【9月おすすめ学生短歌集 20選】中学生向け!!短歌作りの参考になる短歌ネタを紹介

 

9月はまだまだ残暑が厳しく気温の高い日がありますが、空を見上げると入道雲から薄く流れる秋の雲へと変化が見られ、少しずつ秋の気配を感じるようになります。

 

9月をテーマにした短歌にも行く夏を惜しむものや秋の訪れを主題にしたものが多くあります。

 

今回は、そんな「9月」をテーマに一般の方が詠んだ短歌を20首ご紹介します。

 

 

短歌職人
自分で短歌を作る際の参考にもなりますので、ぜひ目を通してみてください。

 

9月(九月)の一般おすすめ短歌集【前半10首

 

【NO.1】

『 よーいドン 2匹の蜻蛉(とんぼ)が 空を飛ぶ 秋空きらめく 長月の頃 』

短歌職人

「よーいドン」が秋の運動会を連想させ、2匹のトンボが同時に飛び立って行った様子を想像させます。高く晴れた秋の空の輝くような美しさと、スピードを競うようなトンボの生き生きとした姿が描かれた一首です。

 

【NO.2】

『 長月の 雨音聴いて 眠る夜 肌に感じる 夏のお仕舞い 』

短歌職人

真夏のスコールの様な雨と違って、秋の雨はしとしとと静かに降ることが多く、雨音を聞きながら眠るのも快く感じられるでしょう。むしむしとした湿気も感じられなくなり肌が涼しさを覚えて、夏が終わるのだと実感している歌です。「お仕舞い」という言葉は「おしまい」や「お終い」よりも、幕引きのような寂しさを感じます。

 

【NO.3】

『 名月は お呼びに答え お出まして 誰彼とはず あまねく照らす 』

短歌職人
9月半ばに出る月は「中秋の名月」や「十五夜」と言って、1年で最も美しく見える月とされています。今日はお月見だぞと皆が期待するので月は満を持して登場し、夜空の主役にふさわしい光で下界を照したのでしょう。堂々とした満月の姿が想像されます。

 

【NO.4】

『 中秋の 名月は少し 欠けてても 名に違いなき 美しき月 』

短歌職人
毎年「中秋」は日が決まっているので必ずしも満月が見られるとは限りません。しかしそれでも名月は美しいと、月の美しさに感嘆している歌です。月のみに焦点を当てることで、月への感動の大きさが強調されています。

 

【NO.5】

『 川べりの ススキの上で 留まる月 自然の造形 愛でる十五夜 』

短歌職人
ススキは秋を連想させるもので、月とともにイメージされることも多い植物です。ススキの上空に月がかかる偶然の景色を作者は絵画のように感じ、自然の美しさに強く心を打たれたのでしょう。

 

【NO.6】

『 中秋の 名月過ぎた 十六夜月 夏の想いを 残し欠けゆく 』

短歌職人
満月を1日過ぎた月のことを「十六夜(いざよい)の月」と言います。真ん丸の満月に夏の盛りをたとえて、そこから月が欠けていく様子に夏が過ぎていく寂しさを重ねて表現しているのでしょう。夏を惜しむ気持ちや、思い残しを感じます。

 

【NO.7】

『 天高く コスモス畑に 風そよぐ そんな秋を 残暑の中待つ 』

短歌職人
第三句までが秋をイメージさせますが、第四句でそれが想像だったことが分かります。実際は厳しい残暑が続いており、早く暦通りに秋になってくれないかなと暑さに飽きてしまった気持ちや秋への期待が伝わる歌です。

 

【NO.8】

『 寒き雨 蝉の鳴き声 途絶えけり 残暑来ぬまま 秋深まれり 』

短歌職人
残暑が厳しい時もあれば残暑が全くない時もあります。「蝉の鳴き声が途絶える」という表現から、夏から突然秋になったように感じていることと、少し残念なような寂しい気持ちが伝わってきます。

 

【NO.9】

『 秋桜 後ろ姿の 細い人 風に遊ばれ 右に左に 』

短歌職人
「秋桜」はコスモスのことです。花の大きさの割に茎の細いコスモスが風に翻弄される様子を人にたとえて表現した歌です。擬人化することでコスモスの頼りなげな、はかなげな姿が愛らしく思え、何だか守ってあげたくなるように感じます。

 

【NO.10】

『 ひとりごと 一人でいうのは 寂しいと 秋の桜へ そっとささやく 』

短歌職人
秋は人をセンチメンタルにし、寂しさを感じさせることがあります。作者が寂しさを覚えた時、側にはコスモスが咲いていたのでしょう。コスモスはじっと作者に寄り添ってささやきを聞いてくれていたのかもしれません。

 

9月(九月)の一般おすすめ短歌集【後半10首

 

【NO.11】

『 いわし雲に ツクツクボウシの 声聞いて 過ぎゆく夏と 秋を楽しむ 』

短歌職人
いわし雲は秋に見られる雲でツクツクボウシは夏の終わりに鳴く蝉です。秋と夏のちょうど間にいて、両方の風物詩を味わえる短い期間に情緒を感じている歌で、作者が今を堪能している様子が想像されます。

 

【NO.12】

『 ゆらゆらと 葉陰鞘豆 風に揺れ 残暑に思ふ 鞘割れの秋 』

短歌職人

鞘豆(さやまめ)はえんどう豆のことで、えんどう豆の中には秋に収穫できるものもあります。またえんどう豆は、豆を取り出す時にさやがパカッと気持ちよく割れます。まだ夏の暑さが残る中で作者は風に揺れる豆を見て、もう豆がさやを割られるのを待つばかりなのだと思い、秋であることを感じたのでしょう。

 

【NO.13】

『 お彼岸の 中日に開く 曼珠沙華 日は間に合えど 嵐近付き 』

短歌職人
曼珠沙華はヒガンバナのことです。お彼岸にその名前の通りに花が咲いたことへの感慨を詠んだ歌で、体現止めの「曼珠沙華」が赤い花の鮮やかな色を思わせます。しかし台風が近付いているのでしょう。やっと咲いた花を心配する気持ちも伝わってきます。

 

【NO.14】

『 名も知らぬ 果実が道を 塞いでる 実りの秋の 台風一過 』

短歌職人
台風が過ぎ去った後の道に、吹き飛ばされてきた何かの果実が落ちていたのでしょう。「塞いでる」で、道の真ん中にあった果実に「何だ?」と注目したことが想像されます。果実は名前は分からないけれど熟していたのでしょう。それを見て「実りの秋」と感じるところが面白く、センスを感じる歌です。

 

【NO.15】

『 動かない 手足も小さく 揺れ出して 敬老の日の フラダンス慰問 』

短歌職人
敬老の日に介護施設などへ慰問しフラダンスを披露したのでしょうか。ダンスを見てお年寄りの手足が次第にリズムに乗るように動き出したのでしょう。「揺れ出した」と完了形ではなく「揺れ出して」としたことで、それが嬉しかった、感動したという気持ちが作者の中でずっと続いていることを表しているように感じます。

 

【NO.16】

『 金色の 稲穂が稔り 風に揺れ 明日は晴天 収穫の刻 』

短歌職人

9月は稲刈りの季節です。第三句までの描写からは、実った稲が埋める田んぼがどこまでも続き、風が吹いて金色の波のように見える豊作の風景が想像されます。いよいよ明日は収穫だ!と期待に胸踊る様子が伝わります。

 

【NO.17】

『 新米の 炊ける匂いを 堪能し 心ゆくまで 秋を味わう 』

短歌職人

9月半ばになると多くの地域で新米が出回り始めます。新米が炊けて、作者はお釜の蓋を開けた時の湯気の匂いも特別に感じられたのでしょう。新米への嬉しさと、秋は良いものだという感動が伝わる歌です。

 

【NO.18】

『 秋の夜の 流れ行く雲 切れ切れと サンマ雲と 名付けて歩こう 』

短歌職人

秋の雲をいわし雲とよく言いますが、それに引っかけてサンマ雲と呼ぶことにしたのでしょう。秋の夜を雲を見ながらゆっくり散歩をしていたのでしょうか。9月はサンマも美味しい時節なので、作者は横長に切れ切れと並ぶ秋の雲を見てサンマを思い出したのかもしれませんね。

 

【NO.19】

『 秋の日に 漂う香りに 誘われて そっと踏み入る 稲刈りの後 』

短歌職人

稲を刈ったばかりの田んぼは土と干し草のような匂いがします。稲の茎が短く残るだけの田んぼは、いつもよりも広々と見えることでしょう。そこにそっと入った作者は、稔りへの感謝を思ったのかもしれません。そしてしみじみと秋を感じたのではないでしょうか。

 

【NO.20】

『 栗ごはん 美味な季節が やってきた 歓喜に踊る 新米の秋 』

短歌職人

9月は栗もお米も美味しい季節です。その両方を味わえる栗ご飯は秋の味覚の代表格です。「歓喜に踊る」のは作者の心でもあり、お釜の中で炊かれている新米一粒一粒の様子であるとも思えます。

 

以上、9月について詠んだオススメ一般短歌集でした!

 

 

今回は「9月」をテーマに詠んだ一般短歌を20首紹介しました。

 

秋の始まりである9月には趣深い風物詩が多くあり、中でも「十五夜」や「お彼岸」は人気のテーマとなっています。また、秋の食べ物のことを短歌にするのも、自分なりの面白味のある歌が作りやすいので良いでしょう。

 

学生の皆さんは二学期が始まるので、夏休みが終わったことや新学期になった気持ちを詠み込んでも9月らしい短歌になります。

 

短歌職人
皆さんも9月に感じたことや体験した出来事などをぜひ短歌にして表現してみてください。