【犬を題材にした短歌 20選】おすすめ有名&一般短歌!!ついつい癒される短歌集を紹介

 

犬は自分が主人と思う人間に心から尽くす動物です。

 

主人を見れば駆けて来てちぎれんばかりに尾を振り、撫でてもらえば嬉しそうに甘えます。その素直な愛情表現に心打たれる人も多いでしょう。

 

今回は、「犬」を題材にして詠まれた短歌を20首紹介します。

 

 

短歌職人
有名なものから一般の方が作ったものまで幅広く紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

犬を題材にした有名短歌【おすすめ10選】

 

短歌職人
まずは古代から近代までの有名歌人が詠んだ犬の和歌・短歌を10首ご紹介します。

 

【NO.1】伏見院

『 小夜ふけて 宿もる犬の 声高し 村しずかなる 月の遠方 』

【意味】夜が更けて、番犬の声が静かな村に高く響いている、月に照らされた遠くで。

短歌職人
「宿もる犬」は家を守る犬という意味です。月の光が遠くの村を照らす様子を作者は眺めています。静けさの中で時折犬の鳴き声が聞こえる、それが何とも趣深いのだと感慨が込められた歌です。

 

【NO.2】藤原定家

『 里びたる 犬の声にぞ 知られける 竹より奥の 人の家居は 』

【意味】素朴な犬の声がして、竹林の奥にも人の家があるのだと気が付いた。

短歌職人
作者は竹林を歩いていて犬の鳴き声を聞き、この奥に民家があるのだなと思ったのでしょう。昔から犬と人は共に暮らし、狩りのお供や番犬の役割をしていたことが分かる歌です。

 

【NO.3】石川啄木

『 庭のそとを 白き犬ゆけり ふりむきて 犬を飼はむと 妻にはかれる 』

【意味】庭の外を白い犬が行くのを見て、振り向いて「犬を飼おうか」と妻に尋ねた。

短歌職人
外を見ていると白い犬が通り過ぎたので、すぐ後ろにいた妻に犬を飼ってみようかと尋ねたのでしょう。作者は白い犬の姿に愛らしさを感じ、犬がいると生活が和み、楽しいのではないかと思ったのかもしれません。

 

【NO.4】若山牧水

『 枯草に わが寝て居れば あそばむと 来て顔のぞき 眼をのぞく犬 』

【意味】私が枯草の上に寝転がっていると遊ぼうよと来て顔をのぞき目をのぞく犬。

短歌職人
飼っている犬と散歩にでかけ、途中で一休みしていたのでしょうか。犬と顔や目を合わせている様子から、犬が作者によく懐いていることが分かり、作者もまた犬に愛情を持っていることが伝わります。

 

【NO.5】若山牧水

『 指に触るる その毛はすべて 言葉なり さびしき犬よ かなしきゆふべよれ 』

【意味】指に触れるその毛はすべて言葉なのだ、寂しい犬よ、かなしい夕べよ。

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犬は言葉を話さないけれど、自分に触れる犬の体や仕草全てが犬の言葉なのだという内容で、話せない犬は寂しい、だからこそ愛らしいという気持ちが伝わる歌です。作者は夕暮れに犬の体を撫でてやりながら胸が詰まるような愛おしさを感じていたのでしょう。

 

【NO.6】島木赤彦

『 我が家の 犬はいづこに ゆきならむ 今宵も思ひ いでて眠れる 』

【意味】我が家の犬はどこに行ってしまったのか、今夜も思い出しながら眠る。

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「今宵も」ということは飼い犬の行方が分からないまま何日か過ぎているのでしょう。作者は犬が心配で、毎晩布団に入ると眠るまで犬のことを考えていたのではないでしょうか。

 

【NO.7】斎藤茂吉

『 目のまへの 売犬の小さき ものどもよ 生長ののちは 賢くなれよ 』

【意味】目の前に売られている小さき犬たちよ、成長したら賢くなれよ。

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売られている子犬への憐憫と愛情を感じる歌です。誰かに買われて成長したら賢くなって飼い主に大切にされなさいよ、幸せに生きなさいよという願いも感じられます。

 

【NO.8】齋藤史

『 獣骨を くはえて埋めに 行く犬が われに見られて いたくはにかむ 』

【意味】獣の骨をくわえて埋めに行く犬が私に見られてひどくはにかむ。

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「獣骨」に犬の野性的な面を、「はにかむ」には可愛らしさを感じます。犬は自分の野性を人には隠しているのかもしれません。それをうっかり見られて照れたように笑う犬を想像すると、人間のように感じられて可笑しくなります。

 

【NO.9】中野昭子

『 少年は わが少年の 留守にきて 帰りぬ犬と しばらく話し 』

【意味】少年は、うちの少年の留守に来て犬としばらく話して帰った。

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自分の子供とその友達をともに「少年」と表現しています。少年は友だちが留守だったのでしばらく犬と過ごして帰ったのでしょう。少年と犬が語らうという情景は構図が良く一枚の絵のように感じられます。

 

【NO.10】木下龍也

『 愛された 犬は来世で 風となり あなたの日々を 何度も撫でる 』

【意味】愛された犬は来世では風となってあなたの日々を何度も撫でるのだ。

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犬は死んでしまっても自分を愛してくれた主人のことは忘れない、風に生まれ変わってずっと寄り添うのだという優しい歌です。犬は今まで撫でて貰った分、風となって主人を撫でてくれるのかもしれません。

 

犬を題材にした一般短歌【おすすめ10選】

 

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ここからは一般の方が詠んだ犬の短歌を20首紹介していきます。

 

【NO.1】

『 どこまでも 行け我が身を 引っ張って 秋風のように 走る黒犬 』

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リードをぐいぐい引っ張って風のように走る黒犬の勢いの良さと、引っ張られながら笑顔で走る作者の姿が想像されます。健康的な躍動感にあふれた歌です。

 

【NO.2】

『 一人では 散歩行きたく ない日にも 促す相棒 いるから行くか 』

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犬は散歩に行こうよとリードをくわえて来たり、玄関を開けてと仕草で促したりしているのかもしれません。一人では外に出るのがおっくうでも、そんな愛犬の姿を見れば出かける意欲もわいてくるでしょう。

 

【NO.3】

『 犬がいる! 駆け寄ってみて 少しずつ 岩だったって ことに気がつく 』

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犬好きの人ならこういった経験があるのではないでしょうか。初句の「犬がいる!」には犬を見つけただけで嬉しいという気持ちがよく表れています。それに比べて第五句の冷静な終止形からは勘違いに気が付いてがっかりした感じが伝わります。

 

【NO.4】

『 涼しくて 犬ら顔上ぐ 10月の 最初の朝を 風の吹き抜く 』

短歌職人
それまでは暑い日が続いていて犬たちも顔を伏せていたのでしょう。気温の変化に気が付いて顔を上げた犬たちは吹く風を黙って感じながら、涼しくなって良かったなあと思っていたのかもしれません。

 

【NO.5】

『 前かごに 乗って背中を まっすぐに のばして道を まっすぐに犬 』

短歌職人
自転車の前かごに乗って背筋を伸ばす犬の姿が想像されます。速い乗り物に乗って風を受けて、犬は気持ちが良かったのでしょう。胸を張って真っすぐな道をパイロットのように見つめていたのでしょうか。

 

【NO.6】

『 はやい月 西の空で 笑いたる 老犬と俺の ヨボヨボ歩き 』

短歌職人
夕方に老犬とゆっくり散歩をしていると月が見え始め、作者は自分たちの歩みに比べて月は早いなあと思ったのでしょう。もしかしたら月は三日月で、形が笑っている目のように見えたのかもしれません。

 

【NO.7】

『 頑張れの 言葉なくとも 亡き犬の 夢に出て来て 足を舐めたり 』

短歌職人
この犬はいつも作者の足を舐めて愛情を表していたのでしょうか。作者が犬を懐かしむ気持ちが伝わり、夢に出てきた犬の仕草に心から励まされたことが伝わる歌です。

 

【NO.8】

『 犬探し どこにも居らず 焦る吾の 背後でちょんと 鼻で押す犬 』

短歌職人
広い場所で犬のリードを外して遊ばせていたのでしょう。姿が見えなくなり心配してあちこち捜し回っていたところ、犬の方が先に主人を見つけたようです。作者の安心感と、犬の仕草に愛らしさを感じたことが伝わります。

 

【NO.9】

『 目が見えず 耳が聞こえず 声出ずに ご飯の匂いに スキップの老犬 』

短歌職人
目も耳も不自由で声が出せなくなっても、ご飯の匂いにスキップするように喜ぶ老犬は幸せに暮らしているのでしょう。「スキップ」という言葉一つで老犬が決して不幸ではないこと、家族から大切にされていることが分かる歌です。

 

【NO.10】

『 ひとつだけ 話せるならば うちにきて しあわせだったか おしえてよ、いぬ 』

短歌職人
「しあわせだったか」と過去形になっているので、犬はもう亡くなっているのでしょう。また「話せる」以外が平仮名で書かれているのは、犬に語りかけているからでしょうか。作者の深い愛情と喪失感、悲しさがしみじみと伝わります。

 

以上、犬を題材にした短歌集でした!

 

 

みなさんも是非、犬に感じる愛情や犬と接して思ったことを短歌にしてみましょう。

 

また、反対に犬が苦手だという人も、どういうところが苦手なのかをストレートに表現してみても自分なりの短歌ができて、かえって犬好きの人より面白味のある歌が作れるかもしれません。

 

 

短歌職人
皆さんもぜひ犬をテーマにした短歌づくりに挑戦してみてください。