【6月の短歌(和歌)集 20選】おすすめ!!知っておきたい6月らしい有名作品を紹介!

 

6月といえばまず思い浮かべるのは梅雨と大きな紫陽花でしょうか?

 

1年間の中で唯一祝日や大きなイベントがない月ではありますが、実りの秋につながる花が咲く時期でもあります。

 

今回は、6月を詠ったおすすめの短歌(和歌)をご紹介いたします。

 

短歌職人
ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね。

 

6月の有名短歌(和歌)集【昔の短歌(和歌) 10選】

 

まずは昔の短歌(和歌)からご紹介いたします。

 

6月のイメージが強い紫陽花(アジサイ)を歌った短歌からご紹介していきます。

 

【NO.1】崇徳院

『 紫陽花の よひらの山(やえ)に 見えつるは 葉越しの月の 影にやあるらむ 』

意味:紫陽花の四片が八重に見えたのは葉越しの月影のせいだったのだろうか

短歌職人

紫陽花の山型の花びらを「山」”やえ”と詠むことで「八重」との掛詞になっています。紫陽花の花びらが月光によって映し出された影の幻想的な情景が浮かんできます。

 

【NO.2】藤原定家

『 あぢさゐの 下葉にすだく 蛍をば よひらの数の 添ふかとぞみる 』

意味:紫陽花の下葉に集まっている蛍の光で四片(よひら)の花びらが増えたように見えるよ

短歌職人
これも紫陽花の「よひら」の花びらと光と影に焦点を当てたものです。蛍が舞い始めるのは日没直後、まだ真っ暗にはなっていない黄昏時ですね。その蛍が暗くなった「下葉」に集まって「葉」を照らし出しているとは趣深い光景です。

 

【NO.3】光厳院

『 風わたる 田の面の早苗 いろさめて 入り日残れる 丘の松原 』

意味:爽やかな風が吹き渡って田に青い早苗がなびいている。その色が薄くなり夕日が残っっている丘の松林であるよ

短歌職人
早苗とは、5月から6月に行われる田植えで植えられて間もない青々とした苗のこと。陽が沈むに従ってその青がだんだん薄くなり、夕日の色のオレンジに染まりゆく色の変化が見える写生的な短歌です。

 

【NO.4】香川景樹

『 みな月の 有明づくよ つくづくと おもへばをしき 此の世なりけり 』

意味:みな月の月が残る明け方、しみじみと思えば死ぬのは惜しいこの世だなあ

短歌職人

「有明」は月が残っている夜明け、「づくよ」は月夜のことです。そして「みな月」は「水な月」すなわち水の月という意味からやがて無という字が当てられ「水無月」となりました。漢字については諸説ありますがこのようにかなで書かれた方がしっくりすることもありますね。現世への未練がしみじみ伝わってくる歌です。

 

【NO.5】大僧正行尊

『 みな月の てる日といへど 我がやどの 楢の葉かげは 涼しかりけり 』

意味:みな月の太陽が照りつける日ではあるけれど、我が家の楢の木陰は涼しいものだなあ

短歌職人
ジメジメの雨の合間に陽が照りつけるような晴れた日は湿度も高いので暑さが余計辛く感じます。庭にある大きな楢の木の涼しい癒しの木陰で「ああ涼しいなあ」と言いながらこの歌を詠んだのかもしれません。

 

【NO.6】大伴家持

『 鶉(うずら)鳴き 古しと人は 思へれど 花橘の にほふこの屋戸(やど) 』

意味:ここは鶉が鳴くような古びたところだと人は思っているけれど、この家は花橘の香りが漂っているよ

短歌職人
鶉は飼われているものではなく野生で住み着いてしまったものでしょう。6月の花である「花橘」を使って人がどう思っていようとも自分にとってはこの家は素敵な場所なのだということを匂わせています。

 

【NO.7】藤原忠良

『 あふち咲く 外面(そとも)の木かげ 露おちて 五月雨はるる 風わたるなり 』

意味:楝(あふち)の花が咲いている家の外のこかげに露がおちて、五月雨の風が吹き渡っていくよ

短歌職人

楝(あふち)という木はセンダンという名前の方が有名かもしれません。その小さな紫色の花びらに露が落ちた後、雨が上がった時にふっと吹き抜けていった気持ちの良い風に歌心をくすぐられたのでしょう。

 

【NO.8】源俊頼

『 あさりせし 水のみさびに とぢられて 菱の浮き葉に かはづ鳴くなり 』

意味:エサをあさっていたら水のサビに閉じ込められて菱の浮葉に乗ったカエルが鳴いているよ

短歌職人

聞きなれない「みさび」とは溜水の水面に浮いている錆のようなものです。おそらくこの水は澱んでいるのでしょう。都会ではなかなか聞けませんが6月は「かはづ」カエルの鳴き声が盛んなシーズンでもありますね。菱はハスのように水面に葉を浮かべて夏に白い花を咲かせる水中花です。

 

【NO.9】藤原定家

『 はちす咲く あたりの風の かほりあひて 心のみづを 澄す池かな 』

意味:花が咲いている池のあたりから風の蓮の香りが漂ってきて、私の心の水をきれいにしてくれるようだ

短歌職人
「はちす」とは蓮の果実が蜂の巣の形をしているところからついた蓮の元来の名前です。その凛とした姿は仏教の象徴花でもあり仏像にも彫られる柄なので、その香りだけで清らかさを感じ心が澄んでいくようだと感じるのでしょう。

 

それでは短歌(和歌)の最後に夏の終わりとされる6月30日に神社で行われる行事、夏越祓(なごしのはらえ)で茅の輪(ちのわ)をくぐりながら唱える歌をご紹介します。

 

【NO.10】詠み人知らず

『 みなずきの 夏越の祓い する人は 千歳の命 のぶというなり 』

意味:水無月に夏越の祓いをする人は長い年月の命が延びるということだ

短歌職人

茅の輪くぐりの神事の由来は、昔スサノオノミコトが優しくしてくれた村人に疫病から身を守るために茅の輪を身につけさせた、という伝承からきています。

大きな茅の輪をくぐりながらこの言葉を3回唱えるそうなので、機会があったらチャレンジしてみてください。

 

6月の有名短歌(和歌)集【現代短歌 10選】

 

次は、明治時代以降の現代短歌をご紹介します。

 

こちらもまずは紫陽花を詠んだものからご紹介していきます。

 

【NO.1】阪正臣

『 咲きそめて ふりそめにけり 五月雨に ゆかりや深き あぢさゐの花 』

意味:花が咲き始めると梅雨の雨が降り出した。梅雨にゆかりが深いのだろうか、紫陽花の花は

短歌職人
旧暦の5月が梅雨だったので「五月雨」と書きますが、今の6月にあたります。”染め”と”初め”を繰り返すことで「五月雨」と「あぢさゐの花」が「ゆかり深き」ことを表しています。

 

【NO.2】石川啄木

『 昨日より 色のかはれる 紫陽花の 瓶をへだてて 二人かたらず 』

意味:昨日から色が変わった紫陽花の花が挿してある花瓶を挟んで、二人は何も言葉を交わさない

短歌職人

紫陽花は咲いた後に色が変わることがあるので「心変わり」という花言葉も持っています。この場面では色が変わったことで二人の心変わりを暗示しているのでしょうか。いろいろ想像力をかき立てられる短歌です。

 

【NO.3】俵万智

『 思いきり 愛されたくて 駆けてゆく 六月サンダル アジサイの花 』

意味:あなたに思い切り愛されてたいという気持ちがあふれてサンダルのまま紫陽花のそばを駆けていくよ

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初めの2つの短歌とガラリと雰囲気が変わって、現代の女性が恋人の元に思い切りサンダルで駆け抜けていく溌剌とした姿が伝わってきます。同じ花でも内容とカタカナ表記でここまでイメージが変わるというのも面白いですね。

 

【NO.4】斎藤茂吉

『 はつはつに 咲きふふみつつ あしびきの 暴風(あらし)にゆるる 百日紅(さるすべり)のはな 』

意味:少しずつ咲こうと膨らみながら嵐で揺れている百日紅の花だよ

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「はつはつに」=わずかに少しずつ「ふふみ」=膨らんで「ゆるる」=揺れる、とやわらかい発音のかなが並んでいる語感が楽しい1首です。「あしびきの」は山にかかる枕詞ですが、ここでは嵐の山冠に掛けていると考えられます。

 

【NO.5】斎藤茂吉

『 おのが身を いとほしみつつ 帰り来る 夕細道に 柿の花落つも 』

意味:自分の体を大事にいたわりながら帰ってくる夕方の細道に柿の花が落ちているよ

短歌職人
茂吉は精神科の先生で、病院への通勤路を歌ったもののようです。6月に咲く柿の花は目立たない薄黄色で若葉と一緒に咲くので目立たないのですが、疲れた体で帰りながらそこに気づく作者の感性の高さが伺えます。

 

【NO.6】樋口一葉

『 誰もかく あらまほしけれ この花の いはぬに人の なほもめづらん 』

意味:誰もみなこんなふうにありたいと思うでしょう。この花が何も言わぬのになお美しいと愛されているように

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「この花」とは「いはぬ」姿から、6月から7月に咲く”くちなしの花”のことを詠っています。黙っていても「めづ(愛)」られるこの花のようになりたいとは女性ならではの願いかもしれません。

 

【NO.7】正岡子規

『 病みて臥(ふ)す 窓の橘 花咲きて 散りて実になりて 猶(なお)病みて臥す 』

意味:病気で伏している窓の外に橘の花が咲き、散って実になってもまだなお、私は病気で伏しているのだ

短歌職人
病気で寝たきりの状態で詠んだものが多い子規なので、またかという感じもしますが、否、寝たきりだからこそ見えるものがあるのだなと気づかされます。世の儚さと病身の悔しさがにじみ出ていますね。

 

【NO.8】中村憲吉

『 梅雨ふかき 小庭の草に むらがりて 鳳仙花のくき 赤く生ひけり 』

意味:梅雨の時期も深まって小さな庭の草に群がって生えている鳳仙花の茎が赤く生い茂っているよ

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昔はその赤い花を潰して爪を染めて遊んでいたという鳳仙花は茎も節の周りが赤くなります。そして繁殖力も強いのであっという間に「小庭の草にむらが」るのですね。カ行の音が多く滑舌よく読める一首です。

 

【NO.9】与謝野晶子

『 六月は 酒を注ぐや 香を撒くや 春にまさりて 心ときめく 』

意味:六月は酒を飲むか香をふり撒こうか。春よりももっと心がときめいています

短歌職人
この歌の作者の短歌は大胆すぎる表現が多くギョッとすることも多いのですが、酒だ香りだというのもまた豪快な女性の姿を感じさせます。春よりもときめく六月に乾杯!

 

【NO.10】若山牧水

『 友はみな 兄の如くも 思はれて 甘えまほしき 六月となる 』

意味:友達がみな兄のように思われて甘えたくなる六月となったよ

短歌職人
「死か芸術か」という歌集に収められている歌です。牧水は長男なのでお兄さんはいません。おそらく辛い生活をしていた時に助けてくれた友人たちが兄のように頼もしく思えた六月だったのでしょう。

 

以上、6月の有名短歌集でした!

 

同じ紫陽花の歌でも、詠み人の気持ちや周りの描き方でこんなに違うものが作れるというのが短歌の面白いところです。

 

ここでは紫陽花の他にも6月の花、梅雨の題材を多くご紹介しましたが、他にも第3日曜日の父の日に感謝の気持ちを短歌で添えてプレゼントするのも素敵ですね。

 

短歌職人
夏至も迎える六月、ぜひ感じたことや見聞きした情景を31文字で表現することにチャレンジしてみてください!