短歌は印象的な出来事を詩として残すことに長けています。
学生時代の印象的な出来事の一つに修学旅行があります。
特に京都や奈良は学校で習った場所であり、新しい発見や再認識で溢れています。
そこで、今回は修学旅行(京都&奈良)について詠んだ短歌作品をご紹介します。
修学旅行のおすすめ短歌【京都編10選】
【NO.1】『 さかのぼる 清水寺の かなしみも 音羽の滝の 水霧と化す 』
短歌職人
清水寺に行くためには急な坂を上る必要があります。また過去に遡ると清水寺は9回の焼失などの不遇な目に遭っています。そのどちらも清水寺の中にある滝に癒されているのですから、とても神秘的で心落ち着く場所なのでしょう。
【NO.2】『 清水の 古都を見渡す あの舞台 注ぐ陽光 揺れる青葉よ 』
短歌職人
清水寺の舞台からは京都の街を見下ろすことができます。清水寺は山の斜面にあるので周囲は木々で囲まれていながら、近代的な建物と古い町並みが合わさった独特の街並みが見下ろせます。その情景がいかに美しいか、この短歌から感じることができます。
【NO.3】『 いつかまた 感じる時が 来るかもな 古都の風と 京都の優しさ 』
短歌職人
京都は大人も旅行に来る場所です。修学旅行で行った場所を改めていくかもしれません。その時は修学旅行でのことを思い出すかもしれません。今見ている気持ちと将来への目線が合わさった面白い角度の短歌です。
【NO.4】『 壁の中 鋭く光る 鷹の目は 何をにらんで いるのだろうか 』
短歌職人
二条城のふすまに鷹の絵があります。存在感のある大きな鷹が松の木の上にいます。鋭い目はまるで周りをにらんでいるように見えますが、当時は何をにらんでいたのでしょうか。時代を感じさせる京都だからこそ奥行きのある短歌です。
【NO.5】『 この場所に かつては足利 義満が いたと思うと 不思議な気分 』
短歌職人
京都は歴史上の人物が大勢いた場所でもあります。教科書に登場するような人物が歩いていたかもしれない場所にいると思うと、時代を超えた気分になります。都のあった京都で感じられる特別感を固有名詞を出して答えている点が秀逸です。
【NO.6】『 碁盤の目 みたいな形 した京都 バスのカーブは いつも直角 』
短歌職人
京都特有の街並みを初めて体験したことを面白い角度で歌っています。京都は道路が広くはないためバスも慎重で正確に曲がります。その様子を細かく表現しています。
【NO.7】『 三間堂 自分の顔が あったかな 昔の人は よく造ったな 』
短歌職人
1001体の仏像がある三十三間堂では、自分の顔に似ている仏像が必ずあると言われています。数も多く探すのは困難と感じるのと同時に、全てを違う顔に制作したことへの驚きも感じられます。仏像への歴史と畏敬の念が読み取れます。
【NO.8】『 金閣の きれい偉大さ 見てみると 燃やしてみたく なるかもしれない 』
短歌職人
金閣寺は放火事件により焼失しています。動機は様々語られていますが、作者は燃やしてみたくなる気持ちがわかる程、金閣寺が荘厳だと感じています。歴史上の事件と掛け合わせて作られた面白みのある短歌です。
【NO.9】『 楽しみな すずめの丸焼き 売ってない 少し残念 少し安心 』
短歌職人
伏見稲荷の参道では雀の丸焼きを食べることができます。五穀豊穣を願い、穀物を荒らす雀を退治することが由来とされています。雀を一羽そのまま丸焼きで売っているため、見た目は衝撃的で見たさ半分怖さ半分でしょうか。その気持ちを率直に作者は語っています。
【NO.10】『 巨大すぎ 真っ赤に燃えてる 鳥居見て 悩みの全て 小さく感じた 』
短歌職人
平安神宮などの鳥居は写真で見ても巨大ですが、実物の迫力は凄まじいです。体感した瞬間に何かを感じた作者は悩みがどうでもよく感じています。写真ではない本物の圧倒的な雰囲気を伝えています。
修学旅行のおすすめ短歌【奈良編10選】
【NO.1】『 おす鹿よ A5ランクの おれの肉 うまかつただろう せんべいよりも 』
短歌職人
奈良は鹿の名所です。しかし、ご飯と思われるものにかみつくことでも有名です。作者の体がおいしそうに見えたのでしょうか。かじられたことを面白おかしく表現しています。
【NO.2】『 大仏の あの大きさと 同じくらい 自分も心 広くしていく 』
短歌職人
初めて見る大仏はとても大きく感じることでしょう。心を広くするほど雄大な姿だと作者は感じたのでしょう。大仏と同じ大きさの心であれば、どんなことにも動じないでいられそうです。
【NO.3】『 法隆寺 近くで見上げ 思い出す 地震に強い 閂作用 』
短歌職人
法隆寺は特殊な建築で、心柱が建物本体と強固にくっついておらず、そのおかげで地震に強いと言われています。教科書の図で見るのと間近で見るのは違います。今まで学んできたことを実際に体験できたその瞬間が切り取られています。
【NO.4】『 盆地でね 雨が降ること 知っていた 社会で習う 盆地の気候 』
短歌職人
教科書で学んだ事は他人事のように感じられることもあるかと思います。しかし、修学旅行で身をもって知ることで自分のこととして受け止めることができます。その気持ちを天気で表現しています。
【NO.5】『 しおり舐め 鹿の導く 奈良公園 歴史の旅に 侘びを知る君 』
短歌職人
と奈良公園の鹿は紙をかじろうとすることで知られています。歴史を感じる場所とは思えない出来事ではありますが、旅のしおりがなくても過ごすことができると気づかせてくれています。
【NO.6】『 仏像と 心と体を 合わせつつ 年の重なり 感じけるかな 』
短歌職人
仏像にお参りするようにじっくり眺めていると、自分や仏像が過ごした年月を感じることができます。このようにゆっくり見ることができるのは修学旅行の醍醐味でもあります。
【NO.7】『 奈良の地の 豊かな自然 かおる風 昔の人の 心で感じる 』
短歌職人
奈良は昔から山々に囲まれ、気候も変わりません。電気のなかった時代と同じ風景があると思うと、昔の人々はどのように感じて過ごしていたのか気になってきます。豊かな自然を通して昔の人へ思いをはせています。
【NO.8】『 紅き五重 しゃくなげと共に 森の中 宝石のように 赤く輝く 』
短歌職人
奈良県の室生寺は森の中に赤い五重塔があります。緑と赤のコントラストが非常に美しく、有名な写真がいくつかあります。境内はシャクナゲが咲いており、参道が花で囲まれている季節もあります。非常に美しい姿に対して作者が五重塔を宝石と呼んでいることから感動していることが分かります。
【NO.9】『 草原の 柱のうちから 見渡して 千年前の みやこを感じ 』
短歌職人
奈良県はかつて平城宮があったことが知られています。遺跡はありますが、都全体は復元されておらず、現在は草原になっています。平城宮の門の後から見る都は広く、吹き抜ける風も昔と同じだったかもしれません。教科書にある都が目の前にあると思うと胸が熱くなりますね。
【NO.10】『 眉を上げ 鼻ふくらまし 口を開けて 私を見下ろす 暴悪大笑面 』
短歌職人
暴悪大笑面は非常に興味深い仏像と言われています。表情豊かな顔がいくつもあり、こちらを見ている様子は圧巻です。大きな仏像に凄まじい形相で見下ろされる気分は見透かされているような気持にもなります。作者は仏像の生き生きとした様子を繊細にとらえています。
以上、修学旅行の短歌(京都&奈良編)でした!
修学旅行で訪れる京都や奈良は今までにない感動や発見で溢れています。
その様子が面白くも、興味深くも感じられていることが短歌から分かります。
短歌職人
初めてで得られたことをぜひ短歌にして思い出を残してください!