国語の授業や、百人一首大会などで、短歌に触れる機会って案外多いですよね。
最近はテレビの影響で、短歌や俳句が身近な存在になっており、作ってみたいという方が増えています。
短歌というのは心や日常生活を表現できる詩です。
簡単なルールやコツさえ守れば、小学生でも短歌を簡単に作ることができます。
そこで今回は「小学生でも簡単にできる短歌の作り方とコツ」を、有名な俳句と共に詳しく紹介していきます。
そもそも短歌って何?基本的なルールや歴史を知ろう!
短歌とは?
短歌とは、「五・七・五・七・七」という三十一文字で表現する詩のことをいいます。
短歌は俳句と似ていますが、五・七・五で作られる俳句よりも長く、また季節を表現する言葉である「季語」は、入れなくても大丈夫な詩となっています。
短歌の歴史
短歌の歴史は古く、「万葉集」が起源であると言われています。
万葉集は、およそ4500種類もの和歌を集めた本で、奈良時代の末期頃には現代に伝わっているものと同じ形になっていたそうです。
特徴としては、身分の高い人の歌だけではなく、「庶民の歌も集録されている」というところにあります。
新元号「令和(れいわ)」の由来になっている!
新元号の「令和」は、万葉集からつけられた言葉なんです。
元になっているのは、万葉集の第五巻にある「梅花の歌」の序文です。
昔の短歌のことを知りたい!っという方は、この第五巻から勉強しても、面白いかもしれませんね。
小学生向け短歌の作り方&コツを紹介!
①テーマを決めよう
まずは、どんな短歌にしたいのか、テーマを決めましょう。
短歌には、これをテーマにしなければいけない!っという決まりがありません。なので、自由に自分でテーマを決めることができます。
テーマの例
「友達」「家族」「運動会」「習い事」「部活(スポーツ少年団)」など
どうして最初にテーマを決めるの?
最初にテーマを決めておくと、言葉選びがとても楽にできます。
例えばテーマを「友達」にすると、そこから「思い出」や「会話」などに、場面を広げることができますよね。
1つのテーマから場面をイメージすることにより、どんな内容の短歌にしたいのか、具体的に組み立てることができるのです。
最初にテーマを決めると、迷わずにイメージに沿った言葉探しができるようになります。
②目立たせたい言葉を1つ決めよう
テーマを決めたら、次にどんな言葉を短歌に入れるか、考えていくと思います。
そこでまずは、目立たせたいポイントになる言葉をまず1つ選んでみてください。
短歌というのは、使える言葉の数が決まっています。つまり、どの言葉を一番読み手に伝えたいか考えることで、よりわかりやすい短歌になるのです。
目立たせたい言葉の例
- テーマ「友達」・・・楽しい・遊び・仲良し・喧嘩
- テーマ「家族」・・・旅行・信頼・感謝・謝罪
- テーマ「運動会」・・・順位・かけっこ・玉入れ・勝敗
- テーマ「習い事」・・・ピアノ・水泳・発表会・大変
- テーマ「部活」・・・トランペット・ボール・ラケット・竹刀
ポイントになる言葉がないとどうなる?
一番伝えたい言葉がわかりやすくないと、読み手側は何を伝えたい短歌なのかわからなくなってしまいます。
伝わらない作品というのは、心に残りにくいものになってしまいます。短歌をどうせ作るなら、他の人の心にも残るものにしたいですよね!
また、複数ポイントになる言葉を作ってしまうと、読み手側が混乱してしまう場合があります。
③余裕があれば季語を入れよう
短歌は、必ずしも季語を入れる必要はありません。
ですが、季節に関する作品を作るときは、俳句と同じように季語を取り入れることで、ワンランク上の短歌を作ることができます。
季語の例
- 「春」→桜・入学・卒業・春日和
- 「夏」→かき氷・水泳・海・プール
- 「秋」→紅葉・どんぐり・松ぼっくり・鈴虫
- 「冬」→雪・氷・ツリー・マフラー
【NG行為①】複数の季語を使わない
季節を現す季語というのは、いろいろあります。
例えば、冬を現すなら「雪」「吹雪」「氷」などなど…たくさん思いつきますよね。
短歌というのは使える文字数が限られています。季語は1つ使えば季節がわかるので、複数使うという行為はもったいないです。
【NG行為②】難しい季語は使わない
季語には難しい言葉もたくさんあります。
ですが読み手側が理解できなければ、いつの季節なんだろう?っと思ってしまいますよね。
難しい季語を無理に使うのではなく、わかりやすさを重視すると気軽に短歌が作れます。
④リズムや流れを大切にしよう
短歌というのは、言葉遊びです。
現代の音楽にあるラップのように、言葉のリズムで、読み手側に作者の思いを伝えます。
リズムを良くするには?
短歌というのは、その文字からイメージ映像を読み手が思い描いていきます。つまり、流れが悪い短歌は、そのイメージ映像が途切れてしまうんです。
ただ言葉を並べるのではなく、自分でもその場面を想像しながら作っていくことで、区切るポイントなどを見極めることができます。
例
寒い日だ お風呂に入る 一番に / 今日は特別 父が留守
⑤比喩(ひゆ)を取り入れるときは慎重に!
比喩(ひゆ)というのは、わかりやすく言えば「例え」です。
例にあげるならば、「雪」という言葉を「空から舞い降りる白い華」と表現する…みたいな感じですね。
小説であれば後者の比喩表現でもいいですが、短歌の場合文字数が限られているので、こういった比喩は適していません。
そのため、短歌をはじめて作るという初心者の方は、比喩は使わず素直な言葉を使ってください。
比喩を使いたいときは…
もし他の誰かに見せる短歌で、比喩表現を使いたいときには、正しく意味が伝わることが大事になってきます。
読んだ人に解説ができるのであればいいのですが、そうではない場合、間違った意味で比喩が伝わってしまいます。
そうなると短歌の意味合いまで変わってきてしまいますので注意しましょう。
比喩の例
- 笑顔→にこにこ・恵比寿顔・にんまり
- 悲しい→うなだれる・しょんぼり・伏せる
- 嬉しい→ジャンプ・跳ねる・踊る・手を打つ
小学生向け!!参考になる有名俳句を紹介!
自分で短歌を作る場合、他の方の作品を知っておくと大変参考になります。
そこで、ここでは小学生にも分かりやすい有名な俳句をいくつか紹介させていただきます。
【奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きくときぞ 秋はかなしき】
【天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出し月かも】
こちらは「阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)」の俳句です。「空に昇るお月さまは、春日大社がある三笠山で見た月と同じもの」という意味合いですね。
阿倍仲麻呂は、遣唐使として中国へ長い間留学していました。この俳句は、中国から日本への帰国が決まり、現代でいう送別会で読まれたもので、「やっと日本へ帰れる」といった思いが、感じとれます。
ちなみに、阿倍仲麻呂は船が難破し日本には帰れなくなり、中国で一生を終えています。この俳句を読んだ時の気持ちを考えると、とても切なくなりますね。
【花の色は うつりにけりな いたづらに わが身よにふる ながめせしまに】
こちらは「小野小町(おののこまち)」の俳句です。
とても美しい女性だったということで、有名ですよね。この俳句は、長雨であっという間に色が変わってしまった桜の花の様子を、自分自身に例えている句になります。
【いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に 匂ひぬるかな】
こちらは「伊勢大輔(いせのたいふ)」の俳句です。この俳句は、奈良から都である京都に八重桜を献上したときに読まれた句です。
九重というのは門のことで、匂ひは香りではなく、景色を表す言葉です。このことを知っていると、昔奈良から京都へ送られた八重桜が、門で美しく咲いている景色に、歴史を感じますよね。
【田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ】
こちらは「山部赤人(やまべのあかひと)」の俳句です。
田子の浦というのは、今の静岡県の海岸で、「田子の浦に行って富士山を眺めると、白い布を被ったように、雪が降り積もっていた」という景色を読んでいます。
現代でも富士山に初雪が積もると「初冠雪(はつかんせつ)」といって、ニュースになります。
時代が変わっても、変わらない景色があるんだなっと、不思議な気持ちになりますね。
さいごに
短歌は、「知識がないとできない」「難しい」などのイメージがあるかもしれません。
もちろん知識があれば、その分、作品の幅は広がります。
ですが上手く作ろうとは思わず、自分の素直な気持ちを言葉にするだけで、短歌は簡単に作れます。