【美しい短歌 20選】知っておきたい!!季語を含む有名短歌&素人短歌を紹介!

 

皆さんは、短歌に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。

 

短歌といえば、万葉集や古今和歌集などの昔の人たちが歌った雅で風流なものから、現代の口調で歌われた比較的自由なスタイルの歌まで幅広く存在します。

 

四季折々の姿を歌にのせたものも多く、日本ならではの美しさを感じられますよね。

 

 

今回は、ぜひ知っておきたいおすすめの美しい短歌をご紹介します。

 

短歌職人
有名なものから素人の方が作ったものまで幅広く紹介していきます。ぜ
ひ短歌作りの参考にしてみてください!

 

美しい有名短歌【おすすめ10選】

 

【NO.1】西行

『 願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ 』

意味:願うなら、春の花が咲いたころ、如月の満月の日に花の下で死にたい。

短歌職人
自分が死ぬときのことを考えたことがありますか。この歌のように月明かりに照らされて散った花に埋もれて命を落とすのであれば本望かもしれません。

 

【NO.2】大伴家持

『 わが園に 梅の花散る ひさかたの 天より雲の 流れ来るかも 』

意味:私の庭で梅の花びらがまるで天から降る雪のように散っている。

短歌職人
ふわふわと散っていく梅の花が雪のように美しいです。ちなみに、梅は散るときに花弁ごとぽろっと落ちるので「こぼれる」という表現をすると聞きました。日本人の花をめでる気持ちが良く伝わってきます。

 

【NO.3】清原深養父

『 夏の夜は まだ宵ながら あけぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ 』

意味:夏の夜は短くて、まだ宵だと思っていたらもう空が明けてきた。雲のどこかに宿でも取っているのだろうか。

短歌職人
夏の夜は明けるのが早く、白んだ空も美しいです。あまりに月の出る時間が短いので月が雲に宿をとっているのかな、と想像する作者の想像力が光る歌です。

 

【NO.4】藤原義孝

『 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな 』

意味:あなたのためなら失うのも惜しくないと思っていた命だが、あなたに会うためならば長く生きたいと思うようになった。

短歌職人
この歌のように人を愛することができる人は素晴らしいです。その人のためなら自分はどうなっても構わないと思えるような人に出会えたら幸せかもしれません。

 

【NO.5】阿倍仲麿

『 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも 』

意味:大空を仰いでみると月が浮かんでいるが、あれは奈良の三笠山に浮かんでいた月と同じなのだなあ。

短歌職人
月は世界中どこから見ても同じ月です。自分がどのように変わっていっても変わらないものがあると思い出させてくれるような心に沁みる歌です。

 

【NO.6】正岡子規

『 瓶(かめ)にさす 藤の花ぶさ みじかければ たたみの上に とどかざりけり 』

意味:瓶に挿した藤の花房が短いので畳の上に届いていない。

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この歌は、子規が床に臥せっていた時に詠んだ歌なのだそうです。低い視点だからこそ見えた藤の花の下にあった空間です。花と畳のあいだの空間こそがこの活けられた花の美しさなのかもしれません。

 

【NO.7】北原白秋

『 春の鳥 な鳴きそ鳴きそ あかあかと 外の面(とのも)の草に 日の入る夕べ 』

意味:春の鳥よ、鳴かないでくれ。外の草に赤々と夕日が照っている。それ以上鳴かれると、私まで悲しくなってしまう。

短歌職人
音のリズム感が印象に残る歌です。夕暮れの哀愁に輪をかけるように鳴く鳥に、どうか鳴かないでと思う気持ちが「鳴きそ」の反復によって胸に迫ってくるような気がします。

 

【NO.8】斎藤茂吉

『 ただひとつ 惜しみて置きし 白桃(しろもも)の ゆたけきを吾は 食ひをはりけり 』

意味:大切にとっておいた白桃の豊かさをとうとう食べ終えてしまった。

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とても大切に取っておいたものに手を付けるとき、多くの喜びと半分くらいの寂しさや悲しさを覚えるものです。その相反する感情を整理しきれないまま口に入れる桃の美味しさはいかほどのものなのでしょうか。

 

【NO.9】北原白秋

『 君かへす 朝の鋪石(しきいし) さくさくと 雪よ林檎(りんご)の香のごとく降れ 』

意味:君を帰そうと思っていると、雪が敷石の上に降ってきた。雪よ、林檎の香りのように降っておくれ。

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林檎の香りのように、といった独特な表現が美しい歌です。仄かに甘酸っぱい林檎の香りと雪はなんとなくリンクしないように感じられるのですが、歌になると美しいイメージとして成り立つのですから不思議です。

 

【NO.10】若山牧水

『 海底(うなそこ)に 眼のなき魚(うお)の 棲()むといふ 眼の無き魚の 恋しかりけり 』

意味:海の底には目のない魚が住んでいるという。そんな魚をうらやましく思う。

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この歌を詠んだ時の牧水は、恋人との別れを経験していたそうです。叶わない恋を前に、いっそ目が見えない(彼女の美貌を見ることのできない)目のない魚になってしまえたらという後悔が歌という美しいかたちで昇華したもののように感じます。

 

美しい素人オリジナル短歌【おすすめ10選】

 

【NO.1】『 白菊を 手折(たお)る貴女の 指先を 霜と見紛(みまご)う 初めての朝 』

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菊の茎の硬さとたおやかな指先の対比が美しい歌です。霜のごとく白く淡い指先は花によく似合いそうです。

 

【NO.2】『 かりそめの ブルーハワイの かき氷 真夏の夜は きみに逢いたい 』

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ブルーハワイの味って結局何の味を指して言うのかよくわからないですよね。そんな人工的な味に真夏を連想してしまうのは、あの色があまりにも夏にピッタリと合う色だからなのでしょう。青春を思い出させてくれるような歌です。

 

【NO.3】『 君が弾く 僕が微笑む 放課後の 西日やはらか ピアノは歌う 』

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学校の放課後というだけでなんだか特別な雰囲気があります。西日に照らされて黒く光ったピアノの重厚感が美しいです。こういったシチュエーションが「題名は知らないけれどなんとなく記憶にある曲」を生み出すのでしょう。

 

【NO.4】『 大空に 火の粉を散らし 無へと帰す 花火は夏の 断末魔なの 』

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花火の壮大かつ刹那的な美しさを歌った短歌です。お腹に響く音と目の前ですぐに散ってしまう花火、あの轟音を断末魔と表現するのは言い得て妙だと思いました。夏がもうすぐ終わってしまう一抹の寂しさを抱えて花火を見たことを思い出します。

 

【NO.5】『 うるはしの 五月に咲いた クレマチス 君のスカートの裾ひらひらと 』

短歌職人
華やかなクレマチスの花とふんわりと軽やかなスカートがいかにも5月らしい素敵な歌です。“ひらひら”という擬音で動きがでて、5月の陽気や春の喜びがより感じられます。

 

【NO.6】『 俯いた 黒百合の首 持ち上げて 不敵に笑う 赤眼の少女 』

短歌職人
妖艶な雰囲気が独特な歌です。赤い目を持つことから、この少女が人ならざるものであるのがわかります。彼女の正体と笑みの真意に気付いたらなにか恐ろしいことが起きそうです。

 

【NO.7】『 白色の 彼岸花さへ 血に染まり 想ひはいつか 悲しき思ひ出 』

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同じ花でも色によって花言葉が違うのをご存じでしょうか。白い彼岸花は「また逢う日を楽しみに」赤い彼岸花の花言葉は「悲しい思い出」です。白い花が血に染まって赤くなるという発想が恐ろしくも美しいです。

 

【NO.8】『 花冷えの  夜の暗さに 包まれて 別れしひも 聞くや雨音 』

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雨の音を聞くと憂鬱な気分になる人は多いと思いますが、雨の音が落ち着くといった人も一定数存在するようです。雨音には癒し効果があると言います。雨の日は外の音に耳を傾けながらゆっくりと過ごすのもいいですね。

 

【NO.9】『 砂糖漬けの すみれを喰(は)む 少女には 恋の痛みも 苦しみもなく 』

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純真無垢な印象が美しい歌です。すみれの砂糖漬けは良い香りと仄かな甘みがあり、まさに少女にぴったりの食べ物と言えそうです。

 

【NO.10】『 太陽に 透ける葉脈 あじさいは 彩度を梅雨の 湿度に委ね 』

短歌職人
紫陽花の花は雨が降るほど色鮮やかになると言いますよね。紫陽花の色で季節の歩みを感じられます。時期の終わりかけに色褪せ始めた紫陽花もまた退廃的な雰囲気をまとっていて美しいと思います。

 

以上、おすすめの美しい短歌でした!

 

 

今回紹介した短歌には、美しい花などの目に見える直接的な美しさや溌溂とした生命にあふれる美しさ、どこか退廃的なのに感じられる美しさ、その歌だからこそ美しいと思える言葉の妙など、美しいものには様々な種類がありました。

 

また、何を美しいと感じるかは元々備わった感性や経験によるもので人によっても違うので、自分で美しいと感じたお気に入りの歌を探してみるのもいいかもしれませんね。

 

短歌職人
是非、あなたも短歌作りにチャレンジしてみてください!