【秋桜(コスモス)の有名短歌 20選】秋の代表的な草花!!おすすめ俳人有名短歌を紹介

 

コスモスはメキシコが原産で、明治時代にイタリア人の芸術家が日本に持ち込んで広まったという説があります。「秋桜」という和名は秋に咲く桜に似た花という意味です。

 

また、茎が細くて風に揺れやすいコスモスの姿に日本人は可憐さや儚さを感じて好み、特に文学者や芸術家がこの花を愛しました。短歌の世界でもコスモスは人気のテーマとなっています。

 

今回は明治から現代までに詠まれた「秋桜(コスモス)」の有名短歌を20首紹介します。

 

 

短歌職人
ぜひ一緒に鑑賞してみましょう。

 

秋桜(コスモス)の有名短歌集【前半10選】

 

【NO.1】与謝野晶子

『 大空の 青きとばりに よりそひて 人を思へる こすもすの花 』

【意味】青いとばりのような大空に寄り添って人を思うコスモスの花。

短歌職人
空を「青きとばり」と表現するのがロマン派歌人の作者らしく、ロマンチックで美しい印象の歌となっています。誰かのことを考え、思いにふけるようなコスモスの花は作者自身の投影でしょうか。

 

【NO.2】与謝野晶子

『 秋風に こすもすの立つ 悲しけれ 危き中の よろこびに似て 』

【意味】秋風の中にコスモスが立つ姿は悲しいものよ。危うい中の喜びに似ていて。

短歌職人
「危き中のよろこび」という表現は、例えば禁じられた恋のように、してはいけないことへの喜びや刹那的な幸福を思わせます。風に揺れるコスモスの姿が儚く寂しく感じられます。

 

【NO.3】与謝野晶子

『 いつしかと こすもす咲きぬ 草の中 細雨の前の ともし灯のごと 』

【意味】いつからかコスモスが草の中に咲いていた。細い雨の前の灯火のように。

短歌職人
「細雨」は霧雨のような細かい雨のことです。作者は雑草に紛れてコスモスが咲いているのに気付き、霧雨の中に灯された微かな明かりのような頼りなさを感じたのでしょう。この歌もまた寂しい余韻の残るコスモスの歌です。

 

【NO.4】若山牧水

『 西日さす コスモスのはなの 花かげに ましろき蝶の まひてをるかな 』

【意味】西日が差すコスモスの花の陰に真っ白い蝶が舞っているよ。

短歌職人
花も葉も夕日の色に染まる中で、花の陰にいた蝶は染まらずに真っ白く作者の目を引いたのでしょう。コスモスに親しむように舞う蝶の姿が想像されます。

 

【NO.5】若山牧水

『 ながながと 折れたるままに 先青み わづか擡(もた)げて コスモス咲けり 』

【意味】長々と折れたままで青い茎の先をもたげてコスモスが咲いている。

短歌職人
コスモスの長い茎が折れて倒れてしまったのでしょうが、頭を上げるようにして花が咲いています。コスモスの花は可憐ですが、しかし内には強さが秘められていると思わせる歌です。

 

【NO.6】木下利玄

『 日光に 近き停車場 杉の木の 暗きが前に コスモス光る 』

【意味】日差しに近い停車場の、杉の木陰の前にコスモスが光っている。

短歌職人

停車場の側に日なたがあり、杉の木は日陰にあって薄暗いのでしょう。その陰の前にコスモスがあり、日に当たって光っているという歌です。明暗が対比となっていてコスモスの明るさが強調されています。

 

【NO.7】木下利玄

『 疲れたる 光の中にコスモスの あらはに咲ける 午後頭痛する 』

【意味】疲れていて、光の中にコスモスが露わに咲いている午後に頭痛がする。

短歌職人
「露わに」は露骨に、隠れずにといった意味です。沢山のコスモスが日光を浴びて咲いていたのでしょうか。コスモスが華やかすぎて、鮮やかすぎて、作者はくらくらとしてしまったのかもしれません。

 

【NO.8】斎藤茂吉

『 コスモスの 闇にゆらげば わが少女(おとめ) 天の戸に残る 光を見つつ 』

【意味】コスモスが闇の中で揺らぎ、わが乙女は空に残る光を見つめている。

短歌職人
「天の戸」は天の川にある舟の渡し場を表す古語です。夜の闇の中で揺れるコスモスに乙女の姿を思い、天の川の渡し場の星明かりを見つめる姿を思い描いています。この歌のように、コスモスには儚い少女を思わせるような雰囲気があります。

 

【NO.9】宮柊二

『 たわたわに 吹かれ乱るる コスモスは 風道の中に あるにやあらむ 』

【意味】たわたわに吹かれて乱れるコスモスは風道の中にあるのだろうな。

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「たわたわ」は枝などが重さできしむことを表します。「たわたわ」なコスモスは花が風にあおられて、細い茎がきしむように必死にこらえている様子です。作者はその姿を見て、そこに強い風が吹いているのだと気付いたのでしょう。

 

【NO.10】土田耕平

『 コスモスは 倒れたるままに 咲き満ちてり とんぼうあまた とまるしづかさ 』

【意味】コスモスは倒れたまま咲き満ちている。トンボがたくさん止まっている静けさよ。

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コスモスは茎が倒れても花を咲かせる強い植物です。「咲き満ちて」はコスモスの生命力を思わせます。儚いコスモスの短歌が多い中でこの歌のコスモスには、ずっとそこにあり続けるような不変性も感じられます。

 

秋桜(コスモス)の有名短歌集【後半10選】

 

【NO.11】河野裕子

『 ゆらゆらと 陽に透けながら 昏れてゆく コスモス誰か わが胸よぎる 』

【意味】ゆらゆら揺れるコスモスの花が夕陽に透けて、日が暮れていく。私の胸を誰かがよぎる。

短歌職人
コスモスの夕陽に透けてしまう薄い花弁と、風に揺れる姿が儚さを感じさせます。昔の思い出の人をふと思い出してしまうような寂しい秋の夕暮れの歌です。

 

【NO.12】河野裕子

『 コスモスの 花が明るく 咲きめぐり 私が居らねば 誰も居ぬ家 』

【意味】コスモスの花が明るく咲いている、私が居なければ誰も居ない家。

短歌職人
家を囲むようにコスモスが咲いているのでしょう。明るい風景とは裏腹に家には作者が一人居るだけです。明るい花の色がかえって寂しさをつのらせます。

 

【NO.13】二宮信子

『 倒れたる ままのコスモス 花首を すつくともたげ 秋の日に咲く 』

【意味】倒れているままのコスモス、花首をすっくともたげて秋の日に咲く。

短歌職人
「すっくと」は真っ直ぐに立つ姿を表す擬態語です。このコスモスは倒れてもなお首を上げて立とうとしているのでしょう。コスモスの強さとともにプライドも感じさせる歌です。

 

【NO.14】永田淳

『 中洲には コスモスひと本 咲きいたり そよろと秋の 風は吹くべし 』

【意味】中州にコスモスが一本咲いていた。秋の風にはそよろと吹いてほしい。

短歌職人
「そよろと」は風がそっと吹く様子を表します。茎が長く風に翻弄されやすいコスモスを思いやって、風よ静かに優しく吹いてやってくれと作者は念じたのでしょう。

 

【NO.15】吉川宏志

『 縺れあう コスモス畑で 子を追えり いつまで若い 父なのだろう 』

【意味】もつれ合うコスモス畑で子を追った。いつまで若い父でいるのだろう。

短歌職人
コスモス畑で父と子が追いかけっこをしています。まだ若いお父さんの嬉しさや楽しさが伝わりますが、「いつまで」からはこの時期が永遠には続かない寂しさも感じられます。

 

【NO.16】荻原裕幸

『 コスモスとして辛うじて 揺れている 径の終わりの 風のほとりに 』

【意味】コスモスとして辛うじて揺れている。道の終わりの風のほとりに。

短歌職人
道の終わりに、風のそばで咲く一輪のコスモス。「コスモスとして揺れている」とあるので、作者は風に揺られるからこそコスモスらしいのだと思ったのかもしれません。

 

【NO.17】永田紅

『 コスモスの ほそく群れさく 陽のなかで この世のふしぎな 時間と言へり 』

【意味】細いコスモスが群れて咲く陽差しの中は、この世の不思議な時間なのだ。

短歌職人
明るい日差しの中で、細いコスモスが大量に咲いて揺れているのでしょう。揺れるコスモスに囲まれていると幻想的な、夢の中のような心地がするかもしれません。

 

【NO.18】岡部桂一郎

『 かえらざる 言問いに似て コスモスの 花揺れやまず 人のさびしさ 』

【意味】返事のない問いかけに似てコスモスの花は揺れやまない、人の寂しさよ。

短歌職人

永遠に揺れ続けるようなコスモスに、作者は返事のない言葉のような虚しさを感じています。作者自身きっと寂しさを抱えていたのでしょう。人は寂しいものだとしんみり詠んだ歌です。

 

【NO.19】永田和宏

『 もつともつと 話しておけば よかつたと 思ふのだらう おーいコスモス 』

【意味】もっともっと話しておけば良かったと思うのだろう、おーいコスモス。

短歌職人
作者はコスモスに幻想的なものを感じ、今は会えない人を思って呼びかけているのでしょう。コスモスがその人に伝えてくれるような気がしたのかもしれません。

 

【NO.20】工藤玲音

『 ガーベラも ダリアも花と 呼ぶきみが コスモスだけは コスモスと呼ぶ 』

【意味】ガーベラもダリアも花と呼ぶ君がコスモスだけはコスモスと呼ぶ。

短歌職人

他の花に比べてコスモスは身近なので「君」ははっきりと名前を知っているのでしょう。花に無頓着な人がコスモスだけは名前を知っている、作者はそこに可笑しさを感じたのではないでしょうか。

 

以上、「秋桜(コスモス)」を題材にした有名短歌集でした!

 

 

皆さんはコスモスにどんなイメージがありますか?

 

コスモスは「乙女の純真さ」という花言葉を持っていて、どことなく女性的でおしとやかな印象のある花かもしれません。

 

しかし実は環境の変化に耐え、特別な肥料も必要としない「強い植物」です。

 

短歌職人
皆さんもコスモスの自分なりのイメージや、コスモスを見て感じたことを短歌で表現してみてください。