【切ない恋の短歌 20選】名作はこれ!!おすすめ有名&素人短歌を紹介!

 

日本には、昔から恋愛について詠んだ歌が沢山あります。

 

恋の喜び、好きな人と結ばれた嬉しさなどについて詠まれた歌もありますが、失恋や別れなど、恋の切なさ、苦しさについて詠まれた歌もあります。恋は時には切なく苦しいものです。

 

 

今回は、そんな切ない恋の歌を20首ご紹介します。

 

短歌職人
有名なものから素人の方が作ったものまで幅広く紹介していきます。ぜ
ひ短歌作りの参考にしてみてください!

 

切ない恋の有名短歌【おすすめ10選】

 

【NO.1】謙徳公

『 あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな 』

意味:たとえ恋こがれて死んだとしても、私を「ああ、かわいそうだ」と言ってくれそうな人は思い浮かばず、きっと私はむなしく死んでしまうのだろうな。

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この歌は、作者と情を通わせていた女性が逢ってくれなくなった時に詠んだ歌だと言われています。つまり、失恋の歌ですね。少々極端な思想から、作者の感じている孤独やショックがひしひしと伝わってきます。

 

【NO.2】石川啄木

『 かの時に 言ひそびれたる 大切の 言葉は今も 胸にのこれど 』

意味:あの時に言いそびれた大切の言葉は今も胸に残っているのだが。

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作者は誰かに想いを伝えそびれてしまったのでしょう。区切れがなく、一気に読めてしまうので、作者の感じた虚無感のようなものを私たちも味わえます。ぽっかりとした余韻が味わい深い歌です。

 

【NO.3】柿本人麻呂

『 古に ありけむ人も 吾がごとか 妹に恋ひつつ 寝かてにけむ 』

意味:昔の人々も僕のように愛しい人に恋して、寝付くことも出来なかったのだろうか。

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この歌は奈良時代に詠まれたものです。この歌の作者も、私たちにとっては十分「昔の人」なのです。このような歌を現代に生きる私たちが読んで、同じようなことを考えるなんて、なんだか面白いですね。

 

【NO.4】紫式部

『 めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな 』

意味:せっかく久しぶりに逢えたのに、それが貴女だと分かるかどうかのわずかな間にあわただしく帰ってしまわれた。 まるで雲間にさっと隠れてしまう夜半の月のように。

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好きな人と会っている時は、時間があっという間に感じますね。もっと会っていたい、けどそれはかなわない。切実な恋心が歌われています。それにしても、好きな人を「月」に例えるなんて、ロマンチックですね。

 

【NO.5】光明皇后

『 我が背子と 二人見ませば いくばくか この降る雪の 嬉しからまし 』

意味:わが夫のあなたと二人で見ることが出来たのなら、どんなにか今この降っている雪が喜ばしく思われることでしょうに。

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作者である光明皇后は、政治上の理由から、夫の天武天皇と別離していた時期があると言われ、この歌はその頃に詠まれた歌だと言われています。降る雪を見るときさえも夫を思い出してしまう、寂寥感が伝わってきます。

 

【NO.6】大伴坂上郎女

『 思へども 験(しるし)もなしと 知るものを なにかここだく 吾が恋ひ渡る 』

意味:恋しく思ってみても甲斐の無いことと知っているのになぜ私はこんなにも焦がれ続けるのだろう。

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叶わない気持ちだとわかってはいても恋することをやめることはできない。恋する人ならだれでも共感できる、切ない片思いの歌ですね。作者の激しく恋焦がれる様子がひしひしと伝わってきます。

 

【NO.7】北原白秋

『 遠くから 飛び来て遠く 去るものの 一つか恋も 首細き鶴も 』

意味:恋も、首が細い鶴も、遠くから飛んできて遠くへ去ってしまうものの一つなのだろうか。

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作者の俯瞰したような視点が興味深い歌です。「首細き鶴」という言葉で恋の優美さ、はかなさを美しく表現しています。「遠く」という言葉を二回繰り返して印象づけているのも、効果的です。

 

【NO.8】小野小町

『 思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを 』

意味:あの人のことを思いながら眠りについたから夢に出てきたのであろうか。夢と知っていたなら目を覚まさなかったのに

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小野小町の有名な歌です。好きな人を、夢にも見るくらい慕っていたのですね。「夢と知っていたら目を覚まさなかったのに」というところから、焦がれるような恋心が伝わってきます。

 

【NO.9】杜澤 光一郎

『 抱きしめたき 思ひに耐へて 葉洩日の ゆるるうなじを 見つめゐにけり 』

意味:抱きしめたい思いをこらえて、木洩れ日が映って揺れるうなじを見つめている。

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作者は、好きな人と緑の豊かな場所にいるのでしょうか。「葉洩日のゆるるうなじ」というわかりやすい表現で、情景がスッと浮かびます。また、「抱きしめたき」の字余りが抱きしめたいという強い思いを上手く表しています。

 

【NO.10】花山多佳子

『 窓ごしの 真緑を背に うつむける 人ひとたびも わがものならず 』

意味:窓越しの緑を背にうつむくようにしている人は、一度も私のものにならない。

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緑の生い茂る外を映した窓に、想い人が背を向けてうつむくようにして立っている。とても美しい情景が詠まれています。そんな美しい人は私の物にならない。事実だけが詠まれているところに、より一層作者の悲しみややるせない気持ちが垣間見えます。

 

切ない恋の素人オリジナル短歌【おすすめ10選】

 

【NO.1】『 好きですと 言えばよかった 毎晩の 夢にあなたを 待つくらいなら 』

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作者は好きな人に想いを伝えきれなかったようです。夢で好きな人を待つというところから、恋の切実さが伝わってきます。無駄のない言葉で切ない恋心を素直に表現しています。

 

【NO.2】『 あんなにも 共に過ごした Wi-Fiの 名前もパスも 思い出せない 』

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昔同棲していた恋人のことを思い出しているのでしょうか。長い時を過ごしていたはずなのに、今ではその家のWi-Fiの名前さえも思い出せない。ふとしたことで過ぎ去ってしまった日々を忘れてしまった実感をすることがありますよね。

 

【NO.3】『 落ちた写真の中のきみは知らない女性(ひと)の胸に抱かれて 』

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恋人は、過去の写真を落としてしまったのでしょうか。恋人が他の人の腕に抱かれている写真を見てしまうのは、なかなか切ないですね。

 

【NO.4】『 言い出せない ままに別れた 秋の日は たまごの黄身を 落としたように 』

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「たまごの黄身を落としたように」という比喩がとても興味深い歌です。秋のオレンジ色なイメージが、たまごの黄身の色と合っているのもポイントです。もしかしたから、「君」と「黄身」が掛けられているのかもしれません。表現が面白い歌です。

 

【NO.5】『 まっすぐに 投げても風で 逸れてゆく 紙飛行機のような 片恋 』

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まっすぐに想っていても、なかなか上手い方向にいかない片想いのもどかしさをすっきりとした言葉で、それこそまっすぐに歌っています。片想いの歌ですが、どろどろとした感じではなく、むしろ全体的に爽やかな印象を受けるところがこの歌の魅力です。

 

【NO.6】『 君を絶望 させるため 「初恋の人」は生 まれてきたの、知ってた? 』

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「初恋は叶わない」とよく言われています。皆さんも「初恋の人」に絶望させられた経験があるのではないでしょうか。話しかけるような言葉遣いと「知ってた?」という終わり方が、この歌のほろ苦い雰囲気を効果的に作り出してしますね。

 

【NO.7】『 安心して 忘れてください あなたより 愛してくれる 人がいたから 』

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この歌は、一見謙虚に見えますが、実は残酷な歌なのではないでしょうか。「忘れてください」という言葉は、忘れて幸せになって欲しいという優しさとも、忘れられることで罪悪感から逃れたいという利己的な気持ちともとれます。

 

【NO.8】『 短めに 切った前髪 視界には あなたがいない 新しい街 』

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前髪を切って視界がひらけた。けれど、あなたはいない。主体は恋人と同棲していて、別れてしまって新しい街に来たということでしょうか。切ないけれど、すがすがしい印象を受ける歌です。

 

【NO.9】『 君のため 買ったのに渡せなかった 入浴剤の 溶けるスピード 』

短歌職人
好きな人の為に入浴剤を買ったのに渡せずに、自分のお風呂に入れている、という歌です。入浴剤の溶けるスピードが、速かったのか遅かったのか明かさないところがポイントです。体言止めによって生み出された余韻が、哀愁を感じさせます。

 

【NO.10】『 目覚めたら もう午後だった、と言うように 君は笑って 別れを告げた 』

短歌職人
長い夢から醒めた(恋が冷めた)ということでしょうか。「目覚めたらもう午後だった」という表現がいろいろな意味にとれますね。別れの歌だというのにあっけない雰囲気なのが切ないですね。

 

以上、切ない恋の短歌集でした!

 

 

いかがだったでしょうか?

 

はるか昔に詠まれた短歌から最近の短歌まで、本当にいろいろな歌がありました。

 

昔の短歌でも、今の私たちが共感できるような歌がたくさんありましたね。

 

人間の誰かに恋をする気持ちは、ずっと昔から変わなないのです。

 

短歌職人
みなさんもぜひ、自分の気持ちを短歌にしたためてみてください!