短歌と聞くと、古典のイメージが強くて難しそうと思うかもしれません。
しかし、現代短歌の多くは話し言葉で書かれているため読みやすく、日常生活や時には架空の物語をユーモアを交えて表現しています。
ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた /岡野大嗣 #tanka #サイレンと犀 pic.twitter.com/acU61hiNzh
— サイレンと犀/たやすみなさい (@silentsigh1412) October 26, 2016
今回は、面白いおすすめ現代短歌を20首ご紹介します。
面白いおすすめ現代短歌集【前半10選】
【NO.1】岡本雄矢
『 全員が サラダバーに行ってる時に 全部のカバン 見てる役割 』
【意味】皆がサラダバーに行っている間、自分は皆のカバンを見張っている役割だ。
【NO.2】岡野大嗣
『 ハムレタスサンドは床に落ち パンとレタスとハムとパンに分かれた 』
【意味】床に落としたハムレタスサンドはパンとレタスとハムがばらばらになった。
【NO.3】岡野大嗣
『 もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい 』
【意味】もう嫌だ死にたい、そして皆の記憶が薄れたら生き返りたい。
【NO.4】大森静佳
『 青空へ わたしはろくろっくび伸びて くちづけしたし 野鳥のきみと 』
【意味】私は青空へろくろっくびのように首を伸ばして野鳥の君とキスしたい。
【NO.5】加藤千恵
『 ついてない びっくりするほどついてない ほんとにあるの? あたしにあした 』
【意味】びっくりするくらいツイてない、あたしに明日は本当にあるの?
【NO.6】佐藤真由美
『 この煙草あくまであなたが吸ったのね そのとき口紅つけていたのね 』
【意味】あなたがこの煙草を吸ったのね、その時口紅をつけていたのね。
「あなた」は浮気を隠そうと、浮気相手の残した煙草の吸殻を自分が吸ったものだと言ったのでしょう。吸い口に口紅が付いていたとは知らずに。後半の皮肉が笑いを誘います。
【NO.7】工藤吉生
『 目が合った あなたは去った 軽蔑に致死量がある ことがわかった 』
【意味】目が合ってあなたは去った。致死量に至る程の軽蔑が視線に込められていたことが分かった。
【NO.8】篠田算
『 覇気のない ドラえもんには 適当な 悩みを言って あげたりしなきゃ 』
【意味】元気がないドラえもんには適当な悩みを相談してあげたりしなきゃ。
【NO.9】小島ゆかり
『 子には子の 電車来るべし「白菜の内側でお待ち下さい」と言ふ 』
【意味】子供には子供の電車が来るのだ。「白菜の内側でお待ち下さい」と言っている。
【NO.10】大松達知
『 誤植あり。中野駅徒歩十二年。それでいいかもしれないけれど 』
【意味】「中野駅徒歩十二年」という誤植があった。それでいいかもしれないけれど。
面白いおすすめ現代短歌集【後半10選】
【NO.11】穂村弘
『 「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの 花びら毟(むし)る 宇宙飛行士 』
【意味】「凍る、燃える、凍る、燃える」と花占いをする宇宙飛行士。
【NO.12】木下龍也
『 あの虹を 無視したら撃て あの虹に 立ち止まったら 撃つなゴジラを 』
【意味】あの虹を無視したらゴジラを撃て、虹に立ち止まったらゴジラを撃つな。
【NO.13】木下龍也
『 B型の 不足を叫ぶ 青年が 血のいれものとして 僕を見る 』
【意味】B型の血液が不足していると訴える青年が血の入れ物のように僕を見る。
【NO.14】木下龍也
『 つむじ風、ここにあります 菓子パンの 袋がそっと 教えてくれる 』
【意味】つむじ風がここに吹いていると菓子パンの袋が風で舞って教えてくれる。
【NO.15】笹公人
『 モノクロの 写真でいつか 見た人が われに微笑む お盆の夜に 』
【意味】いつかモノクロの写真で見たことのある人がお盆の夜に私に微笑む。
【NO.16】笹公人
『 ごろごろと 石の貨幣を ころがして 君に届けた 前前前……世 』
【意味】石の貨幣をごろごろ転がして君に届けに行った前前前……世。
【NO.17】笹井宏之
『 グリズリーに 跳ねあげられた 紅鮭の 片方の眼に 映る夕虹 』
【意味】グリズリーに跳ね上げられた紅鮭の片方の眼に夕虹が映っている。
【NO.18】宇都宮敦
『 だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし 』
【意味】大丈夫、急ぐ旅ではないのだし、急いでないし旅でもないから。
【NO.19】宇都宮敦
『 牛乳が逆からあいていて笑う ふつうの女のコを ふつうに好きだ 』
【意味】牛乳パックが逆から開いているのを笑う普通の女の子を普通に好きだ。
【NO.20】五島諭
『 海に来れば 海の向こうに 恋人が いるようにみな 海を見ている 』
【意味】海に来ると、皆は海の向こうに恋人でもいるかのように海を見ている。
以上、面白いおすすめ現代短歌集でした!
現代短歌は、ぱっと読めて理解しやすいのが特徴です。
また、よく読むとユーモアに気が付いたり、深いなぁと感心したりします。歌人によっても、日常のあるあるやフィクション、不思議な話を短歌にしているなどの様々な傾向があります。
現代短歌をもっと読んでみたいという人は、自分の好みの短歌を探してみてはいかがでしょうか。