【青の短歌 20選】知っておきたい!!季語を含む有名短歌&素人短歌を紹介!

 

皆さんは、青に関する短歌をどのくらいご存じでしょうか。

 

青とひとくちに言っても、様々な青の表現があります。

 

 

今回は、「青」に関する有名短歌やおすすめ短歌をご紹介します。

 

短歌職人
有名なものから素人の方が作ったものまで幅広く紹介していきます。ぜ
ひ短歌作りの参考にしてみてください!

 

青に関する有名短歌【おすすめ10選】

 

【NO.1】小野老

『 青丹(あおに)よし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり 』

意味:奈良の都は、花が美しく香るように今盛りをむかえている。

短歌職人
青丹とは、平城京の瓦と柱の色を指すといわれています。鮮やかな平城京と華やかに咲き誇る花が都の栄華を祝福しているかのようです。

 

【NO.2】詠み人知らず

『 人魂の さ青なる君が ただひとり ありへし雨夜(あまよ)の 葉非左(はひさ)し思ほゆ 』

意味:人魂の君がさまよっている。雨の夜に出会った私についてくるように思える。

短歌職人
少し怖い印象のあるこの短歌ですが、人魂になったその人は作者にとってどんな方なのでしょうか。心理的な描写がないぶん、ついてくる人魂が懐いているようで少し可愛くも思えます。

 

【NO.3】境部王

『 虎に乗り 古屋を越えて 青淵(あおふち)に 蛟竜(みずち)捕り来む 剣太刀(つるぎたち)もが 』

意味:虎に乗って古屋を越えて、青い淵にいる竜を捕らえることができる剣があったら。

短歌職人
脳内の空想を歌にしたものです。空想通りに神秘的な青い淵で竜をとらえることができたらさぞ爽快だろうと思います。ファンタジーな世界観が格好いいと感じます。

 

【NO.4】柿本野人麻呂

『 青駒(あおこま)が 足掻(あが)きを速み 雲居(くもい)にぞ 妹(いも)があたりを 過ぎて来にける 』

意味:青駒の進むのが速いので、遠くにいる妻が見えなくなってしまった。

短歌職人
青駒とは、青馬のことを言うそうです。風のように進んでいく青駒の疾走感も良いですが、愛する妻の姿ならばもう少し見ていたかったからもう少し空気を読んでくれよ、とでも言いたげな作者の落胆が伝わってきます。

 

【NO.5】若山牧水

『 白鳥は かなしからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ 』

意味:白鳥は、哀しくないのだろうか。空や海の色にも染まらずに漂っている。

短歌職人
空に海にと、青に囲まれた風景の中で真っ白な白鳥がたたずんでいるさまを、作者は哀しくないのかと感じたようです。何にも染まらない白さこそが白鳥の美しさであると思います。

 

【NO.6】若山牧水

『 この枝は 風に折れたり 折れながら 青くちひさき 實(み)をつけてをる 』

意味:この枝は、風に吹かれて折れながらも青くて小さい実をつけている。

短歌職人
風にあおられ傷ついてもなお実をつける枝の力強い生命を感じられる歌です。その実が大きく成長することを祈らずにはいられません。

 

【NO.7】与謝野晶子

『 青白し 寒しつめたし もちづきの 夜天(やてん)に似たる しら菊の花 』

意味:白菊の花は、青白くて冷たげな満月の夜に似ている。

短歌職人
花を無機質に例えることで、美しい花に凄惨な印象が足されたように感じられます。しかし、冷たい印象だからこそこの花は美しいのかもしれません。

 

【NO.8】俵万智

『 その青い 花の名長し 水無月に あなたがくれた花と覚える 』

意味:花の名前を教えてもらったけれど長くて覚えられないので、6月にあなたがくれた花としておぼえましょう。

短歌職人
素敵な花の覚え方だと思います。その花をみるたびに相手のことを思い浮かべられますよね。また、名前が長いからという素直な感覚がかわいらしいです。

 

【NO.9】俵万智

『 ぶらんこに うす青き風 見ておりぬ 風とよばねば 見えぬ何かを 』

意味:ぶらんこが揺れているのを見て初めて風が見える。

短歌職人
風は直接目に見えるものではないけれど、物を通してこそ初めて見えるものなのだという感覚を思い出させてくれる歌です。風という定義を初めて作った人の偉大さも同時に感じられます。

 

【NO.10】島木赤彦

『 まばらなる 冬木林(ふゆきばやし)に かんかんと 響かんとする 青空の色 』

意味:身を打つような寒さの中、まばらに生えた木々の間から青空が広がっている。

短歌職人
空気の澄んだ冬の青空って本当に美しいです。木々の隙間から見える冬空が鮮烈で強いコントラストをまとって目に飛び込んできそうです。

 

青に関する素人オリジナル短歌【おすすめ10選】

 

【NO.1】『 梅雨時期の 薄曇りの空 見上げしは 青い露草 小さなため息 』

短歌職人
すっきりとしない天気に鬱々とするような、なんとなくアンニュイな気分になるような歌です。露草の花そのものがため息のように儚く見えてきそうです。

 

【NO.2】『 高き空 青の天幕(てんまく) 裂くように 鋭き百舌(もず)の 秋告げる声 』

短歌職人
美しい晴天に百舌の切りつけるような鳴き声が秋を認識させてくれる、清々しい歌です。鳴き声で鳥の名前がわかるような、自然を愛する素敵な人になりたいものです。

 

【NO.3】『 夏の空を抉(えぐ)る向日葵(ひまわり) ただ咲いて ふたりで青のなかに枯れたい 』

短歌職人
「青のなかに枯れたい」という言い回しが独特で素敵です。向日葵のもつインパクトに圧倒されますし、時期を終えて俯くようにして枯れる向日葵も切なさを感じられて趣があります。

 

【NO.4】『 田舎から 箱いっぱいの 青蜜柑(みかん) すっぱい顔が ひょっとこみたい 』

短歌職人
家庭での一幕が微笑ましいです。箱いっぱいに送られてきた蜜柑の数だけ送り主からの愛を感じられて、幸せな気分になります。まだ青い蜜柑を待ちきれずに食べておかしな顔になってしまうのも面白いです。

 

【NO.5】『 私しか いないのに赤になり青になる 水無月の横断歩道 』

短歌職人
自分しかいないにも関わらず機械的にただ赤と青を繰り返すのみの信号機に滑稽さを感じます。誰も見ていないのに、車も通らないのに愚直に信号を守る自分を可笑しく思うとともに、そんな自分が愛おしいと思える歌です。

 

【NO.6】『 雨ごとに 青さを増せる 紫陽花に 似てるの けれど言えない気持ち 』

短歌職人
相手への恋心が日ごとに増していくのにそれを伝えることができない甘苦しさを紫陽花に例えた綺麗な歌です。とどまることを知らない恋心に決着をつけられる日は来るのでしょうか。

 

【NO.7】『 忘れても 二度と会えない訳じゃない クリームソーダに 流した碧(あお)色 』

短歌職人
悲しさを紛らわすように自分に言い聞かせるような切ない痛々しさが胸をかすめます。心情を深く澄んだ色のひんやりとしたクリームソーダに例えることでその悲しみが視覚を得てよりはっきりと感じられます。

 

【NO.8】『 服のまま 泳いで海は 重たくて あおいろの春に 口づけをする 』

短歌職人
重たいのは水を吸った服ではなく海なのだという表現の仕方に新鮮さを感じました。敢えての曖昧な表現に想像が膨らみます。

 

【NO.9】『 冬空を 焦がすシリウス 青い目の 流した涙が 地球を染める 』

短歌職人
シリウスは冬の星座であるおおいぬ座の中で一番明るい星です。おおいぬが流した涙が地球にこぼれて地球が青く染まるのだという物語性を感じるとともに、宇宙に流れる悠久の時を体感できそうな歌です。

 

【NO.10】『 夏草に 足を取られて ころんだら 青い天井 届かぬ昨日 』

短歌職人
まさに青春の一コマのような歌です。夏の草いきれのなかで作者は何を思い出すのでしょう。空の青さが目に染みて涙が出てしまいそうです。

 

以上、青に関するおすすめ短歌でした!

 

 

青を用いた短歌には、切なさや悲しさを感じるものが多い印象です。

 

「青」の漢字の表記を「碧」や「あお」に変えることによっても歌の持つ雰囲気がガラっと変わりますね。

 

短歌職人
是非、あなたも短歌作りにチャレンジしてみてください!