【空をテーマにした短歌 20選】おすすめ!!有名短歌&素人短歌作品集を紹介!

 

青い空、夕焼け、星空。空にはいろんな表情がありますよね。

 

なにかに悩んだとき、嬉しいことがあったとき、人は空を見上げます。空は、私たちにとって心のよりどころですよね。

 

今回は、そんな空をテーマにした短歌をご紹介いたします。

 

短歌職人
ぜひ、あなたのお気に入りの短歌を見つけてみてください!

 

空をテーマにした短歌集【有名短歌 10選】

 

まずは古典から現代まで、聞いたことがあるかもしれません有名な短歌をご紹介します。

 

【NO.1】徳大寺実定(とくだいじさねさだ)

『 ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる 』

意味;ほととぎすの鳴いた方向を見渡したが、ただ明け方の月だけがひっそりと残っているだけだった。

短歌職人
「有明」とは、夜明けの空のことです。ほととぎすは、初夏を代表する鳥で明け方に鋭い声で鳴くことが多いとされています。作者は、どんなことを考えながら夏の早朝を散歩していたのでしょうか。想像力の膨らむ歌ですね。

 

【NO.2】藤原定家

『 大空は 梅のにほひに 霞みつつ くもりもはてぬ 春の夜の月 』

意味;大空は梅の香りでかすんでしまっている。そして、ぼんやりと曇りきらない春の夜の月も出ている、そう朧月だ。

短歌職人
朧月(おぼろづき)とは、春の夜の、ほのかに霞んだ月のことです。梅の香りも朧月も、辺りはすっかり春模様になったさまをうまく表現しています。

 

【NO.3】斎藤茂吉

『 春がすみ とおくながるる 西空に 入日おほ()きく なりにけるかも 』

意味;遠くの空にまで、春霞がかかっている。西の空に沈んでいく夕日が、春霞によってあんなに大きくなっているよ。

短歌職人
沈んでいく夕日がぼんやりと滲んでいる景色が目に浮かんできます。夕日を眺めながら、作者はどんなことを考えていたのでしょう。

 

【NO.4】柿本人麻呂

『 東(ひんがし)の 野にかぎろひ()の 立つ見えて かへ()り見すれば 月傾きぬ 』

意味;東の野原にかぎろひが見えて、振り返ると月が傾いているのが見えた。

短歌職人
「かぎろひ」とは、太陽が昇る前の光のことです。朝と夜のちょうど狭間にいる様子が、この歌から読み取れますね。

 

【NO.5】清原深養父

『 冬ながら 空より花の 散りくるは 雲のかなたは 春にやあるらむ 』

意味;まだ冬であるのに空から花が散ってくるということは、きっと雲の向こうはもう春なのでしょう。

短歌職人
降ってくる白い雪を「花が散ってくる」と表現しています。とても素敵ですね。綺麗な冬の空を想像できます。

 

【NO.6】よみ人知らず

『 おほぞらの 月の光し きよければ 影見し水ぞ まづこほりける 』

意味;大空の月の光が、清く冷たい。きっと、その月を見ていた池の氷が一番に凍ったことだろう。

短歌職人
「月を見ていた」という擬人法が使われています。冬の冷たさ、厳しい寒さが伝わってくるような歌ですね。

 

【NO.7】島木赤彦

『 夕焼空 焦げきは()まれる 下にして 氷らんとする 湖(うみ)の静けさ 』

意味;真っ赤な夕焼けは、まるで西の空を焼き尽くしてしまうかのようだ。その下に横たわり、いまにも凍ってしまいそうな湖は、なんと静かなんだろう。

短歌職人
真っ赤な夕日を、「空を焼き尽くしてしまいようだ」と表現する、作者の感性の豊かさが表れています。澄み切った湖のしんとした静かな様子から、冬の寒さが伝わってくるようです。

 

【NO.8】藤原定家

『 春の夜の 夢の浮橋 とだえして みねにわかるる 横雲の空 』

意味;浮橋のように儚い春の夢が途切れて目にしたのは、嶺の辺りから横にたなびく明け方の空だった。

短歌職人
「浮橋」とは、いかだや舟を並べた上に板を渡して作った仮の橋のことで、その不安定さ、危なっかしい様子から、儚い夢の象徴としてよく使われる言葉です。夢から覚めることを「夢の浮舟とだえして」と表すとは、なんとも素敵な表現ですね。

 

【NO.9】土田耕平

『 仰ぎ見る 空の青さへ 澄みはてて 木枯の風 吹きにけるかも 』

意味:青く澄んだ空を見上げると、木枯らしが吹いていたんだ。

短歌職人
「木枯らし」という季語が使われていることによって、冬の訪れをこの歌から感じ取ることができますね。澄み渡った冬の空が想像できます。

 

【NO.10】持統天皇

『 北山に たなびく雲の 青雲の 星離(さか)り行き 月を離れて 』

意味;北山にたなびいている青雲が、遠くへ離れていってしまう。星たちからも離れ、月からも離れていくように。

短歌職人
これは、天武天皇が亡くなった際の悲しみを詠んだ歌だといわれています。天武天皇への想いを「青雲」に重ねて、自分のもとを離れていってしまった悲しみを表現しています。

 

空をテーマにした短歌集【素人短歌 10選】

 

次に、一般の方が詠んだ素人オリジナル短歌をご紹介いたします。

 

様々な年代の人が、空に対する率直な感想を短歌にして表現しています。

 

【NO.1】『 空からの 恵みの雨は 降りしきり 地上に咲くは 傘の花束 』

短歌職人
雨の日は、ついつい憂鬱な気分になってしまいがちですよね。そんな中で、傘をさす人の群れを「花束」だと表現する作者の素晴らしい感性が歌に表れています。

 

【NO.2】『 六限に きみの視線を 辿りつつ 同じ窓から 見た空の青 』

短歌職人
作者の純粋な想いと青春のきらめきが伝わってくるような歌です。教室の窓に縁どられた空が目に浮かびます。

 

【NO.3】『 青空に 無数の飛行機雲伸びて 走りに行こうと 誘ってる 』

短歌職人
「誘ってる」という擬人法が用いられています。雲のラインが引かれた青い空、作者の胸が躍っている様子が伝わってきますね。

 

【NO.4】『 青空に 雲で描いた 作品は 誰にも描けぬ 生きる芸術 』

短歌職人
雲の様子を「生きる芸術」というとは、とても粋な表現ですね。青空に広がる雲の形に、ソフトクリームだとかハートだとか、いろんなものを重ねて見た、そんな幼き頃の自分を思い出すような歌です。

 

【NO.5】『 曇り空 ケロケロと泣く 鳴き声に 姿見せてと カエルを探す 』

短歌職人
とても遊び心のある歌ですね。どんより曇ってくると、つい気分も落ちてきてしまいますが、そこに楽しみを見つけている作者の前向きな姿勢が感じ取れます。

 

【NO.6】『 蒼天を 一手に握る 銀の月 あなたを照らし 心を奪え 』

短歌職人
一途な想いを月に託し、どうせ叶わないのなら月が奪ってしまえ、という作者の切ない恋心が読み取れます。

 

【NO.7】『 空に穴 はしごかけたら 届きそう 抜け出してみる この世界から 』

短歌職人
雲の切れ間を「穴」と表現する、とても感性豊かな作者ですね。雲の上にはどんな世界が広がっているのだろう?と、想像力を掻き立てられる歌です。

 

【NO.8】『 泣き顔を 見られまいと 空見れば 美しい青 頬に雨降る 』

短歌職人
頬に伝う涙を「雨」と表現する隠喩法が使われています。悲しさや悔しさを包み込むような寛大な空の様子が歌われていますね。

 

【NO.9】『 ましかくの ルビーが並ぶ キラキラと 夕日を浴びる ビルの窓たち 』

短歌職人
夕日に照らされたビルを、まるで宝石のようだと表現する作者の純粋さが表れている歌ですね。殺風景なビルの風景が色とりどりに輝く様子、想像しただけで実に美しいです。

 

【NO.10】『 水たまり パンプスで踏む オフィス街 昨日は荒れた 空も笑った 』

短歌職人
日々の忙しさの中で、少し晴れやかになった作者の心情が表現されています。「空も笑った」という擬人法が使われており、より一層、まっすぐ心に入ってくるような歌になっていると思います。

 

以上、空をテーマに詠んだ有名短歌&素人オリジナル短歌集でした!

 

お気に入りの短歌はありましたか?

 

昔からいろんな表情をわたしたちに見せてくれた空。空を見上げて決意を誓った人もいれば、空を見上げて涙を流した人もいます。時代が変わっても、空を見上げて思いを馳せる人々の姿は変わらないものですね。

 

これからも空はわたしたちにそっと寄り添い、様々な表情を見せてくれることでしょう。

 

短歌職人
皆さんもそんな空をテーマに、オリジナル短歌を詠んでみてはいかがでしょうか?