青い空、夕焼け、星空。空にはいろんな表情がありますよね。
なにかに悩んだとき、嬉しいことがあったとき、人は空を見上げます。空は、私たちにとって心のよりどころですよね。
今回は、そんな空をテーマにした短歌をご紹介いたします。
空をテーマにした短歌集【有名短歌 10選】
まずは古典から現代まで、聞いたことがあるかもしれません有名な短歌をご紹介します。
【NO.1】徳大寺実定(とくだいじさねさだ)
『 ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる 』
意味;ほととぎすの鳴いた方向を見渡したが、ただ明け方の月だけがひっそりと残っているだけだった。
【NO.2】藤原定家
『 大空は 梅のにほひに 霞みつつ くもりもはてぬ 春の夜の月 』
意味;大空は梅の香りでかすんでしまっている。そして、ぼんやりと曇りきらない春の夜の月も出ている、そう朧月だ。
【NO.3】斎藤茂吉
『 春がすみ とおくながるる 西空に 入日おほ(お)きく なりにけるかも 』
意味;遠くの空にまで、春霞がかかっている。西の空に沈んでいく夕日が、春霞によってあんなに大きくなっているよ。
【NO.4】柿本人麻呂
『 東(ひんがし)の 野にかぎろひ(い)の 立つ見えて かへ(え)り見すれば 月傾きぬ 』
意味;東の野原にかぎろひが見えて、振り返ると月が傾いているのが見えた。
【NO.5】清原深養父
『 冬ながら 空より花の 散りくるは 雲のかなたは 春にやあるらむ 』
意味;まだ冬であるのに空から花が散ってくるということは、きっと雲の向こうはもう春なのでしょう。
【NO.6】よみ人知らず
『 おほぞらの 月の光し きよければ 影見し水ぞ まづこほりける 』
意味;大空の月の光が、清く冷たい。きっと、その月を見ていた池の氷が一番に凍ったことだろう。
【NO.7】島木赤彦
『 夕焼空 焦げきは(わ)まれる 下にして 氷らんとする 湖(うみ)の静けさ 』
意味;真っ赤な夕焼けは、まるで西の空を焼き尽くしてしまうかのようだ。その下に横たわり、いまにも凍ってしまいそうな湖は、なんと静かなんだろう。
【NO.8】藤原定家
『 春の夜の 夢の浮橋 とだえして みねにわかるる 横雲の空 』
意味;浮橋のように儚い春の夢が途切れて目にしたのは、嶺の辺りから横にたなびく明け方の空だった。
【NO.9】土田耕平
『 仰ぎ見る 空の青さへ 澄みはてて 木枯の風 吹きにけるかも 』
意味:青く澄んだ空を見上げると、木枯らしが吹いていたんだ。
【NO.10】持統天皇
『 北山に たなびく雲の 青雲の 星離(さか)り行き 月を離れて 』
意味;北山にたなびいている青雲が、遠くへ離れていってしまう。星たちからも離れ、月からも離れていくように。
空をテーマにした短歌集【素人短歌 10選】
次に、一般の方が詠んだ素人オリジナル短歌をご紹介いたします。
様々な年代の人が、空に対する率直な感想を短歌にして表現しています。
【NO.1】『 空からの 恵みの雨は 降りしきり 地上に咲くは 傘の花束 』
【NO.2】『 六限に きみの視線を 辿りつつ 同じ窓から 見た空の青 』
【NO.3】『 青空に 無数の飛行機雲伸びて 走りに行こうと 誘ってる 』
【NO.4】『 青空に 雲で描いた 作品は 誰にも描けぬ 生きる芸術 』
【NO.5】『 曇り空 ケロケロと泣く 鳴き声に 姿見せてと カエルを探す 』
【NO.6】『 蒼天を 一手に握る 銀の月 あなたを照らし 心を奪え 』
【NO.7】『 空に穴 はしごかけたら 届きそう 抜け出してみる この世界から 』
【NO.8】『 泣き顔を 見られまいと 空見れば 美しい青 頬に雨降る 』
【NO.9】『 ましかくの ルビーが並ぶ キラキラと 夕日を浴びる ビルの窓たち 』
【NO.10】『 水たまり パンプスで踏む オフィス街 昨日は荒れた 空も笑った 』
以上、空をテーマに詠んだ有名短歌&素人オリジナル短歌集でした!
お気に入りの短歌はありましたか?
昔からいろんな表情をわたしたちに見せてくれた空。空を見上げて決意を誓った人もいれば、空を見上げて涙を流した人もいます。時代が変わっても、空を見上げて思いを馳せる人々の姿は変わらないものですね。
これからも空はわたしたちにそっと寄り添い、様々な表情を見せてくれることでしょう。