今回は、戦争・平和を題材にして一般の人が作った短歌を20首ご紹介します。
【平和への祈り】
平和への 祈り届けと
仰ぎ見る
青い夏空 西へと続く
(千葉から広島へ)#平和 #広島 #祈り #原爆の日 #千葉 #hiroshima #短歌 #夏空 pic.twitter.com/1IMARRf3Y2
— 雑記帳 (@oyagidesuga) August 5, 2015
戦争を知らざる者ら口を閉ぢよ
かの日悼むは己れを悼む
__ #尾崎紗代子 #短歌 #原爆の日 pic.twitter.com/ak4Ywk4fOI— 朝乃詩史 (@AsanoShifumi) August 6, 2016
戦争•平和を題材にした一般短歌ネタ【前半10首】
【NO.1】
『 見上げれば 飛行機雲の 道ひとつ あの日の空に 響く蝉の音 』
【意味】見上げると飛行機雲の筋が一つ。あの日の空には蝉の音が響いている
【NO.2】
『 我イカン 命ヲ、ササゲ 護リヌク」 貴方と共に 平和を見つめ 』
【意味】「我行かん、命を捧げ護り抜く」貴方と共に平和を見つめる
上の句は出征した兵士の言葉を表します。兵士たちの捧げた命を思い、作者は大切な人と共に平和を見つめます。「見る」ではなく「見つめ」という表現からは真摯な眼差しを感じます。
【NO.3】
『 大切な 我が子の明日を 耕して 御国に取られる 徴兵令 』
【意味】大切な我が子の明日のために田畑を耕して、その子を御国に取られる徴兵令
【NO.4】
『 戦争も 飢餓も怒りも 憎しみも 僕の世界に 存在しない 』
【意味】戦争も飢餓も怒りも憎しみも僕の世界には存在していない
【NO.5】
『 本当に、現代なのか、現代だ SNSの 向こうの戦争 』
【意味】本当にこれは現代なのか?現代だ。SNSの向こうの戦争
【NO.6】
『 紛争も 銃撃戦も ないけれど 転んでもだれも 助けてくれない 』
【意味】紛争も銃撃戦もないけれど転んでも誰も助けてくれない
【NO.7】
『 沖縄の 苦節歩んだ 五十年 皆が笑える 答え探して 』
【意味】沖縄が苦節を歩んだ五十年。皆が笑える答えを探している
【NO.8】
『 戦争が 起きてる国の 裏側の 国のこどもの 戦争ごっこ 』
【意味】戦争が起きている国の、地球の裏側の国の子供は戦争ごっこをしている
【NO.9】
『 終の字を 検索すれば 終戦の 文字現れて 止まる指先 』
【意味】終の字を検索しようとしたら終戦という文字が現れて指先が止まった
【NO.10】
『 ますらおの 下げ佩く太刀の 音絶えて いくさはやみぬ 歌えわらべよ 』
【意味】男子が腰に下げる太刀の音は絶えて、戦争は終わった。子供たちよ歌え
戦争•平和を題材にした一般短歌ネタ【後半10首】
【NO.11】
『 校庭に プールサイドに 子供たち すこやかであれ そして閃光 』
【意味】校庭の、プールサイドの子供たちよ健やかであれ。そして閃光
【NO.12】
『 紛争の 解決ならば 弾よりも 援助降らせよ 本心ならばね 』
【意味】紛争を解決するなら弾よりも援助を降らせよ、本心ならばね
紛争が起きた国には、他の国が武器を供給したり、時には戦いに参加して収拾を試みたりします。そうではなく、市民への援助をしろという気持ちを皮肉を込めて表現しています。
【NO.13】
『 パンくれと おじさん囲む 鳩たちに この世は平和か?と聞いてみたい 』
【意味】パンをくれと、おじさんを囲む鳩たちに、この世は平和か?と聞いてみたい
【NO.14】
『 靖国の 境内(にわ)に集いし 英霊の 声を探して 正午(とき)を迎える 』
【意味】靖国神社の境内に集う英霊の声を探して正午を迎える
【NO.15】
『 願はくは 村いっぱいに 子供たち 武器は楽器に 基地は広場に 』
【意味】村いっぱいに子供たちが遊び、武器は楽器に、基地は広場になりますように
【NO.16】
『 手を合わせ 目を瞑る時 亡くなった 魂はなお こちらを見てる 』
【意味】手を合わせ目を瞑(つむ)る時に、亡くなった魂はなおこちらを見ているのだ
戦争で亡くなった人々はずっとこちらを見ているのだという歌です。その目は見守るようにも、自分たちが命をかけて守ろうとした日本の姿を見定めるようにも感じます。
【NO.17】
『 肌や目の 色の違いの 紛争に 流るる血だけが 等しく赤し 』
【意味】肌や目の色が違うことから起きる紛争では流れる血だけが等しく赤い
肌の色や民族、宗教の違いなどから起きる紛争もあります。戦えば血が流れる、何が違ったとして血の色はみな同じではないかという憤りを感じます。
【NO.18】
『 原爆の 無差別わかる 展示にも 70年以上 ヒロシマ姿 』
【意味】原爆の無差別さが分かる展示、70年以上前のヒロシマの姿
日本に原爆が投下されてから70年以上経ちますが、資料が伝える当時の様子は凄惨で、人も街も無差別に焼かれる恐ろしさを変わらずに伝えます。片仮名表記の「ヒロシマ」は、時が経っても忘れることはないのだと言っているようです。
【NO.19】
『 誰彼も 「生きて帰れ」と そう言った おかしいですね 殺しに行くのに 』
【意味】誰もかれも「生きて帰れ」とそう言った。おかしいですね、殺しに行くのに
出征する兵は使命のために戦いますが、そこには必ず犠牲が出ます。戦争を「殺しに行く」ととらえ、その不条理を表現しています。
【NO.20】
『 勇敢なる 臆病風よ 吹き荒れろ 全ての兵士が 銃下ろすまで 』
【意味】勇敢なる臆病風よ、全ての兵士が銃を下ろすまで吹き荒れろ
皆が銃を構える中で一人銃を下ろすのは、とても勇気の要る行動です。臆病風に吹かれたと馬鹿にされるかもしれません。しかしそこから、兵が次々と銃を下ろせば戦いはなくなります。そんな願いを込めた歌です。
以上、戦争・平和を題材にした一般短歌集でした。
戦争や平和について様々なとらえ方がありましたね。
みなさんは印象に残った短歌や、共感した短歌はありましたか?
戦争や平和を題材にした短歌は近代短歌にも多くありますので、興味が出てきたという人は鑑賞してみるのも良いでしょう。
自分も戦争や平和について考えてみたという人は、ぜひその気持ちを短歌にしてみてください。