卒業をテーマにした短歌をご存知でしょうか?
卒業式は学校生活や人生において別れと次への出発になる大事なイベントですね。
今回はそんな卒業をテーマにしたおすすめの有名短歌を20つご紹介いたします。
卒業をテーマにした有名短歌集【生徒編10選】
自身の卒業・先輩後輩の卒業・子どもの卒業・教え子の卒業など視点は様々ですが、ここでは生徒目線の有名短歌をご紹介します。
【No.1】栗木京子
『 退屈を かくも素直に 愛しゐし 日々は還らず さよなら京都 』
意味:退屈な時間をこんなにも素直に愛しいと思いました。あの日々は戻ってこない。さよなら京都よ
【No.2】穂村弘
『 蛇っぽい 模様の筒に 入れられた 卒業証書は 桜の匂い 』
意味:蛇の模様のように見える筒に入れられた卒業証書を取り出すと桜の匂いがしたよ
【No.3】高野公彦
『 大学の 池に棲みふる 真鯉ひとつ しづけきを見て 我が卒業す 』
意味:大学の池にずっと棲んでいる真鯉の一匹が静かにそこにいるのをみながら私は卒業していく
【No.4】小谷稔
『 卒業式 過ぎし暇の さびしきに 時計塔白く 塗りかへられぬ 』
意味:卒業式の後しばらく時間が経ってから母校へ行ってみると、時計塔が白く塗り替えらえていたのが寂しいよ
【No.5】三ケ島葭子
『 いつまでも もの学びたきに 卒業の 日は近づきぬ 三月きたりて 』
意味:いつまでも学びたい思いなのに3月になって卒業の日が近づいています。
【No.6】伊舎堂仁
『 海だけの ページが卒業アルバムにあって それからとじていません 』
意味:海だけが写っているページが卒業アルバムに載っていたのを見つけてそのまま閉じていません
【No.7】小池光
『 卒業式の 答辞にかならず 逢ふことば 「走馬灯のように」 定形ぞよき 』
意味:卒業式の答辞で必ず使われる「走馬灯のように」という言葉が定型にぴったりだ
【No.8】永田紅
『 卒業を 見送り続け ついに我がこととなりゆく 陽は三月へ 』
意味:みんなの卒業を見送り続けたが、ついにその卒業が自分のこととなる三月の陽射しになったよ
【No.9】永田紅
『 卒業は 遠ざかること プレパラートに 頭を寄せ合える この夜からも 』
意味:卒業をしたらプレパラートに頭を寄せ合って過ごしているこのような夜からも遠ざかることになるなあ
【No.10】米川千嘉子
『 卒業式 いたづらほどの 髭生やし それぞれの人生のまへに並ぶも 』
意味:卒業式でほんの少しの髭を生やしてそれぞれの人生の次の始まりに並んでいるようだ
卒業をテーマにした有名短歌集【教師編10選】
ここからは教師(先生)が詠んだ有名短歌をご紹介します。
【NO.1】小谷稔
『 父母の 離婚を告げて すがすがと 努めしかれも 今日卒業す 』
意味:自分の両親が離婚したことを告げてからもすがすがしく努めていた彼も今日卒業するのだなあ
【NO.2】米川千嘉子
『 被災の子の 卒業の誓ひ 聞くわれは 役に立たざる 涙流さず 』
意味:被災した子どもの卒業の誓いを聞いて、私は何の役に立たない涙は流さない
【NO.3】千葉聡
『 さよならの練習 春になりかけの 空の白さに ただ手を伸ばす 』
意味:さよならをする練習で、春になろうとしている時期の白い空にただ手を伸ばしているよ
【NO.4】千葉聡
『 高校に 受かり黙ったまま 俺に強い握手を してきたKは 』
意味:高校受験に受かったことを知って黙ったまま俺に強い握手をしてきたKだ
【NO.5】千葉聡
『 三年間 みんな本当に()←空欄に好きな言葉を入れ卒業せよ 』
意味:三年間みんな本当に、の後に続く言葉を入れて卒業しなさい
【NO.6】松田常憲
『 言ひつがむ 言葉もなくて 庭芝の 芽ぶくをみよと 生徒(こ)にいひにけり 』
意味:もう言うべき言葉も出てこず、庭の芝が芽吹いているのを見てみよと生徒に言ったんだよ
【NO.7】松田常憲
『 木槿(むくげ)の花 みよとしいへば 仰ぐ生徒(こ)の まみの潤(うるみ)を ひそかにはみつ 』
意味:木槿の花を見よと私が言ったので仰ぎ見た生徒の目が潤んでいるのが密かには見えたよ
【NO.8】室野英子
『 卒業の 子等の飛びゆく 着地点 そこに花咲く たんぽぽであれ 』
意味:卒業していく子どもたちへ、飛んで着地した地面に咲いているたんぽぽの花のような人であってほしい
【NO.9】俵万智
『 さんがつの さんさんさびしき 陽をあつめ 卒業してゆく 生徒の背中 』
意味:三月の卒業で寂しい気持ちの中さんさんと太陽が卒業していく生徒の背中を照らしている
【NO.10】俵万智
『 出ていけと 思ったことも あったっけ 行ってしまった 欅のむこう 』
意味:そういえば教室から出ていけと思ったこともあったなあ。もう欅のむこうに行ってしまったけれど。
以上、卒業をテーマにした短歌集でした!
卒業の短歌といっても自分、親、教師など・・・その立ち位置によって感情も見え方も異なってきますね。