短歌や和歌の中には前向きな気持ちになれる内容のものもあります。
元気が欲しいなという時に、お気に入りの応援ソングを聴く感覚で短歌や和歌に目を通してみるのもおすすめです。
今回は、読むと元気の出る有名な歌人の短歌・和歌を20首ご紹介します。
辛いけどどうにもならないなぁって時、いつか読んだ枡野浩一さんの短歌「人間は忘れることができるから気も狂わずに、ほら生きている。」を思い出してやり過ごすしか自分には術が無い。
— 恐山のマウンテンハット狂 (@shirouSFX6) February 8, 2017
元気の出る有名短歌・和歌【前半10選】
【NO.1】安倍郎女
『 わが背子は 物な思ひそ 事しあれば 火にも水にも わがあらなくに 』
【意味】あなたは悩まないで。何かあったら火にも水にも飛び込む覚悟の私がついているから。
【NO.2】不明(万葉集より)
『 大野路(おおのじ)は 繁道茂路(しげちしげみち) 茂(しげ)くとも 君し通はば 道は広けむ 』
【意味】草木が繁りに繁って狭い大野の道でも、あなたが通るなら道は広がるでしょう。
【NO.3】内大臣藤原
『 吾もはや 安見児得たり 皆人の 得かてにすとふ 安見児得たり 』
【意味】私はとうとう安見児(やすみこ)を手に入れたぞ。誰のものにもならなかった安見児を手に入れたのだ。
【NO.4】額田王
『 熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな 』
【意味】船に乗ろうと熟田津(にぎたつ)で月が出るのを待っていると、絶好の潮の流れとなった。今こそ船出の時だ。
【NO.5】藤原道長
『 この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば 』
【意味】この世は私のための世なのだと思う。満月のように、欠けていることは何も無い。
【NO.6】宗良親王
『 とにかくに 道ある君の 御世ならば 事しげくとも 誰かまどはむ 』
【意味】とにかく前途のあるあなたのことだから、何があっても誰も心配はしません。
「あなたならやれるから心配しないで、皆もあなたを信頼しているから」という内容です。応援している気持ちが伝わります。
【NO.7】宗良親王
『 草も木も なびくとぞ聞く この頃の 世を秋風と 嘆かざらなむ 』
【意味】あなたには草も木も心を寄せて従うのだから、時勢を秋風のように心細いだなんて思わないでください。
【NO.8】武田信玄
『 大ていは 地に任せて 肌骨好し 紅粉を塗らず 自ら風流 』
【意味】世の中は流れに任せて生きるのが良い。飾らずに本心のままで生きるのが良いのだ。
【NO.9】上杉鷹山
『 為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり 』
【意味】何ごともやればできる、やらねばできない。成果が出ないのはやり通さなかったからだ。
【NO.10】坂本龍馬
『 世の人は われをなにとも ゆはばいへ わがなすことは われのみぞしる 』
【意味】世間の人はどうとでも私のことを言いたいように言え。私のすることは私のみが知っている。
元気の出る有名短歌・和歌【後半10選】
【NO.11】石川啄木
『 不来方の お城の草に 寝ころびて 空に吸はれし 十五の心 』
【意味】盛岡城跡の原っぱに寝転んで空を見ると、その空に吸いこまれてしまいそうな15歳の心。
【NO.12】樋口一葉
『 極みなき 大海原へ 出でにけり やらばや小舟 波のまにまに 』
【意味】果てしない大海に漕ぎ出した。私の小舟は波が運ぶままに。
【NO.13】佐々木信綱
『 願はくは われ春風に 身をなして 憂ある人の 門をとはばや 』
【意味】願わくはこの身を春風に変えて、悩みのある人のもとを訪れたいものだ。
【NO.14】斎藤茂吉
『 朝あけて 船より鳴れる太笛(ふとぶえ)の こだまは長し なみよろふ山 』
【意味】夜明けに汽船が鳴らす汽笛は太く長くこだまする。港を囲む山々に反響している。
【NO.15】木下利玄
『 遠足の 小学生徒うちょうてんに 大手ふりふり 往来とおる 』
【意味】遠足に行く小学生たちが、嬉しくてたまらなくて手を大きく振りながら道を歩いていく。
【NO.16】岡本かの子
『 はてしなきおもひよりほつと起きあがり 栗まんじゅうをひとつ喰べぬ 』
【意味】深く思い悩んでいたが、ほっと起き上がり、栗まんじゅうを一つ食べた。
【NO.17】吉井勇
『 君にちかふ 阿蘇のけむりの 絶ゆるとも 万葉集の 歌ほろぶとも 』
【意味】君に誓う。阿蘇山の火山の煙が上がらなくなっても、万葉集の歌がこの世から消えてなくなっても。
【NO.18】藤原秀憲
『 部屋に着くころには炊けているはずの舞茸ごはん ふたつの茶碗 』
【意味】帰って部屋に着く頃には舞茸ごはんが炊けている。そしてふたつの茶碗。
【NO.19】桝野浩一
『 人間は忘れることができるから 気も狂わずにほら生きている 』
【意味】人間は忘れることができるから、気がおかしくもならずに、ほら生きている。
【NO.20】桝野浩一
『 こんなにも ふざけたきょうが ある以上 どんなあすでも ありうるだろう 』
【意味】こんなにも今日がふざけた一日だったからには、どんな明日でもあり得るだろう。
以上、元気の出る短歌・和歌集でした!
今回は、読むと元気の出る有名な歌人の短歌・和歌を紹介しましたが、お気に入りの歌はありましたでしょうか。
読むと楽しくなったり励まされたりして元気が出るような短歌・和歌はここで紹介した他にも多くあります。