食べ物に関する短歌は今昔数多く存在します。
食べ物の短歌には、思わず食べたくなるようなリアルな情景を歌われたものが多くあります。
"水蜜桃の汁吸うごとく愛されて前世も我は女と思う" pic.twitter.com/gSG4i0Xe54
— タナカ (@xxxaccomedy) July 20, 2014
短歌に変換。食べ物の事しか頭にないんかよ爆笑 pic.twitter.com/j0tijHZcUL
— に (@kanon1402) September 11, 2016
今回は、「食べ物」を題材にして歌った有名短歌やおすすめ短歌をご紹介します。
食べ物を題材にした有名短歌【おすすめ10選】
【NO.1】長意吉麻呂
『 醤酢(ひしほす)に 蒜搗(ひるつ)きかてて 鯛願ふ 我にな見えそ 水葱(なぎ)の羹(あつもの) 』
意味:鯛を醤酢と蒜を搗いたものを食べたいが、水葱の羹は欲しくない。
【NO.2】光孝天皇
『 君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ 』
意味:あなたのために春の野に行って若菜を摘む私の袖に、雪が降りしきるのです。
【NO.3】大伴家持
『 石麻呂に 吾(われ)物申す 夏痩せに よしといふ物そ 鰻とり喫(め)せ 』
意味:瘦せすぎた友人が心配なので、夏に食べるとよいとされる鰻をおすすめする。
【NO.4】有馬皇子
『 家にあれば 笥(け)に盛る飯を 草枕に 旅にしあれば 椎の葉に盛る 』
意味:家にいれば笥に盛る飯ですが、今は旅に出ているので椎の葉に盛ります。
【NO.5】橘 曙覧
『 楽しみは まれに魚煮て 兒等(こら)皆が うましうましと いひて食ふ時 』
意味:まれに魚を煮て子供たちに出したときに、うまいうまいと言って食べているのが楽しい。
【NO.6】良寛
『 月よみの 光を待ちて 帰りませ 山路は栗の 毬(いが)の多きに 』
意味:山道は栗の毬がたくさんあるから、月が出るのを待ってから帰りなさい。
【NO.7】斎藤茂吉
『 沈黙の われに見よとぞ 百房の 黒き葡萄(ぶどう)に 雨ふりそそぐ 』
意味:黒々とした百房の葡萄が、沈黙している私に見よとばかりに雨が降り注ぐ姿を見せている。
【NO.8】正岡子規
『 籠に盛りて 柿おくりきぬ 古里の 高尾の楓 色づきにけん 』
意味:籠に盛った柿を送ってもらった。古里である高尾の楓も色づいたことだろう。
【NO.9】俵万智
『 水蜜桃(すいみつとう)の 汁吸うごとく 愛されて 前世も我は 女と思う 』
意味:桃の汁を吸うように愛されて、私も前世は女であったと思う。
【NO.10】長塚節
『 しめやかに 雨過ぎしかば 市の灯は みながら涼し 枇杷(びわ)うずたかし 』
意味:夏の雨上がりに市場の灯は涼しげに感じられ、また枇杷がうず高く積まれている。
食べ物を題材にした素人オリジナル短歌【おすすめ10選】
【NO.1】『 たくさんの 筍頂き おすそ分け おいしい惣菜 我が家に戻り 』
【NO.2】『 その昔 キウイは緑 しかなくて 食べると舌が ざらざらとした 』
【NO.3】『 大切に すれば溶けてく まだこない 君に食べさせたかったアイス 』
【NO.4】『 たまねぎと 心通わす 台所 深く知るたび 涙流れる 』
【NO.5】『 今回は 見送ったのに 川下から 大きな桃が 遡上(そじょう)してくる 』
【NO.6】『 あんず飴 浴衣の君が 差し出した 酸いも甘いも 瞬きの中 』
【NO.7】『 夏の日の 檸檬(れもん)かじれば 涼しげに その香はじけて 君が頬にも 』
【NO.8】『 日も暮れて 蟋蟀(こおろぎ)の音を 聞き乍(なが)ら 鰤(ぶり)大根の 鍋を突っ突き 』
【NO.9】『 二人して 座るベンチの 目の前を 石焼き芋の 屋台が通る 』
【NO.10】『 曖昧な 甘さに惑う 桜餅 葉を剥ぐ人差し指の悲喜 』
以上、食べ物を題材にしたおすすめ短歌でした!
食べ物をテーマに作られた歌は、家庭の暖かさを感じられるものが多いように感じます。
以外にも果物と雨を掛け合わせた歌が多く見受けられました。雨が果物の新鮮さを助長するのでしょうか。