【冬の短歌 厳選20選】高校生の宿題に最適!!冬らしいおすすめ短歌作品を紹介!

 

高校生のみなさん、冬の短歌を作るときに、冬らしさを表現するのがむずかしく感じることはありませんか?

 

短歌と同じ定型詩の俳句には「季語」を使うルールがありますが、短歌にはそのルールがありません。

 

そのため逆に季節の表現がむずかしいことがあるのです。

 

今回は、冬らしさを出す季語とそれを使った短歌作品20選ご紹介いたします。

 

短歌職人
ぜひご参考にして冬の短歌にチャレンジしてください!

 

短歌に冬らしさを出す!冬の季語を知ろう

 

そもそも季語とは「日本の四季である春:夏:秋:冬のうち特定の季節を表すために定められた言葉」のことです。

 

繰り返しになりますが、短歌には「季語」は必ずしも必要ではありません。

 

しかし、冬らしさを出すためにはこの「季語」を使うのが最も効果的とも言えます。

 

冬らしさを出すためにはこの「季語」から好きなものを選び出して使うのが最も効果的です。

 

みなさんが使いやすいと思われる冬の季語を以下にご紹介します。

 

短歌職人
季語は旧暦を基準としますので、冬は「今の11月初旬ごろ〜1月の中頃過ぎのこと」を指しますが、ここでは現代の感覚で「冬らしい」と感じる季語をピックアップしてご紹介します。

 

代表的な冬の季語【一覧】

 

【時候:天候

冬 冬の~(冬の星など)雪 小雪 大雪 霜 霰(あられ)霙(みぞれ)初雪 吹雪 雪晴 雪女 風花 時雨 ダイヤモンドダスト 樹氷 凍る 寒し 冷たし 冴ゆる 凍る 厳寒 霜月 十二月 一月 師走 行く年 大晦日 冬深し 春を待つ 短日 オリオン 空風 北風 隙間風 冬銀河 冬日 冬北斗 立冬 冬至 冬日和 晩冬

 

【地理

冬の~(冬の山など)枯園 枯野 寒潮 冬景色 冬野 山眠る 初氷 凍滝 波の花 氷海 雪山 雪野 凍土 霜柱 冬山河 冬野 氷柱 氷海

 

【生活

アイスホッケー スケート スキー ラグビー ストーブ 焚火 炭火 炬燵 暖房  火事 消防車 風邪 咳 マスク 湯ざめ 息白し 毛糸編む 毛皮 コート 冬服 ブーツ 冬帽子 セーター マフラー 手袋 膝掛 毛布 蒲団 ホットドリンク   釜揚うどん 鍋焼き 寄せ鍋 雑炊 湯豆腐 柚子湯 納豆 今川焼 焼き芋 餅 おでん 勤労感謝の日 七五三 クリスマス 冬休み 年越し 雪祭 除夜の鐘

 

【動物や植物

冬眠 兎 雪兎 狼 狐 鷹 狸 千鳥 鶴 鴨 梟 鷹 水鳥 白鳥 落葉 枯木 枯草 枯葉 木の葉 冬枯 冬木 冬木立 冬芽 冬草 カトレア 山茶花 寒椿 クリスマスローズ 枇杷の花 シクラメン ポインセチア 冬すみれ 水仙 葉牡丹 冬薔薇 侘助 寒梅 蕪 大根 人参 葱 生姜 冬林檎 蜜柑 冬苺 ブロッコリー 白菜 河豚 甘鯛 鱈 牡蠣 蟹

 

【新年

新年 新玉 初春 正月 元旦 初空 初茜 門松 若水 雑煮 数の子 黒豆 年賀 年賀状 初夢 新年会 初売り 福袋 獅子舞 かるた 初詣 七草粥

 

 

高校生向け!!冬らしい有名俳句集【10選】

果実を雪します。, 冬, 風景, 植物, 天気予報, 自然, 成長, 赤, ホワイト, マクロ

 

それでは季語が使われている冬らしい有名な短歌を10選ご紹介します。

 

【NO.1】山部赤人(百人一首)

『 田子の浦に うちいでてみれば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ 』

季語:雪

意味:田子の浦の海岸に出てみると、真っ白な布をかぶったように雪を頂いた見事な富士山がに見える。そしてそこには今も雪が降り続いている。なんと美しい景色だろう。

※「白妙」(しろたえ)とはコウゾ類の木の皮の繊維で織った純白の布のこと。「月」「雲」「雪」「波」など白いものにかかる枕詞で、ここでは富士に掛かっています。

短歌職人
海岸から富士山を眺めると、まるで純白のヴェールをまとったように繊細で、なおかつ雄大な富士山の姿があった。そしてそこには今もしんしんと雪が降りつもりつつあるという光景にとても清らかな静寂を感じます。

 

【NO.2】清原深養父(古今和歌集)

『 冬ながら 空より花のちりくるは 雲のあなたは春にやあるらむ 』

季語:冬

意味:冬なのに空から花が降っている。雲の向こう側は春なのでしょうか。

短歌職人
ふんわりと降ってきた雪を白い花に見立てて、近い春を待っている気持ちを詠っています。※「雲のあなた」は「雲の向こう側」の意味。

 

【NO.3】大伴家持(新古今和歌集:百人一首)

『 かささぎの 渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞふけにける 』

季語:霜

意味:かささぎが渡した天の川のような宮中の階段に真っ白い霜がおりている。夜もずいぶんと更けたのだなあ。

短歌職人
かささぎの橋とは天の川のことですが、宮中の御殿と御殿を結ぶ橋や階段を天上にたとえてこう呼ぶことがあります。夜が更けて、暗い周囲に浮かんで冴える霜の降りた真っ白な天の川のような眺め。作者の白い吐息も見えるようです。

 

【NO.4】清原元輔(拾遺和歌集)

『 冬の夜の 池の氷のさやけきは 月の光の磨くなりけり 』

季語:冬

意味:冬の夜の池の氷が清らかにも冴えているのは、月の光がきらきらと美しく照らすからなのですね。

短歌職人
氷のはった夜の池。光がなければ闇にしか見えません。まるで鏡を磨いたように池の氷を美しく見せていた月の光。しんとした冬の静謐さと繊細な煌きを感じさせます。作者は清少納言の父親で、その洒脱な人柄を清少納言が受け継いだといわれています。

 

【NO.5】藤原定家(新古今和歌集)

『 駒とめて 袖打ち払ふ陰もなし 佐野のわたりの雪の夕暮れ 』

季語:冬

意味:馬をとめて、袖に積もった雪を払い落とすような物影すらない。佐野の渡し場の雪の夕暮れどきよ。

※「駒」は馬。「佐野のわたり」は(おそらく当時の奈良県)の船の渡し場のこと。

短歌職人
降る雪を避けられるような物陰もなく、肩に積もった雪も払い落とせないまま馬をどうにか進めている情景。どこか休めるところがあればと感じているのでしょう。旅人としてのつらさの中にも「雪」と「夕暮」を詠みこんだことで、より格調高く優美さを感じる描写になっています。

 

ここからは、明治以降の歌人や作家の短歌をご紹介していきます!

 

【NO.6】若山牧水

『 こころよき 寝覚なるかも冬の夜の あかつきの月玻璃窓(はりまど)に見ゆ 』

季語:冬

意味:冬の夜にここちよく目が覚めたら、ガラス窓から夜明け前の月が見えています。

短歌職人
冬の夜、まるで月に誘われるように目覚めた作者。冬だからこそのガラス越しの月。窓からちょうどきれいに見える位置に月があるとき、心地よく目覚めたという、偶然の楽しさも感じられます。※「玻璃窓」はガラス窓のこと。

 

【NO.7】樋口一葉

『 あらたまの 年の若水くむ今朝は そぞろにものの嬉しかりけり 』

季語:若水

意味:今朝は元日、若水を汲んでいます。なんとなくですが、こころ嬉しいものです。

短歌職人
若水とは元旦の朝に初めて汲む水のことで、この水を飲むと一年の邪気が払えるといわれています。なんとなくだけど、そのような元日がうれしいですという、ささやかな女性の心の機微を歌っています※「あらたまの」は枕詞(まくらことば)で、「年」「月」「日」「春」などにかかります。「そぞろに」はなんとなくの意。

 

【NO.8】伊藤佐千夫

『 朝清め 今せし庭に山茶花の いささか散れる人の心や 』

季語:山茶花

意味:朝の庭掃除を今やり終えたばかりですが、山茶花の花びらがほんの少し、人の気持ちが動くかのごとく散っていました。

※「朝清め」とは朝の掃除のことです。

短歌職人
きれいに掃除をしたはずなのに、ふと振り返るともう山茶花の花びらがはらりと散っている。時とともに移ろう人の心のようだなと感じた作者。

 

【NO.9】土田耕平

『 草まくら 時雨ぞ寒きわが友の なさけの羽織いただきて着む 』

季語:時雨

意味:旅先で冬の雨にうたれて寒い思いをしたが、旅の宿で仲良くなった人が気の毒がって羽織をくれた。ありがたいことです。

※「草まくら」は旅にかかる枕詞。

短歌職人
冷たい冬の雨にうたれると、心も身体も冷え切ってしまいます。羽織と友人の気持ちになさけを感じた作者。旅にあってはなおさらのことだったでしょう。

 

【NO.10】斉藤茂吉

『 枇杷の花 冬木のなかににほへるを この世のものと今こそは見め 』

季語:枇杷の花

意味:枇杷の花が冬枯れしている木立のなかで香っている。この世ではもう見納めになるかもしれない、よく見ておこう。

短歌職人
茂吉が晩年に自身の死を意識して詠んだ歌。冬枯れの中で咲く枇杷の花はいささか地味で目立たない花ですが、とてもやさしい香りを周囲に放ちます。そんな目立たない花はもう見られないかもしれない、今見ておこう、という悟りきった歌人の姿を見るようです。ちなみに作者の息子は医師で作家の斎藤茂太と北杜夫です。

 

こんな俳句もある!冬の素人俳句集【10選】

雪, 冬, 冷, バックカントリーSkiiing, 雪マジック, 子, 足跡, 再生, 楽しい, 欲望, 手袋

 

次はみなさんと同じ高校生の方のオリジナル短歌をご紹介します。

 

【No.1】白猫に 雪と名付けてそれからは 毎日あたたかい冬である

季語:雪

意味:白い猫が家にきた。雪と名付けたけれど、毎日一緒にあたたかく過ごす冬です。

短歌職人
新しく家族になった猫の毛並みは雪のように真っ白。雪という名前だけど、だっこするとあたたかい。柔らかでやさしさの伝わる歌。

 

【No.2】マフラーが 落ちないように巻きつける 母の手を今思い出している

季語:マフラー

意味:マフラーを落ちないように巻きながら、母の手の温かみを思い出しています。

短歌職人
マフラーを落とさないようにとしっかり巻いてくれていたお母さん。こだわりの同じ巻き方を、きっと作者は今もしているのでしょう。子供のときのあたたかい思い出がうかがえます。

 

【No.3】オリオンの 光届かぬ街路樹に 背を持たせつつ待つも遅けり

季語:オリオン

意味:冬の星座オリオンもよく見えない街中で、街路樹にもたれて待ち合せをしているけれど、待ち人はまだやってきません。

短歌職人
待ち合せ中。街路樹にもたれてたいくつしている。この方向なら夜空にオリオンが見えるはずだけど、それも見えない…という風景。作者がいるところは街の明かりで、星がかすんでいるのかもしれませんね。

 

【No.4】ふと開く LINEの空に雪が降る あ!そうだ 今日はクリスマスイブ

季語:雪、クリスマス

意味:いつものようにふとLINEを開いたら、画面に雪のアニメショーン。今日はクリスマスイブだと気がついた。

短歌職人
今日がクリスマスイブだとつい忘れていた作者。LINEのサービス画像ではっと気がついた、その瞬間の楽しい気持ちが伝わってきます。

 

【No.5】寒い朝 寒い日中寒い夜 こたつに集まる我らは家族

季語:寒い、こたつ

意味:寒い朝も、お昼も、夜も、気がついたらこたつに集まっているのが、我らが家族なのです。

短歌職人
特に声をかけあうでもなく、こたつで温まりたくて各自の部屋からでてくる面々が思い浮かびます。テレビを見たり新聞を読んだり、みかんを食べたり、特に会話がなくとも仲の良い家族への愛着が、最後の「我らは家族」でストレートに伝わってきます。

 

【No.6】初もうで 柏手二回鈴鳴らし 平和を祈念こうべを垂れて

季語:初もうで

意味:初詣にいった。柏手を二回打って鈴を鳴らし、頭を下げつつ平和を祈りました。

短歌職人
初詣では、誰もがきっとこのように祈念しているのですが、あらためて短歌に詠んでいるものを鑑賞すると、作者の平和を祈る真摯な気持ちが、自身の個人的な平和から、世界の平和までをも含んでいるとしみじみ感じられる歌。

 

【No.7】凍えたる 朝の気配は透明に すべての時を止めると見えて

季語:凍えたる

意味:凍えるような朝がきて、その空気は透明です。そしてすべての時を止めてしまいそうです。

短歌職人
夜明け頃、しんしんと冷える静かな朝の冷気に、まるで時間までが透明な氷のように止まってしまいそうと、寒さをとてもきれいに詠んだ歌。

 

【No.8】しろたへの 雪の野原を蹴り上げて 跳ねる兎の夢など思ふ

季語:雪、兎

意味:真っ白い雪の野原に積もった雪を蹴りながら、跳ねるうさぎの夢をみたなあと思っていました。

短歌職人
以前に雪の野原で、うさぎや冬鳥と出会うのを楽しみに散策していた作者が、跳ねるうさぎを夢にみたことや、当時のことを懐かしく思い出した気持ちを詠んだ歌。※「しろたへの」は「月」「雲」「雪」「波」など、白いものにかかる枕詞。

 

【No.9】手袋の 片方のみが杭の上 相方探し寂しさうなり

季語:手袋

意味:手袋の片方だけが、杭の上にひっかけられている。もう片方を探しているようで、淋しそうです。

短歌職人
落とし物の手袋が目にはいった作者。寒空の下、杭の上からもう片方を探しているようにみえたのでしょう。目にとめる人もおそらく少ない風景に心を寄せた作者の優しい気持ちが伝わる歌。

 

【No.10】藍空に 冴え三日月の傾きて 街を行く人みな息白し

季語:冴え、息白し

意味:藍色のようにうす暗い空に傾いた三日月が冴えていて、街を行く人たちはみな白い息です。

短歌職人
藍色は少しくすんだ青色。暮れなずむ空に傾いた三日月が冴え、足早に街を歩く人々の白い息と相まって、しんしんと寒そうな都会の風景を詠んだ歌。

 

以上、高校生向け冬のおすすめ短歌集でした!

 

百人一首や古今和歌集に載っているような古典はむずかしく感じますが、現代語であれば試しにいくつか作るうち、かならずコツがつかめてくるものです。

 

短歌職人
みなさんの冬の日常やイベント、思ったこと感じたことなどに季語をからめながら、ぜひ冬の短歌にチャレンジしてみてくださいね!