6月は梅雨のために雨降りが続きがちなこともあって、多くの人が6月と聞けば真っ先に雨をイメージします。
6月に詠まれた短歌もやはり雨について歌ったものが多く、次いで紫陽花や傘など雨につながるものが多い傾向にあります。
紫陽花が綺麗に咲いてる6月はあなたが生まれた誇るべき月 十詩子
☆父、誕生日#tanka #こころうた pic.twitter.com/nep6KcqXm4
— ちゃんぐ (@Toshiko330) June 10, 2016
6月の雨は乾いた。赤色に変わっても尚散らぬ紫陽花 #tanka pic.twitter.com/r0qbLrCSZS
— 暇乃 (@kbrghmn) July 2, 2016
6月の下でTシャツ干したって乾かないなら離れず済むかな #tanka pic.twitter.com/VkJnp3bh3e
— 黙れ裏切り者 (@farewellsdear) May 21, 2013
今回は、そんな「6月」をテーマに一般の方が詠んだ短歌を20首ご紹介します。
6月をテーマに詠んだ一般おすすめ短歌集【前半10首】
【NO.1】
『 やわらかい 髪質の君 結ぶ日が 増えたくるりん そうだもう梅雨 』
柔らかい髪質の「君」は湿気が気になって結ぶようにしたのでしょう。空模様ではなく髪型を見て梅雨に気付くというところが面白い歌で、いつも「君」をそっと見ていたのだろうと思わせます。
【NO.2】
『 ごろごろと とどろく雷 雨ざぁざぁ 頼むよ神様 よき塩梅で 』
「ごろごろ」「ざぁざぁ」という擬音語を使うことで激しく荒れた天候が読み手に伝わりやすくなり、あまり荒れないでくれよと神様に祈る気持ちに共感しやすくなっています。梅雨に入ることを入梅と言いますが、塩梅はそれを意識しているのでしょうか。
【NO.3】
『 青草の 萌え出る野辺 長梅雨の 雨の降りけり 心静けき 』
【NO.4】
『 夕焼けの 銀輪の風 涼しけり 止まれば暑い 水無月の晴れ 』
【NO.5】
『 雨が降る ことが嬉しい 花柄の 傘を咲かせて 歩く水無月 』
【NO.6】
『 六月の 空に閃く ひび割れは 真夏の雛が 出てくる合図 』
【NO.7】
『 牛丼の 蓋を開けば 六月の つゆだくで溺れる 紅生姜 』
【NO.8】
『 曇天に たった1点 青い空 広がるその日が 楽しみな梅雨 』
【NO.9】
『 梅雨の色は 薄むらさきの 花の色 しとどに降れる 霧雨の色 』
【NO.10】
『 明けてから 暮れゆくまでが 瞬く間 長い夏至の日 君との時間 』
6月をテーマに詠んだ一般おすすめ短歌集【後半10首】
【NO.11】
『 梅の実の 匂ひかおるや 梅雨空に 月は昇らず せめて梅星や 』
【NO.12】
『 憂鬱を 誰かのせいに したいから 梅雨を手招く ベランダの僕 』
作者は雨とは関係のないことで憂鬱なのですが、それを何でもない時に表には出したくないのでしょう。雨が降れば周囲と一緒に憂鬱な顔をしても不自然ではないので雨を待っているのです。ベランダで手招くという描写から今すぐ雨が降ってほしい気持ちが伝わります。
【NO.13】
『 早すぎの 梅雨明けなりて 水不足 心にかかる 水無月過ぎゆく 』
【NO.14】
『 梅雨ぐもり 空も地上も 色ぞなき ただ夏つばきの 白に目醒むる 』
【NO.15】
『 夏至の候 昼は長く なりぬれど 梅雨空長く 陽いと恋し 』
【NO.16】
『 雨を呼ぶ かえるの傘と ながぐつと 無邪気に笑う 黄いろのかっぱ 』
雨具を買ってもらった子供が嬉しくて家の中で披露しているのでしょうか。新しい雨具を使いたくて、早く雨が降るといいなと無邪気に言っているのかもしれません。多くの大人が嫌だなと感じてしまう雨ですが、傘のカエルが雨雲を呼んでくれるといいですね。
【NO.17】
『 無邪気なる お茶目な君と 出逢った日 夏至のあの日に 恋は訪れ 』
恋に落ちた夏至の日を思い出しているのでしょう。無邪気なお茶目な「君」は太陽が一番長く出ている日にふさわしい、明るく輝く人なのではないでしょうか。作者は毎年夏至が来るたびに、太陽のような「君」との出会いを思い出しているのかもしれません。
【NO.18】
『 雨降る日 紫陽花を見て 足止める ぬれる姿に 傘かたむける 』
雨に濡れる紫陽花を見て思わず足が止まったのでしょう。濡れっぱなしで可哀想に感じたのかもしれません。作者はしばらく紫陽花と共に傘をさしながら、会話をするように花を見つめていたのではと思わせる、どこか感傷的な歌です。
【NO.19】
『 間違えて 買った高めの 豚コマを 多めに使う そんな父の日 』
豚コマ肉を使ってお父さんの好物を作ってあげたのでしょうか。間違えて買ったものを使うところに、ちゃっかりした性格を感じます。しかしお父さんは、父の日だから高いお肉を買ったものと思って喜んで食べたのかもしれません。お父さんが嬉しければ父の日のプレゼントは大成功です。
【NO.20】
『 燦々と 夏の陽射しが 照りつける 梅雨空どこへ 灼熱の日々 』
太陽が光り輝いて眩しい様子を表す「燦々と」、「陽射し」「照りつけ」「灼熱」と暑さを表す言葉を繰り返して、作者の感じている熱気を強調しています。まだ梅雨は明けていないはずなのに夏が来るのが早すぎるよと困惑しながら空を見上げている様子が想像される歌です。
以上、6月に関するオススメ一般短歌集でした!
今回は「6月」をテーマに詠んだ一般短歌を20首紹介しました。
梅雨や紫陽花などを短歌に詠み込むと6月らしい短歌になります。
他にも夏至、父の日、ジューンブライドなどの6月からイメージされる言葉をキーワードとして使っても、季節を感じられる短歌を作ることができます。
6月に行われる学校行事などを題材にするのも良いでしょう。