7月は梅雨も開けてジメジメした湿気から解放され、「初夏」の気持ちの良い熱気を感じられる月です。
7月だ!初夏だ! #過去絵を投げて絵を描いた気になろうキャンペーン pic.twitter.com/zk4jJ6kEZa
— クマハラ (@kumahara225) June 30, 2015
7月の短歌は夏の到来を爽やかに表現したものが多く見られ、また7月には七夕があるため、こちらも人気の題材となっています。
今回は、そんな「7月」をテーマに一般の方が詠んだ短歌を20首ご紹介します。
7月(七月)の一般おすすめ短歌集【前半10首】
【NO.1】
『 緑風が 線路を伝い 運びゆく 土の香りに 初夏の訪れ 』
緑の草木が茂る中を一本の線路が伸びていく景色が頭に浮かぶ歌です。静かな風景の中を風が緑の葉を揺らして通りすぎ、その風に混じる土の香りから作者は夏の訪れを感じたのでしょう。作者は普段から土に親しんでいて、香りが違うことに気が付いたのかもしれません。
【NO.2】
『 初夏の夜 特急電車の 風圧で 約束なんて 飛ばされてった 』
線路の側でまた会う約束を交わしていたのでしょうか。ドラマの1シーンのような印象の歌です。ただの電車ではなく特急電車としたことで、通りすぎる電車のスピード感や音、言葉をさらうように吹き抜けていった風の強さがイメージできます。
【NO.3】
『 初夏ですが 雨量の量が 半端なく 台風よりも 始末が悪い 』
【NO.4】
『 生煮えの ままで暮れゆく 文月の 夕景それは 何を暗示す 』
【NO.5】
『 お風呂場の 窓から見える 雲の上 輝きあうか 七夕の星 』
【NO.6】
『 給食の 七夕ゼリー 覚えてる?俺ら二人で おかわりしてさ 』
【NO.7】
『 対岸へ 星の飛び石 敷き詰めて かける願いよ 貴方に届け 』
【NO.8】
『 ねえデネブ 恋人たちの キューピット 今宵わたしも 翼に乗せて 』
【NO.9】
『 短冊に か細く綴る 恋心 恥に思えて 破り屑籠 』
【NO.10】
『 千代紙を 並べてくらべ 飽きもせず 願い書くまで 続く七夕 』
7月(七月)の一般おすすめ短歌集【後半10首】
【NO.11】
『 文月の 空の下咲く 立葵 咲き誇る様 いと気高きかな 』
【NO.12】
『 久方の 光まぶしい 初夏の 冷やし中華を 勇んで食わむ 』
梅雨の間降り続いた雨もやみ、久しぶりのまぶしい空に初夏を感じていること、そして手元の冷やし中華への期待が表れています。「さあ食べるぞ!」という元気の良い歌で、とても夏らしい一首です。
【NO.13】
『 海開き 夏が開いて いくように 押し寄せる暑さ 全身で浴びる 』
【NO.14】
『 雨の音 ビルの谷間に 残響し さざなみを聞く 今日は海の日 』
【NO.15】
『 はつなつの プールサイドで 位置につく めっちゃ多くの 「つ」が縦でいる 』
【NO.16】
『 夏休み 君と離れて 過ごす日が 長くて形 保てないかも 』
約1ヶ月の夏休み中は好きなクラスメートと離ればなれになってしまいます。それにしても「形が保てない」とは脱力感をうまく表していて、「君」に会うことがさぞや生きがいだったのだろうと思わせます。
【NO.17】
『 暑くても 太陽の下 走り抜け 今日は楽しい ああ夏休み 』
夏休みの1日目でしょうか。解放感にあふれた歌で「ああ夏休み」という詠嘆からも楽しくて仕方がない様子が見てとれます。嬉しさで暑さなんか関係ないという、日々から解き放たれた快感が伝わってきます。
【NO.18】
『 夏休み あまりに長い 片恋の 会えぬ相手が あまりに遠い 』
「あまりに」と繰り返すことで片想いの相手との隔たりの大きさを強調し、嘆く様子を想像させます。クラスに片想いの相手がいると、夏休みは長く険しい試練のようにも感じられるのですね。
【NO.19】
『 うなぎの日 興味ないから 食べないが 旗がはためく 香りは旨し 』
作者は鰻があまり好きではないのでしょうか。しかし土用の丑の日にはあちこちで鰻が売られています。鰻のタレの焦げる匂いは味が想像できるほど香ばしく、それを旨いと表現しているのでしょう。読んでいる方はつい鰻が食べたくなってしまいます。
【NO.20】
『 化けて出た 夏の土用の 丑の日に さんまかば焼き だまされうらめしや 』
丑の日なのに食卓には鰻ではなくサンマの蒲焼きが出されたのでしょう。鰻だとだまされて食べたのかもしれません。「うらめしや」とは「恨めしい」と「飯」を掛けているのでしょうか。そして「丑の日」「さんま」は幽霊が出るとされる「丑三つ時」をイメージしているのでしょうか。鰻に化けたサンマがテーマの楽しい歌です。
以上、7月をテーマに詠んだオススメ一般短歌集でした!
今回は「7月」をテーマに詠んだ一般短歌を20首紹介しました。
7月は海開きや山開きなどがあり、レジャーも楽しみな時期です。学生の皆さんは夏休みが始まるので嬉しく思う人も多いのではないでしょうか。