【面白い現代短歌集 20選】現代歌人のおすすめ有名作品!詠んで楽しい歌を紹介

 

短歌と聞くと、古典のイメージが強くて難しそうと思うかもしれません。

 

しかし、現代短歌の多くは話し言葉で書かれているため読みやすく、日常生活や時には架空の物語をユーモアを交えて表現しています。

 

 

今回は、面白いおすすめ現代短歌を20首ご紹介します。

 

短歌職人
ぜひ最後まで読んでください。

 

面白いおすすめ現代短歌集【前半10選】

 

【NO.1】岡本雄矢

『 全員が サラダバーに行ってる時に 全部のカバン 見てる役割 』

【意味】皆がサラダバーに行っている間、自分は皆のカバンを見張っている役割だ。

短歌職人
ファミレスなどのサラダバーでは持ちものを席に置いたまま選びに行くことがあります。そんな時に一人席に残って荷物の番をするお人好しの人を描いた歌です。

 

【NO.2】岡野大嗣

『 ハムレタスサンドは床に落ち パンとレタスとハムとパンに分かれた 』

【意味】床に落としたハムレタスサンドはパンとレタスとハムがばらばらになった。

短歌職人
非常に切ない歌です。「パン」が2回出てくることから、完全にばらばらになったことが分かります。

 

【NO.3】岡野大嗣

『 もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい 』

【意味】もう嫌だ死にたい、そして皆の記憶が薄れたら生き返りたい。

短歌職人
人の噂も七十五日と言いますが、どんな失態も時が過ぎれば忘れられていくものです。失敗して大恥をかいた経験のある人は、共感できる歌ではないでしょうか。

 

【NO.4】大森静佳

『 青空へ わたしはろくろっくび伸びて くちづけしたし 野鳥のきみと 』

【意味】私は青空へろくろっくびのように首を伸ばして野鳥の君とキスしたい。

短歌職人
「わたしはろくろっくび伸びて」が面白い比喩です。にゅ~っと首が伸びるイメージが浮かびますし、上空の野鳥に触れたい気持ちも感じられます。

 

【NO.5】加藤千恵

『 ついてない びっくりするほどついてない ほんとにあるの? あたしにあした 』

【意味】びっくりするくらいツイてない、あたしに明日は本当にあるの?

短歌職人
ツイてない日はあるものです。中には驚くくらいアンラッキーが重なることも。「ほんとにあるの?」という第四句が絶望感を出していますが、読み手はクスッとおかしくなります。

 

【NO.6】佐藤真由美

『 この煙草あくまであなたが吸ったのね そのとき口紅つけていたのね 』

【意味】あなたがこの煙草を吸ったのね、その時口紅をつけていたのね。

短歌職人

「あなた」は浮気を隠そうと、浮気相手の残した煙草の吸殻を自分が吸ったものだと言ったのでしょう。吸い口に口紅が付いていたとは知らずに。後半の皮肉が笑いを誘います。

 

【NO.7】工藤吉生

『 目が合った あなたは去った 軽蔑に致死量がある ことがわかった 』

【意味】目が合ってあなたは去った。致死量に至る程の軽蔑が視線に込められていたことが分かった。

短歌職人
「致死量」の軽蔑とは、相当冷たい目をしていたのでしょう。しかし「致死量」という言い回しには面白味も感じられます。

 

【NO.8】篠田算

『 覇気のない ドラえもんには 適当な 悩みを言って あげたりしなきゃ 』

【意味】元気がないドラえもんには適当な悩みを相談してあげたりしなきゃ。

短歌職人
ドラえもんは未来の便利道具でのび太を助けるためにやってきました。困り事がなければ存在意義が見出せないのです。何だか世話焼きのお年寄りみたいですが、悩みを相談すればきっと生き生きした姿を取り戻すでしょう。

 

【NO.9】小島ゆかり

『 子には子の 電車来るべし「白菜の内側でお待ち下さい」と言ふ 』

【意味】子供には子供の電車が来るのだ。「白菜の内側でお待ち下さい」と言っている。

短歌職人
子供が白線を白菜と聞き間違えたのです。そこに面白さを感じるとともに、子供にとってはそういう電車なのだと肯定する目線で詠まれた歌です。

 

【NO.10】大松達知

『 誤植あり。中野駅徒歩十二年。それでいいかもしれないけれど 』

【意味】「中野駅徒歩十二年」という誤植があった。それでいいかもしれないけれど。

短歌職人
本来は「徒歩十二分」だったのでしょう。不動産の情報などの誤植ですね。徒歩十二年とは随分な距離です。想像して笑ってしまったのか、それでもいいかもね、と肯定した歌です。

 

面白いおすすめ現代短歌集【後半10選】

 

【NO.11】穂村弘

『 「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの 花びら毟(むし)る 宇宙飛行士 』

【意味】「凍る、燃える、凍る、燃える」と花占いをする宇宙飛行士。

短歌職人
大変なピンチです。恐らく宇宙船は壊れて爆発寸前。しかし宇宙船の外に出れば人体は凍ってしまいます。花占いはどちらの結果も破滅です。死が迫る中で一輪の花を抱えて花占いをする宇宙飛行士、というブラックコメディです。

 

【NO.12】木下龍也

『 あの虹を 無視したら撃て あの虹に 立ち止まったら 撃つなゴジラを 』

【意味】あの虹を無視したらゴジラを撃て、虹に立ち止まったらゴジラを撃つな。

短歌職人
多くの人は虹が出ていると思わず立ち止まって見つめます。脅威あるゴジラですが、虹を見つめたら人のような心があるということですね。人間側が攻撃用意の体勢のまま、ゴジラの行動をハラハラして見守っている状況が想像できます。

 

【NO.13】木下龍也

『 B型の 不足を叫ぶ 青年が 血のいれものとして 僕を見る 』

【意味】B型の血液が不足していると訴える青年が血の入れ物のように僕を見る。

短歌職人
B型の献血協力を求める青年が必要なのは血液です。自分自身は無視されたように思った「僕」の悲しみが感じられます

 

【NO.14】木下龍也

『 つむじ風、ここにあります 菓子パンの 袋がそっと 教えてくれる 』

【意味】つむじ風がここに吹いていると菓子パンの袋が風で舞って教えてくれる。

短歌職人
「つむじ風、ここにあります」はパンの袋の声でしょう。放置された袋が舞うのを見て風に気付いたという歌で、菓子パンの袋に少しの哀愁も感じます。

 

【NO.15】笹公人

『 モノクロの 写真でいつか 見た人が われに微笑む お盆の夜に 』

【意味】いつかモノクロの写真で見たことのある人がお盆の夜に私に微笑む。

短歌職人
写真でしか見たことのない先祖が、お盆の夜に現れて自分に微笑んでいるという歌です。下の句の倒置法が静かな怖さを演出しています。

 

【NO.16】笹公人

『 ごろごろと 石の貨幣を ころがして 君に届けた 前前前……世 』

【意味】石の貨幣をごろごろ転がして君に届けに行った前前前……世。

短歌職人
ヒット曲の歌詞のもじりです。石の貨幣は原始時代を描いたイラストなどに登場します。「君」はそんなに昔の前世から続く運命の人だ、というパロディです。

 

【NO.17】笹井宏之

『 グリズリーに 跳ねあげられた 紅鮭の 片方の眼に 映る夕虹 』

【意味】グリズリーに跳ね上げられた紅鮭の片方の眼に夕虹が映っている。

短歌職人
グリズリーは大型のクマで、川を泳ぐ鮭を前足で跳ね上げて捕食します。歌はグリズリーから紅鮭の眼へとズームし、終点の「眼に映る夕虹」で光景がスローモーションのようにイメージされ、鮭への哀愁を誘います。

 

【NO.18】宇都宮敦

『 だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし 』

【意味】大丈夫、急ぐ旅ではないのだし、急いでないし旅でもないから。

短歌職人
「急ぐ旅ではない」という言い回しがあります。そんなに急いでないから、という時に使われます。日常でも使われる言葉で、その場合は確かに旅ではありません。言葉そのものに焦点を当てて面白味を感じさせる歌です。

 

【NO.19】宇都宮敦

『 牛乳が逆からあいていて笑う ふつうの女のコを ふつうに好きだ 』

【意味】牛乳パックが逆から開いているのを笑う普通の女の子を普通に好きだ。

短歌職人
牛乳パックはたまに、開け口ではない方から開いてしまうことがあります。その些細なことに笑う女の子を普通だと感じて、その様子を好ましく思った、というエッセイのような歌です。

 

【NO.20】五島諭

『 海に来れば 海の向こうに 恋人が いるようにみな 海を見ている 』

【意味】海に来ると、皆は海の向こうに恋人でもいるかのように海を見ている。

短歌職人
人は海を見に散歩をしたりドライブしたりすることがあります。海はつい見つめてしまうものではないでしょうか。これはそんな海を見つめる人々を詠んだ歌です。

 

以上、面白いおすすめ現代短歌集でした!

 

 

現代短歌は、ぱっと読めて理解しやすいのが特徴です。

 

また、よく読むとユーモアに気が付いたり、深いなぁと感心したりします。歌人によっても、日常のあるあるやフィクション、不思議な話を短歌にしているなどの様々な傾向があります。

 

現代短歌をもっと読んでみたいという人は、自分の好みの短歌を探してみてはいかがでしょうか。

 

短歌職人
話し言葉でいいなら自分も短歌を作ってみたい!と思った人はぜひ短歌作りにもチャレンジしてみてください。