過去、「海」をテーマにした短歌は数多く作られています。
魚釣り、海水浴、パラソル、ピーチボール、スイカ割、日焼け、花火、海の生き物…などなど、海に関係するイベントや単語もたくさんありますね。
今回は海をテーマにしたおすすめ短歌をご紹介します。
海の短歌【有名短歌(和歌) 10選】
まずは古典から現代まで、教科書や百人一首に載っている有名な短歌をご紹介します。
【NO.1】大伴家持
『 海原を 遠く渡りて 年経とも 子らが結べる 紐解くなゆめ 』
意味:海原を遠くわたって年月が経ったのだとしても、奥さんが結んでくれた紐は絶対に解いたりしませんよ
【NO.2】大伴家持
『 浜辺より 我が打ち行かば 海辺より 迎へも来ぬか 海人の釣舟 』
意味:浜辺から急いで海へ向かったら、迎えにきてくれないものだろうか。海人たちによる船が…
【NO.3】俵万智
『 潮風に 君のにおいが ふいに舞う 抱き寄せられて 貝殻になる 』
意味:潮風と君(想い人)の香りが重なって届いた気がした。その香りを楽しみたくて、風に包まれては貝殻のようにじっとしていた
【NO.4】柿本人麻呂
『 近江海 夕波千鳥 汝が鳴けば 心もしのに いにしへ思ほゆ 』
意味:近江の海に集っている千鳥よ。君たちが鳴くと、どうしても昔を思い出して、心が折れてしまうのです
【NO.5】安貴王
『 伊勢の海の 沖つ白波 花にもが 包みて妹が 家づとにせむ 』
意味:伊勢の海に寄せては返す白波が花だったらいいのに。綺麗に包んで、妻へのお土産にしたいのに
【NO.6】門部王
『 意宇の海の 潮干の潟の 片思に 思ひや行かむ 道の長手を 』
意味:意宇の海の潮干から、片思い相手を想いながら進むでしょう。この長い道のりを
【NO.7】中臣女郎
『 海の底 奥を深めて 我が思へる 君には逢はむ 年は経ぬとも 』
意味:海の底と同じくらい心の奥底の方に秘めている想い人に、会いに行きましょう。どれだけ年月が必要になったのだとしても
【NO.8】詠み人知らず
『 大海に 島もあらなく 海原の たゆたふ波に 立てる白雲 』
意味:島もないのに、大きな海に海原のように白い雲が被さっている
【NO.9】詠み人知らず
『 夏麻引く 海上潟の 沖つ洲に 鳥はすだけど 君は音もせず 』
意味:海上潟の沖の洲に鳥たちがあんなに群れているけれど、君からの音沙汰は全くないのね
【NO.10】詠み人知らず
『 大海に あらしな吹きそ しなが鳥 猪名の港に 舟泊つるまで 』
意味:大きな海に荒波が立ちませんように。どうか船が鳥猪名の港に着くまでは
海の短歌【一般オリジナル短歌 10選】
次は、いくつか一般の方が作ったオリジナル短歌をご紹介していきます。
様々な年代の人が、海に対する率直な感想を短歌にして表現しています。
【NO.1】『 寄せる波 返す波とを 見ていても 思った以上に 外は明るく 』
【NO.2】『 パラソルと ボールだけで 駆け出して 体の痛みに 涙する夜 』
【NO.3】『 海の端 小さな亀を 助けても 待てど待てども お迎えは来ず 』
【NO.4】『 リゾートで ゆっくり過ごす 連休と 対照的な 青と灰色 』
【NO.5】『 水族館 よくみる魚と 思いしや 深海奥底 変わったものも 』
【NO.6】『 海の家 普段と変わらぬ 焼きそばが こんなに美味しく 感じられるとは 』
【NO.7】『 サーファーが 波に乗り行く 姿見て いつの日にかと 浮き輪を掴む 』
【NO.8】『 砂の上 かわいく描けたと 親を呼び 来てみた時には 露と消えゆき 』
【NO.9】『 シュノーケル 気になってしまう ホースの先が だって私は 泳げない 』
【NO.10】『 海に来て スマホを立てし 靴の上 みんなせーので 飛び上がる 』
以上、おすすめ海の短歌(和歌)集20選でした!
同じ「海」というテーマでも、詠み手や時代背景によって大分雰囲気が異なりますね。
昔は海と大切な人を重ね合わせたような歌が多いように感じます。一方で、海の姿そのものは今も昔も変わりありません。