【7月をテーマにした一般短歌集 20選】中学生向け‼︎参考になるオススメ短歌を紹介

 

7月は梅雨も開けてジメジメした湿気から解放され、「初夏」の気持ちの良い熱気を感じられる月です。

 

 

7月の短歌は夏の到来を爽やかに表現したものが多く見られ、また7月には七夕があるため、こちらも人気の題材となっています。

 

今回は、そんな「7月」をテーマに一般の方が詠んだ短歌を20首ご紹介します。

 

短歌職人
自分で短歌を作る際の参考にもなりますので、ぜひ目を通してみてください。

 

7月(七月)の一般おすすめ短歌集【前半10首

 

【NO.1】

『 緑風が 線路を伝い 運びゆく 土の香りに 初夏の訪れ 』

短歌職人

緑の草木が茂る中を一本の線路が伸びていく景色が頭に浮かぶ歌です。静かな風景の中を風が緑の葉を揺らして通りすぎ、その風に混じる土の香りから作者は夏の訪れを感じたのでしょう。作者は普段から土に親しんでいて、香りが違うことに気が付いたのかもしれません。

 

【NO.2】

『 初夏の夜 特急電車の 風圧で 約束なんて 飛ばされてった 』

短歌職人

線路の側でまた会う約束を交わしていたのでしょうか。ドラマの1シーンのような印象の歌です。ただの電車ではなく特急電車としたことで、通りすぎる電車のスピード感や音、言葉をさらうように吹き抜けていった風の強さがイメージできます。

 

【NO.3】

『 初夏ですが 雨量の量が 半端なく 台風よりも 始末が悪い 』

短歌職人
「雨量の量」とあえて言葉を重複させることでとんでもない量の雨が降っていることが分かります。その描写を「初夏ですが」という冷静な敬語で始めることで、作者が呆れたように雨を眺めている様子が想像できます。

 

【NO.4】

『 生煮えの ままで暮れゆく 文月の 夕景それは 何を暗示す 』

短歌職人
夕焼け空の色を「生煮え」と表現して、きれいな赤色の夕焼けではなく黒い雲がかかっているようなどんよりとした夕景を思わせ、何とも不吉な印象を残しています。作者はその空を何か良からぬことの前触れのように感じたのかもしれません。

 

【NO.5】

『 お風呂場の 窓から見える 雲の上 輝きあうか 七夕の星 』

短歌職人
「輝きあうか」は輝きを競い合う様子と、輝く二つの星が逢うかという意味を掛けているのでしょうか。作者はお風呂に入りながらゆっくりと星を眺め、織姫と彦星の伝説に思いを馳せていたのかもしれません。

 

【NO.6】

『 給食の 七夕ゼリー 覚えてる?俺ら二人で おかわりしてさ 』

短歌職人
七夕の日に作者は七夕ゼリーを思い出したのでしょう。1年に1度しか給食に出ない七夕ゼリーの特別感と、人気があるであろうゼリーを二人そろって2回も食べた思い出をおかしく思う様子が話し言葉によってよく表れています。

 

【NO.7】

『 対岸へ 星の飛び石 敷き詰めて かける願いよ 貴方に届け 』

短歌職人
初句で「対岸へ」と言うことで、心はもう対岸にあり早く向こうへ渡りたい気持ちを想像させます。歌の主人公は織姫でしょうか。「かける」は「駆ける」と「橋を掛ける」の意味かもしれません。天の川の無数の星々の上を夢中で駆けていく織姫の嬉しい表情を思わせる歌です。

 

【NO.8】

『 ねえデネブ 恋人たちの キューピット 今宵わたしも 翼に乗せて 』

短歌職人
一等星のデネブで知られる白鳥座は、ギリシャ神話でも七夕伝説でも恋しい人に会わせてくれる存在として語られています。作者にも天の川を飛ぶ白鳥に乗って会いに行きたい人がいるのでしょう。「今宵わたしを」ではなく「わたしも」としたところに、白鳥座のエピソードの登場人物を羨ましく思う気持ちが感じられます。

 

【NO.9】

『 短冊に か細く綴る 恋心 恥に思えて 破り屑籠 』

短歌職人
七夕の短冊に恋の願い事を書いたのに、恥ずかしくなり捨ててしまったのでしょう。「か細く綴る」が頼りなげな印象で、作者の想いが叶わぬ恋であるようにも思わせ、自分だけの心に秘めた恋心であることを感じさせます。

 

【NO.10】

『 千代紙を 並べてくらべ 飽きもせず 願い書くまで 続く七夕 』

短歌職人
短冊用の千代紙をあれこれ繰り返し手にとっては、どれに願いを書こうかなと迷う様子が伝わります。きっと迷っていることも楽しく、願いを書くまでにはまだ時間がかかりそうです。

 

7月(七月)の一般おすすめ短歌集【後半10首

 

【NO.11】

『 文月の 空の下咲く 立葵 咲き誇る様 いと気高きかな 』

短歌職人
作者は立葵の咲く姿に気品や高貴さを感じたのでしょう。花弁を誇らしげに開いた花の姿が想像されます。「文月の空」はまぶしい青空でしょうか。凛とした立葵は初夏の空にさぞかし映えたことでしょう。

 

【NO.12】

『 久方の 光まぶしい 初夏の 冷やし中華を 勇んで食わむ 』

短歌職人

梅雨の間降り続いた雨もやみ、久しぶりのまぶしい空に初夏を感じていること、そして手元の冷やし中華への期待が表れています。「さあ食べるぞ!」という元気の良い歌で、とても夏らしい一首です。

 

【NO.13】

『 海開き 夏が開いて いくように 押し寄せる暑さ 全身で浴びる 』

短歌職人
夏の光と熱気を全身で浴びる心地よさが感じられる歌です。冒頭の「海開き」が、夏が扉を開けてこちらへ向かってくるイメージとつながり、夏が始まったのだという実感を強めています。

 

【NO.14】

『 雨の音 ビルの谷間に 残響し さざなみを聞く 今日は海の日 』

短歌職人
雨音をさざなみにたとえています。そこは海ではないけれど作者は海をイメージし、何故かというと今日が海の日だから、と第五句で読み手に教えてくれます。そう思って読み返すと雨の立てる水音が波の音として聞こえてくるような趣深い歌です。

 

【NO.15】

『 はつなつの プールサイドで 位置につく めっちゃ多くの 「つ」が縦でいる 』

短歌職人
とても面白い歌で、プールへ飛び込もうとする人の姿がひらがなの「つ」を縦にしたように見えるというものです。歌にも「つ」が多く使われており、文字そのものを見ても楽しめる短歌となっています。

 

【NO.16】

『 夏休み 君と離れて 過ごす日が 長くて形 保てないかも 』

短歌職人

約1ヶ月の夏休み中は好きなクラスメートと離ればなれになってしまいます。それにしても「形が保てない」とは脱力感をうまく表していて、「君」に会うことがさぞや生きがいだったのだろうと思わせます。

 

【NO.17】

『 暑くても 太陽の下 走り抜け 今日は楽しい ああ夏休み 』

短歌職人

夏休みの1日目でしょうか。解放感にあふれた歌で「ああ夏休み」という詠嘆からも楽しくて仕方がない様子が見てとれます。嬉しさで暑さなんか関係ないという、日々から解き放たれた快感が伝わってきます。

 

【NO.18】

『 夏休み あまりに長い 片恋の 会えぬ相手が あまりに遠い 』

短歌職人

「あまりに」と繰り返すことで片想いの相手との隔たりの大きさを強調し、嘆く様子を想像させます。クラスに片想いの相手がいると、夏休みは長く険しい試練のようにも感じられるのですね。

 

【NO.19】

『 うなぎの日 興味ないから 食べないが 旗がはためく 香りは旨し 』

短歌職人

作者は鰻があまり好きではないのでしょうか。しかし土用の丑の日にはあちこちで鰻が売られています。鰻のタレの焦げる匂いは味が想像できるほど香ばしく、それを旨いと表現しているのでしょう。読んでいる方はつい鰻が食べたくなってしまいます。

 

【NO.20】

『 化けて出た 夏の土用の 丑の日に さんまかば焼き だまされうらめしや 』

短歌職人

丑の日なのに食卓には鰻ではなくサンマの蒲焼きが出されたのでしょう。鰻だとだまされて食べたのかもしれません。「うらめしや」とは「恨めしい」と「飯」を掛けているのでしょうか。そして「丑の日」「さんま」は幽霊が出るとされる「丑三つ時」をイメージしているのでしょうか。鰻に化けたサンマがテーマの楽しい歌です。

 

以上、7月をテーマに詠んだオススメ一般短歌集でした!

 

 

今回は「7月」をテーマに詠んだ一般短歌を20首紹介しました。

 

7月は海開きや山開きなどがあり、レジャーも楽しみな時期です。学生の皆さんは夏休みが始まるので嬉しく思う人も多いのではないでしょうか。

 

短歌職人
皆さんもぜひ7月にイメージすることや体験した出来事などを短歌で表現してみてください。