【自然をテーマにした短歌集 20選】中学生向け‼︎短歌作りの参考になる一般短歌を紹介!

 

満開の桜や眩しい水平線、真っ赤な紅葉やきらめく雪景色など、日本には四季折々の自然風景があり、地域によってもさまざまな自然の姿を楽しむことができます。

 

古来から短歌にも、雄大で美しい自然への感動は多く詠み込まれてきました。

 

今回は、そんな「自然」をテーマに一般の方が作った短歌を20首ご紹介します。

 

 

短歌職人
自分で短歌を作るときの参考にもなりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

自然を題材にした一般短歌ネタ【前半10首

 

【NO.1】

『 春立つと 知らぬ深山は なほ冴えて 花にゆづらぬ 木々の白雪 』

短歌職人
初句の「春立つ」は立春のことです。暦の上では春なのに、木々の枝にはまだ雪が積もっていて花に場所を空け渡そうとしないという歌で、二月の立春になおも寒さが冴え渡っている、まだまだ真冬の山の景色が詠まれています。

 

【NO.2】

『 桜咲き 満開の山 空薄く 地には鮮やか 芝桜紅 』

短歌職人

満開の桜でピンク色に染まった山と水色の空という淡い色合いと、後半の鮮やかな紅色の芝桜という濃い色彩が美しいコントラストとなる歌で、春をイメージさせる色で描かれた色鮮やかな一首です。

 

【NO.3】

『 憎らしい ほどに綺麗な 花吹雪 「春泥棒」と 風に呟く 』

短歌職人
「憎らしいほどに」という表現が花吹雪の美しさを強調しています。「春泥棒」は散り際の桜の花吹雪が誰しもの目を奪い、春の主役の座を奪うことを表しているのでしょうか。とても粋な表現だと感じます。

 

【NO.4】

『 初夏の森 美味しい空気 いただくよ 肺で行う 酸素交換 』

短歌職人
「初夏の森」という言葉だけで瑞々しい若葉の緑色が想像され、新緑に囲まれた爽やかさを感じられます。その場の清々しさが率直に表現されていて、美味しい空気を体いっぱいに吸い込んだことが伝わります。

 

【NO.5】

『 笠雲を 被り座するは 富士の山 凌がず招く 雨風の傘 』

短歌職人
「笠雲」はレンズ雲とも呼ばれる平たい雲で、真ん中が膨らんだ形をしており、昔から富士山の頂上に笠雲がかかると雨が降ると言われます。この歌では擬人法を用いて、傘を被ってどっしりと座る富士山の堂々たる姿が表現されています。

 

【NO.6】

『 青白く 魅せられて宙(そら) 月明かり 聴いてみたくて おとぎ話を 』

短歌職人
青白い月の光に魅了されて夜空を見上げている様子が想像されます。全体的にロマンチックで、第五句の「おとぎ話を」が更にムードを高めて、読み手の心も空想に浸らせてくれます。

 

【NO.7】

『 清流の 岩かと惑ふ 山椒魚 しばし息飲む 太古の姿 』

短歌職人
作者を驚かせたのはオオサンショウウオだったのでしょうか。オオサンショウウオは大昔から変わらない姿をした生き物ですが、自然の中で生きるその姿に作者はしばし圧倒されて見つめていたのかもしれません。

 

【NO.8】

『 眼を見張る 大海原に 乗り出して さあ始めよう 風と綱引き 』

短歌職人
出だしの「目を見張る」に海の大きさへの感動が表れています。「風と綱引き」はヨットなどの帆船を表現したものでしょう。力強く、スケールの大きな一首です。

 

【NO.9】

『 山間を 拓きて成りし わが町の 向かひの森は 蛍棲む里 』

短歌職人
自然を切り開いてできた町と手付かずの自然が隣り合って存在しています。「蛍棲む里」は人の住んでいない様子を思わせますが幻想的な言葉です。作者の憧れが込められているのかもしれません。

 

【NO.10】

『 ひとつずつ ちいさなビーズ ちりばめて よぞらにうかぶ ほしのまたたき 』

短歌職人
漢字を使わない表現が、幼い子どもが夜空を見上げるような純粋さを感じさせます。星をビーズにたとえることで、星々が無数にきらめく夜空の美しさを想像させます。

 

自然を題材にした一般短歌ネタ【後半10首

 

【NO.11】

『 樹神(こだま)らの 千年永らふ 魂と見ゆ 疾風(はやち)と雨の 後の山霧 』

短歌職人
強い風雨が過ぎた後の山霧に木々の魂を感じるという歌です。作者は白く立ち込める霧の中にいて、それを山の呼吸のように思い、おごそかな気持ちを感じたのではないでしょうか。

 

【NO.12】

『 この世界 人々が波を 起こそうとも 青い大海 びくともしない 』

短歌職人

人間がいくら大騒ぎしても海には関係がない、青い海はただそこにあるのだという歌です。人類の誕生以前から在る海の大きさや普遍性を感じます。

 

【NO.13】

『 思い出や 日々の暮らしを 流しゆく 豪雨の前に なす術もなし 』

短歌職人
自然の脅威を詠んだ歌です。自然がその猛威を振るえば人間は無力で、何もかもが押し流されていってしまうのだと思い知らされます。

 

【NO.14】

『 夜の海に 光を放つ 灯台の たもとに在りて 海鳴りを聴く 』

短歌職人
灯台のたもとで作者はじっと照らされる海を見つめていたのでしょうか。暗闇の中で海鳴りだけが聞こえ続けることを想像すると、やがて自分と海鳴りが一体となるような不思議な感覚がする歌です。

 

【NO.15】

『 空に雲 山に秋桜 彼岸花 田には稲穂の 実る秋かな 』

短歌職人
風景を並べて秋への深い感慨を表現したです。空から山、野、田んぼと次第に作者の視点が下りてきて実り豊かな稲穂に注目し、秋になったという実感が表わされています。また空の青、雲の白、コスモスのピンク、ヒガンバナの赤、稲穂の金と詠み込まれた色もとても鮮やかで、自然が豊かなことが伝わります。

 

【NO.16】

『 秋の山 豊水梨の 芳しき 浮かぶ面影 懐かしの人 』

短歌職人

「豊水」は梨の品種名ですが「秋の山」の後に続けることで、梨のみずみずしい様子とともに秋の山の実りが豊かな様子も想像させます。梨のかぐわしさで懐かしい人を思い出すという歌ですが、きっと秋に二人で梨を食べた思い出のある相手なのでしょう。

 

【NO.17】

『 里山に 秋空広く 広がりて 小川に響く 翡翠(かわせみ)の声 』

短歌職人

「広く広がりて」と反復することで秋の澄んだ青空が高く広く感じられることを強調しています。「里山」という言葉ものどかな印象があり、身近で穏やかな自然の姿が表現されています。

 

【NO.18】

『 年の瀬に 寒気山より 走り駆け 残り紅葉を 紅染めあげる 』

短歌職人

「走り駆け」が、山の頂上から一気に寒気が下りて冷え込んだことを思わせます。それまでが暖かかったのか色が変わらずにいた紅葉も、たまらずに一日で真っ赤に染まってしまったのでしょう。

 

【NO.19】

『 薄氷を 朝日が溶かす 音をたて 川面に響き 静寂やぶる 』

短歌職人

早朝の静けさの中で朝日が氷を溶かす音が響きます。作者は川辺でその音を聴いているのでしょうか。身が引き締まるように凍てつく冬の風景がありのままに描かれた歌です。

 

【NO.20】

『 道の先 表れ迫る 氷瀑に 人知れずただ 涙を流す 』

短歌職人

「氷瀑」は滝が凍ったものです。冬の山道を歩いていて突然目の前に氷の滝が現れた、その迫力に圧倒されて作者は涙が出るほどの感動を覚えたのでしょう。

 

以上、自然をテーマにした一般短歌集でした。

 

 

短歌職人
今回は、自然をテーマにした一般短歌を紹介しました。
日本は弓なりに長い形の列島で地域によって寒暖の差があり、同じ時期でも地方によって全く違う自然の姿が見られます。
皆さんもぜひ、自分の住んでいる地方ならではの自然に感じたことを短歌で表現してみてください。
また、旅行先で思いがけない自然の姿に出会い感動した体験などから短歌を作るのもおすすめです。