【春の短歌 20選】高校生向け!!春らしいおすすめ短歌作品を紹介!

 

みなさんは「春」から何を連想しますか?

 

桜がきれいでスタートの季節というのが一般的でしょう。

 

しかし、短歌を作るとき「春らしさ」を出すのは意外と難しいものです。

 

俳句のように「季語」を使う習慣がなく、季節感を出すのが難しい一面があるのです。

 

そこで今回は、俳句作りに参考になるここでは春らしいおすすめ短歌作品をご紹介します。

 

短歌職人
ぜひ参考にして春の短歌にチャレンジしてみてください。

 

短歌に春らしさを出す!春の季語を知ろう

 

「季語」とはどんな言葉なのでしょうか?

 

単に季節を表すだけでなく、日本特有である四季折々の日常に即した季節感や生活感、風景や風情を表すために定められた言葉たちのことを「季語」いいます。

 

短歌ではこの「季語」を使う決まりは特にありませんが、春らしさを出すために「季語」を使うのはとても効果的です。この機会にぜひ活用してみましょう。

 

みなさんが使いやすそうな春の季語を下に集めてみました。

 

短歌職人
季語は旧暦に沿って考えますので、立春(二月四日ごろ)から立夏(五月六日ごろ)の前日までに使うのが春の季語となります。

代表的な春の季語【一覧】

 

【天候

春 初春 寒明 二月 立春 早春 春浅し 冴え返る 余寒 旧正月 春寒 春めく 如月 雨水 三月 啓蟄 弥生 春分 彼岸 木の芽時 暖か 晩春 四月 麗か 長閑 春暁 春は曙 春昼 日永 遅日 春の夕 春の暮 春の宵 春の夜 花時 花冷 花過ぎ 春探し 八十八夜 春暑し 弥生尽 行く春 春惜む 夏近し

 

【天文・地理

秋春の日 春光 春の空 春の雲 東風 春一番 春風 春嵐 風光る 春の雪 雪の果 名残り雪 春の霙 春の霰 春の霜 初雷 霞 陽炎 蜃気楼 春の夕焼 春の月 朧月 朧 春の星 春の闇 春雨 春時雨 花曇 花の雨 春の雷 春の虹 雪解 氷解く 雪代 雪崩 流氷 残る雪 薄氷 山目覚める 春の山 山笑う 春の川 春の野 水温む 春の水 春泥 春の土 春の海 春の波 春の園 逃げ水

 

【生活・行事

大試験 受験 入学 入学試験 卒業 春休 新社員 春の風邪 花粉症 春帽子 春服 花衣 木の芽和 田楽 目刺 草餅 うぐいす餅 桜餅 北窓開く 春の炉 春炬燵 炬燵とる 雪割 野焼 山焼 種蒔 茶摘 海女 摘草 潮干狩 梅見 風船 風車 シャボン玉 ブランコ 伊勢参 朝寝 春眠 春の夢 建国記念日 バレンタインデー 桃の節句 雛祭雛 菱餅 白酒 雛あられ 雛納め 春祭 みどりの日 昭和の日 ゴールデンウィーク どんたく

 

【動物や植物

猫の恋 猫の子 おたまじゃくし 蛙 蝶 蜂 蚕 春の鳥 花鳥 鴬 ホオジロ 燕 雲雀 鳥返る 海猫渡る 白鳥帰る さえずり 鳥の巣 雀の子 巣箱 桜鯛 鰊 白魚 飛魚 蛍烏賊 蛤 浅蜊 蜆 栄螺 赤貝 桜貝 梅 白梅 紅梅 黄梅 猫柳 木の芽 山椒の芽 雪割草 草の芽 薔薇の芽 沈丁花 辛夷 椿 桜 花 初桜 夜桜 山桜 八重桜 春の草 若草 芹 いぬふぐり 菫 蒲公英 蒲公英のわた クローバー 桃の花 木蓮 雪柳 ミモザ 藤 竹の花 つつじ 柳 クロッカス ヒヤシンス チューリップ パンジー フリージア スイートピー 桜草 アネモネ 菜の菜 水菜 春菊 レタス 韮 アスパラガス クレソン 山葵 土筆 和布 海苔

 

短歌職人
「歳時記」(季語の辞典のような本)を開いていただければ、もっとたくさんの季語を調べることができます。

 

高校生向け!!春らしい有名短歌集【10選】

 

それでは春の季語が使われている春らしい有名な短歌を10選ご紹介します。

 

短歌職人
まずは、百人一首、古今和歌集、万葉集からご紹介していきます!

 

【NO.1】光孝天皇

『 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ 』

季語:春の野・若菜

意味:あなたのために春の野へ若草を摘む私の着物の袖には、雪が止むことなく降り続いています。

短歌職人
この時代、新春に若菜を食べると病気や災難を祓うといわれていました。まだ若き親王だった光孝天皇は、大切に思う人に若菜を贈るために雪の中、みずから若菜を摘んだのです。相手の健康を思いやる優しさと、その立ち振る舞いの優雅さも伝わってくるようです。

 

【NO.2】小野小町

『 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに  』

季語:花

意味:桜の花の色は、長雨が降る間に色あせてしまった。わたしの容姿も物思いにふけっている間に衰えてしまったようです。

※「うつりにけりな」は『移り変わってしまった』、「いたずらに」は『むなしくも』、「ふる」は雨が降る意味と年月が経つことをも意味しています。「ながめ」は『眺め』と『長雨』の掛けことば。

短歌職人
絶世の美女であり一流歌人でもあった小野小町。咲き誇っていた桜が雨にうたれているうちに散って色あせていくように、かつては多くの男性から求愛されていたけれど、物思いにふけっているうちに年をとってしまったという自分と桜を重ねて詠んだ歌です。

 

【NO.3】紀友則

『 ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ  』

季語:のどけき(長閑き)、春の日、花

意味:日の光がのどかな春の日に、なぜ桜の花はこんなに散り急ぐのだろう。

※「ひさかたの」は天、空、月などにかかる枕詞。

※「しづ心なく」は落ち着きがなくてせわしない様子。

※「散るらむ」はどうして散るのだろうかの意。

短歌職人
のどかでゆったりとしている春の日なのに、あわただしく散ってゆく桜を名残惜しむ気持ちを詠んでいます。

 

【NO.4】伊勢大輔

『 いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に 匂ひぬるかな  』

季語:八重桜

意味:かつて栄えた奈良の都の八重桜が、今日はこの九重の宮中で美しく咲き誇っていますよ。

※「九重」は宮中のこと。「におふ」には「美しく咲く」という意味もあります。

短歌職人
紫式部と共に一条天皇の后に仕えていた伊勢大輔。一条天皇に奈良から八重桜が贈られた折り、紫式部から依頼されて贈りものを受けとる歌を詠むことになり、この歌が生まれました。古都である奈良と一条天皇の治世を同時にたたえたこの歌を詠んだことで、伊勢大輔は歌人として認められたという逸話があります。

 

【NO.5】野氏宿奈麻呂(やしのすくなまろ)

『 年のはに 春の来たらば かくしこそ 梅をかざして 楽しく飲まめ 』

季語:春、梅

意味:これからも毎年、春が巡ってきたら、このように梅を髪にさして、楽しく飲もうではないか。

※「年のは」は毎年の意味。「かくしこそ」は、このようにして。「かざして」は髪にさしての意。

短歌職人
太宰府で、大伴旅人が中心となって行った「梅花の宴」時に詠まれた梅花32首(万葉集)のなかのひとつ。今年だけでなくこれからは春が来るごとに梅をみなで愛でましょうと、集まった歌人たちに呼びかける気持ちを詠っています。

 

ここからは明治以降、近代、現代の歌人の俳句をご紹介します!

 

【NO.6】樋口一葉

『 あるじなき 垣ねまもりて 故郷の 庭に咲きたる 花菫かな 』

季語:花菫

意味:故郷の家を留守にしたままですが、庭に咲く菫の花が家の垣根を守ってくれている事でしょう。

短歌職人
留守にしたままの家が気がかりだけれど、今頃はすみれの花が垣根に添って、健気に咲いていてくれるだろうと思い浮かべた作者。樋口一葉は5千円札の人としても有名ですが、24歳という若さで亡くなった天才的な歌人、小説家です。

 

【NO.7】正岡子規

『 くれなゐの 二尺伸びたる 薔薇の芽の 針やはらかに 春雨のふる 』

季語:薔薇の芽、春雨

意味:紅色の薔薇の芽が二尺ほど伸びたので、そのまだやわらかい刺をみていると、春の雨がやさしく降ってきましたよ。

短歌職人
赤い薔薇の新芽が二尺(約60cmくらい)ほども伸びて、嬉しく思った作者が、やわらかな刺を眺めているところにぽつぽつと雨が降り注いできたという風景です。

 

【NO.8】北原白秋

『 いつしかに 春の名残りと なりにけり 昆布干場の たんぽぽの花 』

季語:春、たんぽぽ

意味:いつの間にか今年の春も終わりになってしまった。浜辺の昆布干場のたんぽぽの花がゆく春を惜しんでいるように思えます。

※「昆布干場」は採れた昆布を浜辺で乾燥させている場所。

短歌職人
春の名残のおだやかな日ざしの中、浜風に憩っている様子が伝わります。この昆布干場は白秋が27歳ごろに移り住んだ三浦半島の三崎漁村だと言われています。

 

【NO.9】俵万智

『 「クロッカスが咲きました」 という書きだしで ふいに手紙を 書きたくなりぬ 』

季語:クロッカス

意味:「クロッカスが咲きました」という書き出しで、ふいにあの人に手紙を書きたくなったのです。

短歌職人
クロッカスがきれいに花を咲かせた、その喜びの気持ちを電話やメールでもない、この書き出しの手紙で伝えたい。あるいはクロッカスの開花を連絡のきっかけにコミュニケーションをとろうかな、というそのときの新鮮な思いと、あえて手紙にこだわりたい心境をストレートに詠んだ歌です。

 

【NO.10】梅内美華子

『 泡立てし シャボン溢るる 手の平に おぼれもせずに 顔洗うひと 』

季語:シャボン

意味:石鹸の泡を手のひらから溢れるほど、たくさん泡立てて顔を洗ってるいるけど、よくおぼれないものですよね。

短歌職人
最近は専用の泡立てグッズなどでふわふわの泡を作って洗顔するのが浸透しつつあります。手にあふれんばかりの泡に顔をうずめて洗っている様子を客観的にもユーモラスな視線で楽しく詠った歌です。

 

こんな俳句もある!春の素人俳句集【10選】

 

次はみなさんと同じ高校生の方のオリジナル短歌をご紹介します。

 

【No.1】ひなあられ 金平糖に 桜餅 毛氈に菓子 すまして座る 

季語:ひなあられ、桜餅

意味:ひなあられ、金平糖、桜餅とお菓子たちが毛氈に並んで、すまして座っていますよ。

短歌職人
雛祭りのお菓子たちが毛氈(お茶席などで使う敷物)にきちんと並べられて、おひなさまといっしょにおすまししているような可愛らしい風景です。

 

【No.2】さっきまで 誰がのって いたのかな ちいさく揺れる 青いブランコ

季語:ブランコ

意味:ふと見ると青いブランコが小さく揺れているけど、ついさっきまで誰かがのっていたのかなあ。

短歌職人
ブランコがかすかに揺れているけど誰もいない。青いブランコを降りると同時に駆けだしていった子どもがいたのかもしれません。それとも風がこっそりゆらしたのかも。メルヘンのような春の日のひとこまです。

 

【No.3】啓蟄の 季節となるも いまさらに 強風なれば 虫もひっこむ

季語:啓蟄

意味:啓蟄の季節になったのに(暖かくならず)いまさら強風になれば、出てきた虫たちがまた穴にひっこむだろうなあ。

短歌職人
啓蟄は3月の初旬。虫たちが冬眠から覚めて穴から出てくる時期のことをいいますが、実際はまだまだ寒く風も強い日が多いのが現実です。風が強いと虫が穴にひっこんでしまうよねと、春とは名ばかりの実感を詠っています。

 

【No.4】残雪を 踏みしめ登る 刈田岳 春の山にも うぐいすの声

季語:残雪、春の山、うぐいす

意味:残り雪を踏みしめて刈田岳(蔵王連峰)に登っています。うぐいすの声もしてもう春なのですね。

短歌職人
まだ雪の残る刈田岳。足元は残り雪でも山の景色に春を感じたところに聞えてきたうぐいすの声。春の訪れを体感したその瞬間を詠んだ歌です。

 

【No.5】この時期の 涙は花粉症のせい じき春ですね 空をみましょう

季語:花粉症、春

意味:この時期、涙がでるのは花粉症のせいです。もうすぐ春だから空を見上げましょう。

短歌職人
涙がでるのは花粉のせい?それともなにか悲しいことが?「上を向いて歩こう」という歌をおもいだしました。

 

 

【No.6】大きめの 弁当箱の卒業す 母の十八番の 厚焼き玉子

季語:卒業

意味:卒業を迎えて、母が得意な厚焼き玉子を詰めてくれていた大きめのお弁当箱もいっしょに卒業である。

短歌職人
卒業してもうお弁当が必要でなくなる作者と、台所に所在なく置かれたお弁当箱。お昼休みのささやかな楽しみも卒業です。ちょっぴり淋しいけれど、ほのぼのとした卒業のひとこまです。

 

【No.7】白鳥は 飛び立ちにけり 静かなる 入り日の湖の 春のおとずれ

季語:白鳥、春

意味:白鳥は(今年も)飛び立っていきました。静かな湖の日ぐれに春の訪れを感じます。

※「湖」はここでは「うみ」と読みます。

短歌職人
春になると白鳥は北方へ向かうために飛び立っていきます。その姿を見送ったあと、沈もうとする夕日にあたたかい春らしさを感じた気持ちを詠んだ歌です。

 

【No.8】鉛筆も 針と尖れる 空気満つ 入学試験 開始直前

季語:入学試験

意味:鉛筆の先がまるで針のように尖るような空気が満ちている、入学試験開始直前の試験会場です。

短歌職人
開始時間を待つあいだの緊張感を、目の前に準備してある尖った鉛筆を使って、とても巧みに表現しています。針の先のようにピーンと張り詰めた感覚が痛いほどです。

 

【No.9】駅出ると 陽射しコートに 集まって 脱いでみようか うららかな午後

季語:コート、うららか

意味:駅を出たら、陽射しがコートに降り注いであたたかくなった。うららかな午後であるし、コートは脱いでみようかな。

短歌職人
駅の改札をでてみると思いがけなく陽射しがあたたかくて、コートを脱いでもいいかなと思いつつ、午後の街に春のうららかさを感じながら歩いている作者。春の訪れに気持ちも身体も軽やかになっていく様子が目に浮かびます。

 

【No.10】ずっと前 風船飛ばした 種付けて どこかで芽吹き 咲いただろうか

季語:風船、芽吹き

意味:ずっと前だけれど、花の種を付けて風船を飛ばした。その種は今頃、どこかで芽吹いて、花も咲いただろうか。

短歌職人
バルーンリリース。風船を飛ばす演出やイベントで、メッセージや種を括りつけて行うこともあります。作者は自分が飛ばした風船に付けた種のことを忘れずにいました。小さな命が息づいているだろうかと思いを馳せた心優しい歌です。

 

以上、高校生向け春のおすすめ短歌集でした!

 

百人一首や万葉集の言い回しは現在ほとんど使いません。好きな部分や内容などをところどころ参考にするとよいでしょう。

 

そして短歌にしたい身の回りの出来事やその時の気持ちを肩の力を抜いて言葉にしてみましょう。

 

好きな季語を探しているうちに、短歌づくりのインスピレーションもわいてくるかもしれません。

 

短歌職人
ぜひ季語を使って、春の短歌作りにチャレンジしてみてくださいね!