句切れとは短歌や俳句で内容がいったん分かれる箇所のことです。
古文のテストなどで、短歌の句切れを答えなさいという問題もありますが、古文の中でも分かりにくいという声の多い問題です。
和歌ってどうしたら理解できるの(´;ω;`)訳どころか句切れもわからないorz
— 詩音 (@shion_pg0106) April 16, 2012
万葉集と古今和歌集と新古今和歌集の
句切れ難しいԅ(¯﹃¯ԅ)わからないԅ(¯﹃¯ԅ)— アンナ🐱 (@nnns_1229) January 10, 2014
句切れがわからない(´・ω・`)
— 神部真希 (@sdvxc18h27no3) October 29, 2015
そこで今回は、国語の受験対策になる短歌の句切れの練習問題をご紹介します。
目次
短歌の句切れの練習問題【全10問】
第1問〜第5問
第1問
心なき 身にもあはれは 知られけり しぎ立つ沢の 秋のゆふぐれ(西行法師)
第2問
花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに(小野小町)
第3問
わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人にはつげよ あまの釣舟(参議篁)
第4問
この世をば わが世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば(藤原道長)
第5問
おほけなく うき世の民に おほふかな わがたつ杣(そま)に 墨染の袖(前大僧正慈円)
第1問の答え:三句切れ
解説:感動を表す「けり」で一旦文が分かれます。「風情が分からない自分にも分かることだ。しぎが飛び立つ秋の夕暮れの趣は」の意味です。
第2問の答え:二句切れ
解説:「な」は終助詞。「花は色あせてしまった。私が物思いにふけっている長雨の間に」と二句目で内容が区切れます。
第3問の答え:四句切れ
解説:「つげよ」が「つぐ」の命令形のため。「大海原に無数の島を目指して漕ぎ出したと人々に伝えておくれ。釣り舟よ」と舟に呼びかける歌です。
第4問の答え:二句切れ
解説:「ぞ」「思ふ」が係り結びのため。「この世は私の世だと思う。満月と同じように私にも欠けたものはないのだから」の意味です。
第5問の答え:三句切れ
解説:詠嘆を表す「かな」で一度文が切れます。「大それたことだが辛い世の人々に覆いかけよう。比叡山に住む私の法衣の墨染の袖を」という意味です。
第6問〜第10問
第6問
忘らるる 身をば思はず 誓いてし 人の命の 惜しくもあるかな(右近)
第7問
わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり(喜撰法師)
第8問
見せばやな 雄島のあまの 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色はかはらず(殷富門院大輔)
第9問
あかなくに まだきも月の 隠るるか 山の端逃げて 入れずもあらなむ(在原業平)
第10問
なにとなく 君に待たるる ここちして 出でし花野の 夕月夜かな(与謝野晶子)
第6問の答え:二句切れ
解説:思はずの「ず」は打消しの助動詞の終止形です。「忘れられたこの身のことは気に掛けない。でも愛を誓ったあなたが天罰を受けて命を落とすのではと惜しまれるのです」という意味です。
第7問の答え:三句切れ
解説:「ぞ」「住む(連体形)」が係り結びなので、「私の家は都の東南で鹿が住むのどかな所だ。世を疎んで住む山だと人々は言うけれど」と第三句で一度文が終わります。
第8問の答え:初句・四句切れ
解説:初句の「な」は終助詞、第四句の「ぞ」は係助詞で、濡れしの「し」が過去の助動詞「き」の連体形のため。「あなたに見せたい。雄島の漁師の濡れに濡れた袖を。漁師の袖は色が変わらないのに(私の袖は涙で色が変わってしまった)」という内容です。
第9問の答え:三句切れ
解説:隠るるかの「か」が終助詞のため。最後の「なむ」は文末の場合、係助詞ではなく願望を表すので注意が必要です。「まだ月を眺めたりないのに隠れてしまうのか。山の端が逃げて月を入れないでくれ」という意味です。
第10問の答え:句切れなし
解説:感動を表す「かな」が最後にあって、それより前の文に切れ目がないため。「なんとなく君に待たれている気がして出てきた花の野の夕月夜だよ」という意味です。
【復習】短歌の句切れとは?
句切れの意味
句切れとは、短歌において意味や内容、リズムなどの切れ目のことです。
一つの短歌の中に二つの内容があるような時、一つ目の内容が終わる箇所が句切れとなります。
【例】白鳥は 哀しからずや / 空のあを 海のあをにも 染まずただよふ (若山牧水)
この短歌は「白鳥は悲しくないだろうか(自分の気持ち)。空の青にも海の青にも染まらずに飛んでいる(風景)」という意味で「哀しからずや」の後で一度内容が分かれます。
句切れの種類
「五七五七七」音の短歌で、「五。七五七七」と始めの五音と七音の間で内容が分かれるものを「初句切れ」と言います。
「五七。五七七」は「二句切れ」、「五七五。七七」は「三句切れ」、「五七五七。七」なら「四句切れ」です。「五七五七七。」と最後まで区切りのないものは「句切れなし」と呼びます。
また、句切れは二か所にある場合もあり、例えば「五。七五。七七」は「初句・三句切れ」、「五七。五。七七」だと「二句・三句切れ」と言います。
【復習】短歌の句切れの見分け方のコツ
ここからは短歌を現代語訳できなくても句切れを見分けるコツを5つ紹介します。
①感動・詠嘆を表す言葉「けり」「かな」を探す
感動や詠嘆を表す言葉の「けり」「かな」の後ろには句切れがあります。短歌の中に「けり」や「かな」が使われていないか探してみましょう。
【例】桐の葉も 踏み分けがたく なりにけり 必ず人を 待つとなけれど (式子内親王)
②終助詞「な」「よ」「ぞ」を探す
終助詞とは、言葉の最後に付いて文を終わらせる助詞です。古語では「な」「よ」「ぞ」が多く使われます。終助詞の使われている箇所が句切れとなります。
【例】契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 浪こさじとは (清原元輔)
③終止形を探す
活用語の基本の形である終止形は文を終わらせる時に使われます。和歌に終止形の言葉があれば、そこで内容もいったん終わっていると考えて良いでしょう。
【例】ささの葉は み山もさやに さやげども 我は妹思ふ 別れ来ぬれば (柿本人麻呂)
④命令形を探す
「~しなさい」「~してくれ」という意味になる命令形も、そこで文が終わります。
【例】天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ (僧正遍照)
⑤係助詞「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」を目印にして「結びの語」を探す
古文には「係り結び」という言葉の法則があり、「係助詞」を使って思いを強調したり疑問を投げかけたりします。
係助詞が使われると後に続く言葉は、本来終止形のところが連体形か已然形に変形します。
例えば、「水が流れる」は古語では「水流る(終止形)」ですが、強調したい時には「水ぞ流るる(連体形)」などどします。「水ぞ」の「ぞ」が係助詞です。終止形から変形した言葉は「結びの語」と言って、ここで文の内容は一旦句切れます。
係助詞には「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」があり、「ぞ」「なむ」「や」「か」に続く結びの語は連体形に、「こそ」の後は已然形になります。
【例】散ればこそ いとど桜は めでたけれ 憂き世になにか ひさしかるべき (伊勢物語より)
さいごに
古語で書かれた短歌を現代語訳するのは苦手だなと思う人も多いのではないでしょうか。
そんな時、句切れの位置が分かれば短歌はぐっと理解しやすくなります。作者の伝えたい気持ちのポイントが分かりやすくなるからです。そうすると短歌の読解が楽しくなってくるかもしれません。