上の水の玉が転がって、葉を越えて落ちていく。それにひぐらしの鳴く声も聞こえてきて、なんだか涼しくなってきましたね。

短歌職人
蓮の葉にはロータス効果という表面張力があり水分をはじきます。そのため蓮の葉にたまった雨水や露などはきれいな水晶玉のようにみえます。風が吹けば転がって、葉についた虫などと一緒に落ちていくのですが、それはとても涼し気な風景にみえるでしょう。(初秋の季語である)ひぐらしも鳴きはじめ、夏も終わりでもう涼しくなったねという気持ちを詠っています。

 

【NO.3】藤原基俊(金葉和歌集)

『 夏の夜の 月待つほどの手すさみに 岩もる清水 いくむすびしつ 』

季語:夏の夜、清水

意味:夏の夜、月がのぼるのを待ちながら、暇つぶしの手遊びで、岩から湧き出てくる清水を幾度すくったことでしょう。

※「手すさみ」は手遊びのこと。「むすびしつ」は両手で水を汲むこと。

短歌職人
夏は日暮れが遅いため、月を待つ昔の人は暑い思いをしながら待っていたのでしょう。湧き水を何度もすくって涼をとっていた作者。湧き水のひんやりとしたすがすがしさありがたく思いながら、のぼってくる月に思いをはせていたのでしょう。何とも静かな時が過ぎていく風景です。

 

【NO.4】従二位家隆(百人一首)

『 風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは みそぎぞ夏の しるしなりける 』

季語:夏

意味:風がそよいでいる「ならの小川」の夕暮れは、すっかり秋のように感じるけれど、小川で行われているの禊祓(みそぎはらい)が、まだ夏であることのしるしですね。

短歌職人
「ならの小川」は京都市にある上賀茂神社の境内を流れている御手洗川(みたらしがわ)のことです。「みそぎ」は「六月はらえ」のことで、穢れを払い落とす行事。この行事が終わると秋になるので「夏越しのはらえ」とも言われます。夏の終わりの涼しさを詠んだ歌です。

 

【NO.5】大伴家持(万葉集)

『 夏山の 木末(こぬれ)の茂に ほととぎす 鳴き響(とよ)むなる 声の遥けさ 』

季語:夏山、ほととぎす

意味:夏山の木のこずえの繁みで、ほととぎすがその声を鳴き響かせている。はるか遠くからではあるけれど。

※「木末」は梢(こずえ)。「遥けさ」は、はるかなこと。

短歌職人
静かな夏山をゆっくり歩いていた作者。突然、響き渡ってきたほととぎすの鳴き声に耳を傾け、趣を感じたことを詠っています。遠くから聞こえる鳥の声は山の深さも感じさせます。

 

ここからは明治以降、近代、現代の短歌をご紹介していきます!

 

【NO.6】前田夕暮

『 向日葵は 金の油を 身にあびて ゆらりと高し 日のちひささよ 』

季語:向日葵

意味:ひまわりは、まるで金色の油のような真夏の陽射しをあびて、ゆらりと高く咲いている。太陽がなんだか小さくみえるほどです。

短歌職人
日の光を金の油と言い換えて、向日葵のあでやかさや力強さを表現しています。印象派絵画の影響を受けて詠まれた歌で、向日葵は作者の好きな花でもあったそうです。

 

【NO.7】与謝野晶子

『 夏のかぜ 山よりきたり 三百の 牧の若馬 耳吹かれけり 』

季語:夏

意味:さわやかな夏の風が山からふきおろしてきて、放牧されているたくさんの若い馬たちはいっせいにそのピンとたった耳を風に吹かれているところです。

※「三百の」とは、たくさんのという意味。

短歌職人
爽快さと純粋さを感じさせ、夏の若き馬たちの躍動感も伝わります。作者の歌集に収められる前に、当時の少年雑誌に掲載されました。

 

【NO.8】北原白秋

『 昼ながら 幽かに光る 蛍一つ 孟宗の藪を 出でて消えたり 』

季語:蛍

意味:昼間なのに、かすかな光をともした蛍が一匹、孟宗の竹藪からでてきて、どこかへ飛び去って見えなくなりました。

※「孟宗(もうそう)」は孟宗竹のことで、春に食べる多くはこの若芽です。

短歌職人
「微かにひかる」ではなく「幽かに光る」としたのは、作者が蛍のかすかな光を「弱い光」というよりもむしろ「幽玄な光」と感じたからかもしれません。竹藪の薄暗さが作者に見せた、幻想的なひとコマです。

 

【NO.9】俵万智

『 思い出の 一つのようで そのままに しておく 麦わら帽子のへこみ 』

季語:麦わら

意味:麦わら帽子にへこみが出来てるけれど、思い出のひとつのようでなんだか愛おしく、そのままにしています。

短歌職人
教科書にも載った短歌なので、御存じの方も多いかもしれません。57549のリズムが特徴的で、上の部分がちょっとへこんだ女性用の麦わら帽子が目の前に浮かんできます。大事な思い出のようにそっとそのままにしておこうという感性に触れ、やさしい気持ちにさせられます。

 

【NO.10】斉藤斉藤

『 君の落とした ハンカチを 君に渡して ぼくはもとの 背景に戻った 』

季語:ハンカチ

意味:君の落としたハンカチを僕がひろって、君に渡したら、次の瞬間にはもうぼくは何事もなかったように、もとの背景に戻った。

短歌職人
もともと「君」の背景だった僕。落ちたハンカチを君に渡した後は、またもとの背景に戻ったけど、ハンカチを渡した時だけは「君」の背景ではなかったと詠っています。「7・8・5・6・9」のむずかしそうなリズムがとてもきれいです。ちなみにですが作者の名前は本名です。

 

こんな短歌もある!夏の素人短歌集【10選】

 

次はみなさんと同じ高校生の方のオリジナル短歌をご紹介します。

 

【No.1】ラムネ瓶の 底を覗いた 冒険譚 あなただけには 語りたかった

季語:ラムネ

意味:ラムネ瓶の底を覗いたときの冒険譚を、あなたにだけは話したかった。

短歌職人
レトロなラムネの空瓶には美しいものが多く、今のガラスとは違った手作りの魅力があふれています。海辺などに打ち上げられているものをわざわざ探しに行く人もいます。特に底の部分は瓶の作り手が、屋号や数字をいれているものなど不思議な魅力を持っています。作者はなにか、めずらしい発見をラムネ瓶の底にみつけたのかもしれません。ただ、興味のないひとにとってはどうでもよいこと。作者は冒険譚を「あなた」なら関心をもって聞いてくれるとおもって歌を詠んだのでしょう。

 

【No.2】蝉の声 捲るページに 染み込んで 本の中身が 八月になる

季語:蝉、八月

意味:蝉の声がする部屋で読書している。捲るページに蝉の声がしみ込んで、本の中身が八月になってしまったようです。

短歌職人
捲っているページに蝉の声がしみ込むという表現がいいなと思いました。実際のストーリーに蝉が鳴く夏が書き加えられてしまいそうなほどの蝉の声。数年経って、ふと同じ本を手に取ったときに表紙をみて「ああこれは夏の物語だったなあ」と思ってしまうかもしれませんね。

 

【No.3】しっとりと トマトの皮を 剥く時の 指先が聴く 太陽の歌

季語:トマト

意味:しっとりトマトの皮を剥く時に、トマトが聴いた太陽の歌を、剥いている指先が聴いています。

短歌職人
トマトが育ちながら聴いていたであろう太陽の歌(恵み)を皮を剥く指先で聴いている(感じ取っている)という作者。トマトの皮を剥きながら、人はどんなことをかんがえるだろうと想像が廻りました。

 

【No.4】キャンプでの 楽しい思い出 苦笑い 撤収あとの 熱き温泉

季語:キャンプ

意味:キャンプでは楽しい思い出もあれば苦笑いもある。そして片付けて引き上げた後に入る熱い温泉が最高です。

※「撤収」は取り除いて引き上げることの意。

短歌職人
キャンプの楽しさは、大自然のなかで何でも自分たちの手で協力しあって数日を共有することです。苦笑いするようなことがあっても、熱い温泉で全部帳消しです。キャンプに行きたくなってくる歌です。

 

【No.5】爽やかに 素肌を冷やす 扇風機 お前はまるで 草原みたい

季語:扇風機

意味:爽やかな風で素肌を冷やしてくれる、扇風機、お前はまるで草原みたいだね。

短歌職人
部屋の空気を直接冷やすクーラーとはちがって、人に向けて程よい風を送ってくれる扇風機。当たり前のように思っている日用品に、まるで草原のようと新たな視点を向けて爽やかに詠んだ歌です。

 

【No.6】夏風の そよぐ縁側 よく冷えた 田舎の麦茶は とても美味しい

季語:夏風、麦茶

意味:夏風がそよいでいる縁側に座って飲む、田舎の麦茶はとても美味しいです。

短歌職人
とくにひねりがあるわけでもないのですが、日本の田舎のほのぼのとした空気感がゆったりと伝わります。作者は日ごろ都会に住む方なのかもしれません。気持ちがほっこり和むような歌です。

 

【No.7】雷雨去り 雨だれの音間 遠くなる 庭に鈴虫 鳴きはじめたり

季語:雷雨

意味:雷雨が徐々におさまって、雨だれの音の間隔も短くなっていったころ、庭で鈴虫が鳴きはじめました。

短歌職人
激しい雷と雨音が、すこしずつやわらいでいく様子に耳をすましていた作者。やっと止んだと思ったら鈴虫の声。一雨ごとに秋になっていく風情を詠んだ歌です。

 

【No.8】紫陽花に 容赦なく落つ 雨の糸 おもたきものよ 月曜の朝

季語:紫陽花

意味:糸のようにとぎれることなく降る雨が、容赦なく紫陽花に降っているのをみると、月曜の朝がより重たく感じられます。

短歌職人
月曜の朝、こんな雨だったらちょっと憂鬱になりますよね。雨の糸と表現したことで、重たげに雨にうたれる紫陽花への想像力をかきたてられます。雨が早くあがってほしい気持ちになります。

 

【No.9】駅前の 小さき花屋に 人あふれ 母の日間近 花きゅーぴっと

季語:母の日

意味:駅前の小さな花屋さんに、いつになく人があふれていると思ったら、母の日が間近だ。花キューピットを頼むお客さんだったんだなあ。

短歌職人
いつもの帰り道に、いつもとは少し違う光景をみた作者。小さな花屋の店先に、母の日を思う人たちの思いがあふれている風景をやさしいタッチで詠った歌です。

 

【No.10】留守番で 父の日なのか 俺宛の アマゾンが来て 一人受け取る

季語:父の日

意味:ひとりで留守番していたら、自分宛の宅配便が届いた。注文したおぼえがないけど、今日は父の日だったかな?と、とりあえず受け取りました。

短歌職人
後書きに「シャツをもらいました」とあり、家族からのプレゼントだったことが判明しています。おそらくご家族は、夕食のお買物かなにかでお出かけだったのでしょう。コミカルで微笑ましい歌です。

 

以上、高校生向け夏のおすすめ短歌集でした!

 

万葉集などの表現はむずかしいものが多いですが、現代の短歌の表現はとても自由です。

 

短歌職人
目にとまった風景や心に残った出来事を「季語」をうまくとりいれて、あなたらしい短歌をぜひ作ってみてくださいね。