【在原業平の有名和歌 20選】伊勢物語のモデル!和歌の特徴や人物像•代表作など徹底解説

 

在原業平は平安時代を代表する歌人です。

 

和歌のセンスが抜群で、和歌の名人の六歌仙や三十六歌仙の一人でもあります。百人一首や古文の教科書で彼の和歌を読んだことがあるという人も多いでしょう。

 

 

今回は、在原業平が詠んだ有名和歌をご紹介します。

 

短歌職人
ぜひ一緒に鑑賞してみましょう。

 

在原業平の人物像や作風

在原業平 出典:Wikipedia

 

 

在原業平は西暦825年に京の都で生まれました。

 

父方の祖父は平城天皇、母方の祖父は桓武天皇です。業平が生まれる前に政変が起きて在原家は天皇の臣下となりましたが、大変高貴な血筋です。

 

成長した業平は貴族として天皇に仕えますが、素晴らしい和歌を作ることでたちまち宮中の評判となります。上手い和歌が詠めることは貴族たちの間でかなりのステータス。女性にもモテます。加えて、業平はても美男だったと当時の歴史書に記述があります。

 

 

業平は非常にモテました。そして彼自身も積極的に女性たちと恋をしました。数多の女性との恋の様子が多くの和歌に残されています。中には天皇の后候補のお嬢様や、神様に仕えるお姫様との禁断の恋までもあります。

 

 (在原業平と二条后 出典:Wikipedia)

 

恋に生きた業平の和歌には、美しい言葉からなるロマンチックなラブレターが多くあります。また、ラブレター以外でも、掛詞を多用するなどして、よりたくさんの情景や思いを伝えようとするのが特徴です。

 

紀貫之が業平の歌を、気持ちが溢れすぎていると評していますが、業平はきっと色々なものに感じ入りやすく、美的センスに優れた人だったのでしょう。

 

業平は西暦880年に亡くなりますが、後の人は好んで彼の和歌を引用したり、姿を絵に描いたりしました。「伊勢物語」という物語の主人公は業平がモデルだと言われています。

 

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現代でも業平には多くのファンがいて、彼と彼の和歌を愛し続けています。

 

京都市中京区にある在原業平邸址 出典:Wikipedia)

 

在原業平の有名和歌・代表作【20選】

 

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ここからは、在原業平のおすすめ和歌を20首紹介していきます!

 

在原業平の有名和歌【1〜10首

 

【NO.1】

『 世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし 』

【意味】世の中に桜が全くなかったなら、人は春をのどかに過ごせるでしょうに。

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いつの時代も日本人は桜が大好き。開花を待ってそわそわ、満開になればお花見に忙しく散るのを惜しんで愛でるものです。この歌は桜を美しいとストレートに表現せずに、いかに桜が人を魅了するのかをうまく表現しています。

【NO.2】

『 狩り暮らし 七夕つめに 宿からむ 天の川原に 我は来にけり 』

【意味】狩りをしていて日が暮れたから、今夜は織姫に宿を借りようか。私は天の川の川原に来たのだよ。

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天の川という川で、一緒に狩りに来た人から天の川をテーマに和歌を作ってと言われて詠んだ歌です。業平は鷹狩の名人としても知られています。よく狩りに出かけていたのでしょう。

【NO.3】

『 春日野の 若紫の 摺り衣 しのぶのみだれ 限りしられず 』

【意味】春日野に生える若紫草で染めたしのぶ模様の衣が乱れるように、私の心も限りなく乱れている。

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狩りに出かけた里で美しい姉妹を見かけてドキドキしてしまったという歌です。

【NO.4】

『 見ずもあらず 見もせぬ人の 恋しくは あやなく今日や ながめくらさむ 』

【意味】はっきりと見たわけではないけれど、ちらりと見えた姿が恋しくて、意味もなくそちらの方を眺めて過ごしています。

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止まっていた牛車の中にちらっと女性の姿が見えて、恋に落ちてしまったという歌です。一目惚れしやすいタイプだったのでしょう。

【NO.5】

『 起きもせず 寝もせで夜を あかしては 春の物とて ながめ暮らしつ 』

【意味】起きるでもなく寝るでもなく夜を明かして、春の長雨をただ眺めています。

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雨の日に恋人に送った歌とされています。あなたを想って夜を明かし、あなたを想って昼の雨を眺めているという意味です。女性に夢中になると一日中その人のことを考えていたようです。

【NO.6】

『 人知れぬ わが通い路の 関守は 宵々ごとに うちも寝ななむ 』

【意味】秘密の抜け道に置かれてしまった関守は夜には寝てしまえばいいのに。

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夜ごと密かに恋人に会っていたのでしょう。しかし恋人の家の人にバレてしまい、抜け道に見張りを置かれてしまいました。会えずに帰ったという歌です。

 

【NO.7】

『 かきくらす 心の闇に まどひにき 夢うつつとは こよひ定めよ 』

【意味】混乱して心が乱れています。夢か現実かは今夜確かめてください。

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昨晩共に過ごした女性から、夜のことは夢だったのかしらと言われて、夢かどうかは今夜も会って確かめてほしいと返した歌です。女性は神に仕える斎宮だと言われています。

【NO.8】

『 駿河なる 宇津の山辺の うつつにも 夢にも人に 逢はぬなりけり 』

【意味】駿河の宇津の山辺では、現実でも夢の中でもあなたに逢わないな。

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昔は、人を想うとその人の夢に現れるのだと考えられていました。旅先の宇津で恋人の夢を見ないので、あなたは私のことを想ってくれてないのですね、とすねた歌です。

【NO.9】

『 思ふには 忍ぶることぞ 負けにける 逢ふにしかへば さもあらばあれ 』

【意味】恋しい気持ちを我慢しようにも負けてしまう、逢えるのならばどうなっても構うものか。

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恋多き業平にも、特別に心奪われる相手が現れました。藤原高子という天皇の后候補です。恋をしてはいけない相手ですが、どうなってもいいから逢いたいと情熱的な歌を詠んでいます。

【NO.10】

『 白玉か 何ぞと人の 問ひしとき 露と答へて 消えなましものを 』

【意味】あれは白玉かしら何かしらとあなたが聞いた時、夜露ですよと答えたけれど、あの時露のように消えてしまえばよかった。

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藤原高子と過ごした夜を思い出している歌です。結局高子は皇后となり、業平は失恋をしました。失恋の辛さを知る前に消えれば良かった、とはよほど胸の苦しい思いをしたのでしょう。

在原業平の有名和歌【11〜20首

【NO.11】

『 月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ 我が身ひとつは もとの身にして 』

【意味】月も春ももうあの頃と同じではない。私一人だけだ、変わっていないのは。

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藤原高子が前に住んでいた家を見に行って詠んだとされる歌です。愛しい人がいない風景は何もかもが様変わりして感じたのでしょう。

【NO.12】

『 ちはやふる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは 』

【意味】神話の世界にだってこんなことはないだろう、竜田川の水が紅に染まって流れるなんて。

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真っ赤な紅葉が竜田川に流れて水が紅に染まっているよう、と紅葉の美しさを詠んでいます。実際の風景ではなく屏風の絵を見て詠んでいて、屏風は藤原高子のものなのだとか。

【NO.13】

『 忘れては 夢かとぞ思ふ 思ひきや 雪踏みわけて 君を見むとは 』

【意味】あなたが出家したのをつい忘れて夢かと思ってしまう。思ってもみなかった、こんな深い雪を踏みわけて会う時がくるなんて。

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かつて仕えていた主が出家して、都から離れた雪深い土地で再会した時の物悲しさや呆然とした気持ちを詠んでいます。寂しい土地で暮らすかつての主が不憫でならなかったのでしょう。

【NO.14】

『 ぬれつつぞ しひて折りつる 年の内に 春はいくかも あらじと思へば 』

【意味】雨に濡れながらも無理に折りました、もう今年は春が幾日も残っていないと思ったから。

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恋人に藤の花と共に送った歌です。「しひて」が強いて、あえて雨のなか折ったことを表します。春がもうすぐ終わるから雨がやむまで待てなかった、今あなたに花を届けたいから、という歌です。

【NO.15】

『 思はずは ありもすらめど 言の葉の をりふしごとに たのまるるかな 』

【意味】あなたは思うこともないだろうけど、私はあなたの言葉を思い出すたびに頼りに思うのです。

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人の妻となり、もう会えなくなったかつての恋人へあてた歌です。まだ私を好きでいてくれるのでは、と未練を感じています。

【NO.16】

『 大原や 小塩の山も 今日こそは 神代のことも 思ひいづらめ 』

【意味】大原野神社も小塩山も今日は神代の頃の華やかな様子を思い出しているでしょう。

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大原野神社で藤原高子と再会した時の歌と言われています。大原野神社は藤原氏にゆかりがあり、高子が詣でたことを喜んでいるでしょうという内容です。「思ひいづらめ」は思い出さずにいられようかという意味で、高子と過ごした日々を思い出す自分の気持ちも表します。

【NO.17】

『 名にし負はば いざこと問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと 』

【意味】都の名を持つ都鳥よ、さぁ尋ねるが、私の愛しい人は元気でいるかどうか?

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旅に出た折りに都に残してきた恋人が気にかかり、都鳥なら都に詳しかろうから尋ねてみたという歌です。

【NO.18】

『 ゆきかへり 空にのみして ふる事は わがゐる山の 風はやみなり 』

【意味】行ったり来たり、上の空でふらふらしているのは、私の居場所の風当たりが強いからだよ。

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平安のモテ男業平も結婚して妻を持ちます。中々キツいタイプの女性だったようで、業平はあまり家に寄りつかなかったとか。この歌は妻に「どうしてふらふら出歩くの?」と小言を言われた返しだったようです。

【NO.19】

『 から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞ思ふ 』

【意味】唐衣を着古すように長く連れ添った妻がいるからはるばる旅をしてきたのだと思うよ。

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奥さんとは長く連れ添ったようですね。この歌は掛詞が4つ使われ、更に句の頭文字が「かきつばた」となっています。旅の仲間同士で、道中見かけたかきつばたに関係のある和歌を読もうとなってできた歌のようです。即興でこんな和歌を詠めるなんてさすが業平です。

【NO.20】

『 桜花 散りかひくもれ 老いらくの 来むといふなる 道まがふがに 』

【意味】桜よ、散って花びらで隠しておくれ、老いがやって来るという道が分からなくなるくらいに。

短歌職人

恋に生きるプレイボーイの業平にも老いはやって来ます。その老いが来る道を桜に隠してもらいたい、まだ老いたくないよという歌ですね。業平は当時としては長生きで56歳まで生きました。

 

以上、在原業平が詠んだ有名和歌20選でした!

 

 

短歌職人
今回は、在原業平が詠んだ和歌20首をご紹介しました。
和歌と一緒に見ると、在原業平を歴史上の人物というだけでなく、実在した一人の男性として興味が深まるかもしれません。
業平の和歌は「伊勢物語」や「古今和歌集」で鑑賞できますので、彼をもっと知りたいと思った人は手に取ってみるのも良いでしょう。