【戦争•平和を題材にした一般短歌 20選】中学生向け!!参考になる短歌ネタを紹介

 

今回は、戦争・平和を題材にして一般の人が作った短歌を20首ご紹介します。

 

 

短歌職人
それぞれの歌に込められた思いや願いを感じながら鑑賞してみてください。

 

戦争•平和を題材にした一般短歌ネタ【前半10首

 

【NO.1】

『 見上げれば 飛行機雲の 道ひとつ あの日の空に 響く蝉の音 』

【意味】見上げると飛行機雲の筋が一つ。あの日の空には蝉の音が響いている

短歌職人
「あの日の空」は戦時中の空を指し、「飛行機雲」は戦闘機を連想させます。戦闘機の音が響いていた空に今響くのは蝉の音、と体言止めを用いて、経過した年月を思わせます。

 

【NO.2】

『 我イカン 命ヲ、ササゲ 護リヌク」 貴方と共に 平和を見つめ 』

【意味】「我行かん、命を捧げ護り抜く」貴方と共に平和を見つめる

短歌職人

上の句は出征した兵士の言葉を表します。兵士たちの捧げた命を思い、作者は大切な人と共に平和を見つめます。「見る」ではなく「見つめ」という表現からは真摯な眼差しを感じます。

 

【NO.3】

『 大切な 我が子の明日を 耕して 御国に取られる 徴兵令 』

【意味】大切な我が子の明日のために田畑を耕して、その子を御国に取られる徴兵令

短歌職人
徴兵制度では戦争が起きれば、親は子を兵隊として送り出さねばなりません。子どもを大切に育て上げる様子の分かる上の句が、下の句の無情さを引き立たせます。

 

【NO.4】

『 戦争も 飢餓も怒りも 憎しみも 僕の世界に 存在しない 』

【意味】戦争も飢餓も怒りも憎しみも僕の世界には存在していない

短歌職人
「僕の世界」が平和だという歌です。しかし外の世界には戦争も餓えも憎悪もあるのだと暗に表現し、悲しい余韻を残します。

 

【NO.5】

『 本当に、現代なのか、現代だ SNSの 向こうの戦争 』

【意味】本当にこれは現代なのか?現代だ。SNSの向こうの戦争

短歌職人
海外の戦争の写真や映像を見て、これは現実のことなのか?と思わず疑ったのでしょう。驚きと、次いで現実なのだと実感したことが伝わってきます。

 

 

【NO.6】

『 紛争も 銃撃戦も ないけれど 転んでもだれも 助けてくれない 』

【意味】紛争も銃撃戦もないけれど転んでも誰も助けてくれない

短歌職人
日本は紛争も銃撃戦もなく平和ですが、優しい気持ちが感じられないという歌です。転んだ人の横を通り過ぎていく人々を想像すると無機質な印象を受けます。

 

【NO.7】

『 沖縄の 苦節歩んだ 五十年 皆が笑える 答え探して 』

【意味】沖縄が苦節を歩んだ五十年。皆が笑える答えを探している

短歌職人
沖縄は大戦では激戦地となりました。日本に領土返還されてからも県民には様々な苦労があります。沖縄が平和であるようにとの願いを詠んだ歌です。

 

【NO.8】

『 戦争が 起きてる国の 裏側の 国のこどもの 戦争ごっこ 』

【意味】戦争が起きている国の、地球の裏側の国の子供は戦争ごっこをしている

短歌職人
「戦争ごっこ」をして遊ぶ子供は「ごっこ」ではない戦争を知らないでしょう。世界にはいつも平和な国とそうではない国があるのだと考えさせられます。

 

【NO.9】

『 終の字を 検索すれば 終戦の 文字現れて 止まる指先 』

【意味】終の字を検索しようとしたら終戦という文字が現れて指先が止まった

短歌職人
予測変換か検索候補に「終戦」という言葉が表示されたのでしょう。作者は思わず目線も指先も止まり、戦争について深く考えたのかもしれません。

 

【NO.10】

『 ますらおの 下げ佩く太刀の 音絶えて いくさはやみぬ 歌えわらべよ 』

【意味】男子が腰に下げる太刀の音は絶えて、戦争は終わった。子供たちよ歌え

短歌職人
「ますらお」は勇ましい男子のことです。「絶えて」という言葉は戦争が完全に終わったことを表します。子供たちの歌声が明るく響く世の中であれとの願いを感じます。

 

戦争•平和を題材にした一般短歌ネタ【後半10首

 

【NO.11】

『 校庭に プールサイドに 子供たち すこやかであれ そして閃光 』

【意味】校庭の、プールサイドの子供たちよ健やかであれ。そして閃光

短歌職人
第四句まで平和な情景が語られ、第五句で突然それは破られます。戦争とはある時突然に全てを奪い去るものだと伝える歌です。

 

【NO.12】

『 紛争の 解決ならば 弾よりも 援助降らせよ 本心ならばね 』

【意味】紛争を解決するなら弾よりも援助を降らせよ、本心ならばね

短歌職人

紛争が起きた国には、他の国が武器を供給したり、時には戦いに参加して収拾を試みたりします。そうではなく、市民への援助をしろという気持ちを皮肉を込めて表現しています。

 

【NO.13】

『 パンくれと おじさん囲む 鳩たちに この世は平和か?と聞いてみたい 』

【意味】パンをくれと、おじさんを囲む鳩たちに、この世は平和か?と聞いてみたい

短歌職人
鳩は平和の象徴とされます。「おじさん」の足下にはたくさんの鳩がいるのでしょう。しかし果たして世の中は本当に平和なのか?と読み手にも問いかける歌です。

 

【NO.14】

『 靖国の 境内(にわ)に集いし 英霊の 声を探して 正午(とき)を迎える 』

【意味】靖国神社の境内に集う英霊の声を探して正午を迎える

短歌職人
戦死した兵士は英霊として靖国神社に祀られています。終戦の日に作者は靖国神社を参詣し、彼らを思いながら正午を迎え黙祷を捧げたのでしょう。

 

【NO.15】

『 願はくは 村いっぱいに 子供たち 武器は楽器に 基地は広場に 』

【意味】村いっぱいに子供たちが遊び、武器は楽器に、基地は広場になりますように

短歌職人
紛争や戦争が行われている国で暮らす人々を思って詠まれた歌です。武器も基地も不用なものとなり、子供の遊び道具に変わる時が来ればいいとの願いが込められています。

 

 

【NO.16】

『 手を合わせ 目を瞑る時 亡くなった 魂はなお こちらを見てる 』

【意味】手を合わせ目を瞑(つむ)る時に、亡くなった魂はなおこちらを見ているのだ

短歌職人

戦争で亡くなった人々はずっとこちらを見ているのだという歌です。その目は見守るようにも、自分たちが命をかけて守ろうとした日本の姿を見定めるようにも感じます。

 

【NO.17】

『 肌や目の 色の違いの 紛争に 流るる血だけが 等しく赤し 』

【意味】肌や目の色が違うことから起きる紛争では流れる血だけが等しく赤い

短歌職人

肌の色や民族、宗教の違いなどから起きる紛争もあります。戦えば血が流れる、何が違ったとして血の色はみな同じではないかという憤りを感じます。

 

【NO.18】

『 原爆の 無差別わかる 展示にも 70年以上 ヒロシマ姿 』

【意味】原爆の無差別さが分かる展示、70年以上前のヒロシマの姿

短歌職人

日本に原爆が投下されてから70年以上経ちますが、資料が伝える当時の様子は凄惨で、人も街も無差別に焼かれる恐ろしさを変わらずに伝えます。片仮名表記の「ヒロシマ」は、時が経っても忘れることはないのだと言っているようです。

 

【NO.19】

『 誰彼も 「生きて帰れ」と そう言った おかしいですね 殺しに行くのに 』

【意味】誰もかれも「生きて帰れ」とそう言った。おかしいですね、殺しに行くのに

短歌職人

出征する兵は使命のために戦いますが、そこには必ず犠牲が出ます。戦争を「殺しに行く」ととらえ、その不条理を表現しています。

 

【NO.20】

『 勇敢なる 臆病風よ 吹き荒れろ 全ての兵士が 銃下ろすまで 』

【意味】勇敢なる臆病風よ、全ての兵士が銃を下ろすまで吹き荒れろ

短歌職人

皆が銃を構える中で一人銃を下ろすのは、とても勇気の要る行動です。臆病風に吹かれたと馬鹿にされるかもしれません。しかしそこから、兵が次々と銃を下ろせば戦いはなくなります。そんな願いを込めた歌です。

 

以上、戦争・平和を題材にした一般短歌集でした。

 

 

短歌職人
今回は「戦争・平和」を題材にした短歌を紹介しました。
戦争や平和について様々なとらえ方がありましたね。
みなさんは印象に残った短歌や、共感した短歌はありましたか?
戦争や平和を題材にした短歌は近代短歌にも多くありますので、興味が出てきたという人は鑑賞してみるのも良いでしょう。

自分も戦争や平和について考えてみたという人は、ぜひその気持ちを短歌にしてみてください。