10月は秋本番、長く続いた暑さから解放されて何をするにも気分の良い気候となります。
昔から「天高く馬肥ゆる秋」と言うように空気が澄んで青空が高く見え、美味しい食べものも多くあるのが10月です。
そんな10月をテーマにした短歌には、紅葉などの「秋の風景を表現したもの」や「食欲の秋」について詠んだものがたくさん見られます。
思い出にあなたは紅く色付いて10月散るも鮮やかな恋 #短歌 #フォト短歌ごっこ pic.twitter.com/4bX4g4NDeO
— はらだ (@org_10kd) October 23, 2013
秋深し
裏の畑で芋ふかし
足元見れば落ち葉ふかふか
<京也 心の短歌>
ベースの練習の帰りかな?#ソルキャ版深夜のお絵描き60分一本勝負 pic.twitter.com/kBF32TZRQn— 小宮小巻@♥️🍞🍪🍪🌏🍪🍪🌏🥖🍪🍙🍪🌏🍪🌏🍞🍪🍪🌏🍪 (@otogi_no_ura) October 19, 2016
今回は、そんな「10月」をテーマに一般の方が詠んだ短歌を20首ご紹介します。
10月(十月)のおすすめ短歌ネタ集【前半10首】
【NO.1】
『 卓上の 色なき暦も 神無月 まな裏に在る 樹々の燃え立ち 』
10月はスポーツの日しか祭日がなく、作者は赤色の少ない卓上カレンダーを見て彩りが乏しいと感じたのでしょう。しかし10月の木々は紅葉で燃えるように色付いています。色味に寂しいカレンダーと色づいた木々が対比となり、紅葉の鮮やかさが強調されている歌です。
【NO.2】
『 コーヒーが おいしい季節に なりました 空気冷たき きょうの秋朝 』
秋の朝は空気がひやりと冷たく感じられます。作者は肌寒い朝にホットコーヒーを飲んで、熱い飲み物が美味しい季節になったことをしみじみと思い、秋になったことを実感したのでしょう。
【NO.3】
『 読書する 秋の公園 風で飛ぶ 栞を追って 君に出会った 』
【NO.4】
『 神無月 真夏のごとき 真昼間に 夏のかけらの レモンスカッシュ 』
【NO.5】
『 風は凪、かすかな虫の 声と月 夜が透き通り行く神無月 』
【NO.6】
『 虫の声 うたたねの夢に 届く夜 ふと目開ければ 深き静寂 』
【NO.7】
『 吹き散らす よもの紅葉を はなむけに 入日を送る 秋の夕風 』
【NO.8】
『 人の世を 見守っている 神様は 居るか居ないか ああ神無月 』
【NO.9】
『 風邪気味と 認めたくない 秋休み まだ終わらんよ!言い聞かせつつ 』
【NO.10】
『 秋休み 頭使わず 金ばかり 飛んで行ったよ 単語と熟語も 』
10月(十月)のおすすめ短歌ネタ集【後半10首】
【NO.11】
『 秋うらら まだ新しい ブレザーの 余った袖に 枯葉のかけら 』
【NO.12】
『 鈴の音は 虫の鳴く声 夜に響き 見守り照らす 豊穣の月 』
秋の夜に鈴のような音が聴こえてくる、ああ虫の声だ、気付けば辺りに響いている、と視点が一ヶ所から徐々に広がっていく歌で、目線は情景全体を照らす月光から月へと移動していきます。「豊穣の月」は稔りの秋を思わせ、作者の見ている自然風景が美しく豊かで、満ち足りていることを思わせます。
【NO.13】
『 ひっそりと 育った芋が つるのばす 掘り起こしたら 食欲の秋 』
【NO.14】
『 満ちずとも 麗し姿 見せらたむ 十三夜の月 白く輝き 』
【NO.15】
『 雲間から 姿表す 十三夜 十五夜見たら こちらも見ないと 』
【NO.16】
『 暗闇に 浮いているかの 十三夜 疲れた地球 見守り照らす 』
月の光は時に優しく感じられます。「浮いているかの」という表現からは、暗闇にぽっかりと浮かんだ月がまるで重力から解き放たれているようにも感じられます。様々な騒乱や問題の起こる地球を、月は静かに優しく照らしてくれているのかもしれません。
【NO.17】
『 季節知る 秋の味覚の 代表者 食欲そそる テカテカの栗 』
「テカテカの栗」が栗の皮のつやを率直に表現していて、木から今とって来たばかりのような栗を想像させます。テカテカした栗を見て秋が来たと感じ、同時に栗の味を思い出して食欲がそそられたのでしょう。秋と言えば栗だよ!と嬉しく思う気持ちが伝わる歌です。
【NO.18】
『 空の色 芸術食欲 ではなくて 君がせつなく ほほえめば、秋 』
秋はどこか寂しい雰囲気のある季節で、この歌にも寂しい余韻があります。空の色の移り変わりや芸術への関心の高まり、食欲などよりも、「君」の表情に秋を感じるという内容で、その感覚を第五句の「、秋」が強調しています。読点には「それこそが秋なのだよ」といった詠嘆も感じられ、「君」のせつなげな微笑みとはどんな表情なのかを想像していまいます。
【NO.19】
『 幼気な 魔女の呪文を 聴いたなら 菓子を差し出せ ハロウィンナイト 』
歌のテンポが良く、ラストの「ハロウィンナイト」がリズミカルで、この歌自体が呪文のように感じられます。幼い魔女やお菓子といった可愛らしい単語が使われ、にぎやかで楽しいハロウィンの夜を想像させます。
【NO.20】
『 黄泉返り 夜道を遊ぶ 無邪気たち 掲げる灯りに はしゃぐ月 』
ハロウィンの歌ですが仮装した人間というよりは本物のお化けがカボチャの灯りに集まって来ているような、ホラーのような雰囲気のある歌です。しかし怖さだけではなく、こっそり覗いて見ていたくなるような楽しさがあります。
以上、10月について詠んだオススメ一般短歌集でした!
今回は「10月」をテーマに詠んだ一般短歌を20首紹介しました。
食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋と、暑すぎず寒すぎずの10月は何をするにも気持ちの良い月です。
紅葉も見ごろとなり、身近な木々の葉の色も変化して、見慣れたはずの景色も雰囲気が大きく変わっていきます。皆さんもぜひ深まる秋への思いを短歌で表現してみてください。