「子供は目に入れても痛くない」とはよく言われる言葉です。
それほどに可愛いという意味ですが、親とは子供が生まれると大喜びし、愛情をかけて育てて無事に大きくなることを願うもので、その気持ちは大昔から現代まで変わりがありません。
今回は、「子供」をテーマに詠まれた短歌・和歌を20首紹介します。
「世の中に思ひあれども
子をこふる思ひにまさる
思ひなき哉」紀貫之世の中に感情、もの思う心はいろいろあるけれども、親が子を思いやる心以上に強く美しいものはない。
ほんわかワンシーン。
父と子。 pic.twitter.com/9uZKZY3n0D— 咲良 (@sakuranotabi) November 23, 2015
子供の成長を願う!子供がテーマの有名和歌/短歌【おすすめ10選】
【NO.1】山上憶良
『 銀(しろがね)も 金(くがね)も玉も 何せむに まされる宝 子にしかめやも 』
【意味】銀も金も玉も何になるだろう、子に勝る財宝があるだろうか。
【NO.2】紀貫之
『 世の中に 思ひあれども 子を恋ふる 思ひに勝る 思ひなきかな 』
【意味】世の中にはさまざまな思いがあるが、子を恋しく思う心に勝る思いはないのだ。
【NO.3】中納言兼輔
『 人の親の 心は闇に あらねども 子を思ふ道に 惑ひぬるかな 』
【意味】人の親の心は闇ではないけれど、子を思うと道に迷ったようにおろおろしてしまうのだよ。
【NO.4】伊藤左千夫
『 よき日には 庭にゆさぶり 雨の日には 家とよもして 児等が遊ぶも 』
【意味】晴れた日には庭のブランコを揺さぶって、雨の日には家中で大騒ぎして子供たちが遊ぶよ。
【NO.5】与謝野晶子
『 君に似し 二尺ばかりの 人ありて 家うち光れり 神より来しや 』
【意味】君に似た二尺ほどの人がいて家の中は輝くようだ。神の国から来たのだろうか。
【NO.6】若山牧水
『 若竹の 伸びゆくごとく こども達よ 真直に伸ばせ 身をたましひを 』
【意味】若い竹が伸びていくように子供たちよ、体を魂を真っ直ぐに伸ばせ。
【NO.7】半田良平
『 みんなみの 空に向かひて 吾子の名を 幾たび喚ばば 心足りなむ 』
【意味】南の空に向かって我が子の名前を何度呼べば満足するのだろう。
【NO.8】島木赤彦
『 隣室に 書よむ子らの 声きけば 心に沁みて 生きたかりけり 』
【意味】隣室で本を読む子供たちの声を聞けば心に沁みて、生きたいよと思う。
作者は病気で部屋で寝ているのですが、隣の部屋から子供たちが本を音読する声が聞こえてきます。その声を聞いていると胸がいっぱいになり、もっと生きたいと心から思ったという内容です。音読ができるまで大きくなった子供たちの成長を作者はもっと側で見続けたいと思ったのではないでしょうか。
【NO.9】河野裕子
『 ぽぽぽぽと 秋の雲浮き 子供らは どこか遠くへ 遊びに行けり 』
【意味】ぽぽぽぽと秋の雲が浮き、子供たちはどこか遠くへ遊びに行った。
「ぽぽぽぽ」という擬音語には、まるでたんぽぽの綿毛が飛んでいくような気ままさを感じます。細かい秋の雲がいくつも浮かぶ様子を表す擬音語ですが、どこかへ遊びに出て行った子供たちを表しているようにも思われます。子供の成長が嬉しいながら、少し寂しい親の気持ちを詠んだ歌です。
【NO.10】佐佐木幸綱
『 のぼり坂の ペダルを踏みつつ 子は叫ぶ 「まっすぐ?」、そうだ どんどんのぼれ 』
【意味】上り坂のペダルを踏みながら子供が叫ぶ。「まっすぐ?」そうだ、どんどん上れ。
子供の成長を願う!子供がテーマの一般短歌ネタ【おすすめ10選】
【NO.1】
『 手を合わせ 神に願うわ 健やかな 子の成長と 家族の幸せ 』
【NO.2】
『 Sサイズの 虹をください アサガオに 小さな雨を 降らすこの子に 』
【NO.3】
『 おさな子の 親の願いは シンプルで ただ健やかに 笑うことのみ 』
【NO.4】
『 年末の 忙しさの中 ふと思う 子らの成長 嬉しく寂しく 』
【NO.5】
『 夕暮れの 風にたなびく 鯉のぼり 我が子の成長 ただただ願う 』
【NO.6】
『 仕事終え 寝室で得る 反抗期 迎えた息子の 変わらぬ寝顔 』
【NO.7】
『 注射器が 怖いと泣き喚く子見て「成長だねぇ」と 涙ぐむ母 』
【NO.8】
『 はいいいえ 一喜一憂 するけれど これがこの子だ 成長の証 』
【NO.9】
『 寝る前の 儀式いらなく なった子の 成長記録の 別名「寂しい」 』
【NO.10】
『 三本の ろうそくを消した 日のきみの ひかるほっぺを まだ憶えてる 』
以上、子供がテーマのおすすめ短歌20選でした!
親が子の成長を願う気持ちは今も昔も変わりません。
子供が親離れし、反抗期や思春期を迎えて接し方の難しい年頃になっても、親はそれだけ大きくなったことを嬉しく思うものです。
親が子供を愛しているように、子供だって親が大好きではないでしょうか。時にはアルバムを見返すなどすると親子の思い出がよみがえり、温かな気持ちになることでしょう。