3月は卒業シーズン真っ盛り。気候が温暖になり、春の花もちらほら咲き始めます。
そのため、3月をテーマにした短歌では、訪れた春への感慨や卒業式の様子を歌にしたものが多く見られます。
青空に
待ち人来たり
寒桜
心の中に
春の訪れ#短歌 pic.twitter.com/Cgnx5JeqJV— チョコポコ✿五七五 (@chocopoco575) January 21, 2014
教室で 会うこともない もう二度と 最後の時間 卒業だから (おだまん短歌集)*卒業式はあさって pic.twitter.com/BykfggT11Z
— ODAman(二黒土星) (@YISODAMAN) March 3, 2015
今回は、「3月」をテーマにして一般の人が作った短歌を20首ご紹介します。
3月に関するおすすめ一般短歌ネタ【前半10首】
【NO.1】
『 雛の日に ちょっと嬉しい 茶碗蒸し 季節外れに 香る銀杏 』
【意味】ひな祭りの日にちょっと嬉しい茶碗蒸し。季節外れの銀杏が香る
【NO.2】
『 山の中 住む従姉妹のは 七段で 転勤族の ウチは三段 』
【意味】山の中に住む従姉妹の雛人形は七段飾りで、転勤族のうちのは三段
引越しを繰り返す環境では、大きな雛人形は運搬も飾り付けも難しいでしょう。そのことを「転勤族のウチ」と理解しながらも七段をうらやましく思う気持ちがうまく表されています。
【NO.3】
『 噴雪花 咲くも覆うか 名残雪 今朝の磐越 雪模様かな 』
【意味】雪柳は咲いたが名残雪が覆ってしまったか。今朝の磐越は雪模様だよ
【NO.4】
『 早咲きの 薄いピンクに 寒桜 春をつかんだ 合格発表 』
【意味】薄いピンクに色づいてた早咲きの寒桜。春をつかんだ合格発表
【NO.5】
『 合格の 知らせに梅花 喜んで 白い笑顔を 見せる春かな 』
【意味】合格の知らせに梅の花も喜んで白い笑顔を見せている春だよ
【NO.6】
『 ミニチュアの オルゴール買い プレゼント ホワイトデーの あの娘の笑顔 』
【意味】ミニチュアのオルゴールを買ってプレゼント。ホワイトデーのあの娘の笑顔
【NO.7】
『 ホワイトデー もらってない俺 楽だけど 返すやつ見て 気が滅入る俺 』
【意味】ホワイトデーはもらっていない俺は楽だけど、お返しをする奴を見て気が滅入る俺
【NO.8】
『 巣立つ君 幸多かれと それだけを 空に放ちて 弥生三月 』
【意味】巣立つ君に幸多きことをと、その願いだけを空に放つ3月
【NO.9】
『 窓ガラス 一枚くらい 割ってれば 卒業式で 泣けたでしょうか 』
【意味】窓ガラスを一枚くらい割っていれば卒業式で泣けたでしょうか
【NO.10】
『 散々に 僕らを叱った 先生が 涙を見せている卒業式 』
【意味】散々僕らを叱った先生が涙を見せている卒業式
3月に関するおすすめ一般短歌ネタ【後半10首】
【NO.11】
『 もうきっと 会わないだろう 好きだった 人の姿を 見納む弥生 』
【意味】もうきっと会わないであろう好きだった人の姿を見納める3月
【NO.12】
『 ふたたびは 逢わじと告げて 別れきつ その三月の 雪降る朝 』
【意味】再び逢うことはないだろうと別れた3月の雪の降る朝
「雪降る朝」という体言止めが余韻を残し、別れの寂しさを際立たせます。
雪の降る朝という情景もまた物寂しいですが、しかし静かな印象があり、悲しさではなく新たな場所へ向かう意志が感じられます。
【NO.13】
『 春彼岸 おはぎを作る 手がかりは 祖母の笑顔と 懐かしい声 』
【意味】春彼岸におはぎを作る手がかりは祖母の笑顔と懐かしい声
【NO.14】
『 彼岸すぎ 花の季節も 北風に 季節忘れた 雪の結晶 』
【意味】彼岸を過ぎて花の季節になったが、北風が吹き季節を忘れたように雪の結晶もできている
【NO.15】
『 花よ花 咲き急ぐなよ まだ弥生 疼く卯月に まだならぬぞよ 』
【意味】花よ花、急いで咲くなよ、まだ3月だ。心のうずく4月にはまだならないぞ
【NO.16】
『 白鳥の 声に駆け出て 仰ぎ見る 弥生の空の その白き列 』
【意味】白鳥の声に走って出て仰ぎ見た3月の空には白鳥の白い列
渡り鳥の白鳥は春になると北へ移動します。作者は白鳥を見送ろうとしたのかもしれません。真っ白い白鳥の列がとても印象的で、その感動を歌にしたのですね。
【NO.17】
『 かざぐるま 弥生の風に かろかろと 尖れる先を われへと向ける 』
【意味】風車が3月の風にかろかろと回り、尖った先を私に向けている
春の風に風車が回る情景を詠んだ歌です。「かろかろ」という擬音語が風車の音と、軽やかに回る様子をうまくイメージさせ、穏やかな風が吹いていることを思わせます。
【NO.18】
『 里山の 弥生み空の 八重桜 人を想へば 染めたや色の 』
【意味】里山の3月の空と八重桜。人を想って色を染めたのだろうか
八重桜が頬を染めるようにぽっとピンク色になったと想像すると可愛らしいですね。春の空を背景にして咲く八重桜の濃いピンク色が目に浮かびます。
【NO.19】
『 春近し そう思わせる 碧空が 雪の川原に 広がる弥生 』
【意味】春は近いと思わせる碧空が雪の川原の上に広がる3月だ
碧空(へきくう)は青空のことです。地方によっては3月はまだ雪も多いですが、青空は多く見られるようになります。春が来るんだなと、青空を見て感じた期待を詠んだ歌です。
【NO.20】
『 いよいよと 今生い茂る 草木にて だんだん進む 麗らか弥生 』
【意味】草木はいよいよ今にも生い茂って、麗らかな3月がだんだん進んでいる
「麗らか」は穏やかな晴れの日を表す言葉です。麗らかな春の日などと言いますね。暖かな3月の中で草が芽吹き、木の葉も緑鮮やかに葉を茂らせていく様子が想像されます。
以上、3月に詠まれたオススメ短歌でした!
皆さんは3月と聞いてどんなことをイメージしますか?
重いコートのいらない春の暖かさや、咲き始めた花のことでしょうか。またはそれまでの環境との別れや、3月ならではの行事でしょうか。
ぜひ自分なりの3月を短歌にしてみましょう。
3月の出来事や3月の思い出を詠みこんで、オリジナルの短歌作りにチャレンジしてみてくださいね。