短歌は、思ったことを5・7・5・7・7の31音で表現する定型詩です。
この「短い詩」は、古代から1300年を経た現代でも多くの人々に親しまれています。
今回は、短歌の文字数の数え方についてわかりやすく解説します。
どうでもいいんだけど、俳句とか短歌って、拗音促音は一字に数えるんだろうか……。
— 米丸 (@emarionty) July 2, 2015
短歌、俳句とかだと数えないんでしたっけ? 撥音(ん)や促音(っ)。
— ソヨゴ (@syg_ori) April 21, 2013
目次
短歌の文字数の数え方
短歌は厳密に言うと「文字数」ではなく「音数」でカウントします。
「音数」とは、読み上げたときの音の数のことです。
例えば、「食べた」は、「た/べ/た」と1音ずつ数えるので3音の言葉となります。実際に声に出したり指を折ったりしながら、音の数を数えていくと分かりやすいです。
①促音「っ」
促音(そくおん)は、「っ」を使ったはねる音のことです。短歌では「1音」として数えます。
【例】スキップ →「す/き/っ/ぷ」(4文字・4音)
【俳句例】穂村弘
『 それはそれは 愛しあってた 脳たちと ラベルに書いて 飾って欲しい 』
②拗音「ゃ•ゅ•ょ」
拗音(ようおん)は、小文字「ゃ・ゅ・ょ」を使った音のことです。
例えば「しゃ」(sya)。声に出す時に、わざわざ「し・ゃ」(si・ya)とは読みませんよね。これらは前の文字とセットで1つの音となります。短歌の中でも、前の文字とセットで1音として数えます。
【例】
- あかちゃん →「あ/か/ちゃ/ん」(5文字・4音)
- 中華料理 →「ちゅ/う/か/りょ/う/り」(8文字・6音)
【俳句例】桝野浩一
『 こんなにも ふざけたきょうが ある以上 どんなあすでも ありうるだろう 』
③長音・伸ばし棒「ー」
長音は、伸ばし棒「ー」を使った伸ばす音のことです。日本語では、主にカタカナで書く言葉で使われます。
「ー」は、あえて平仮名に書き直したとき、「あ・い・う・え・お」の母音にあたります。そのため、「ー」だけで1音として数えます。
【例】エレベーター →「え/れ/べ/え/た/あ」(6文字・6音)
【俳句例】鳥居
『 錆びている ブーツの金具 入水した 深夜の海を 忘れずにいて 』
④「!」や「?」
現代短歌には、記号が使われているものもあります。
記号(!・?・…・「」など)は、基本的には音数には数えません。
例えば「なぜ?」と書かれていた場合、声に出して読むときに「な・ぜ・はてな」「な・ぜ・クエスチョン」などとは読みませんよね。短歌においても、声に出して読み上げない記号は音数には数えないのです。
【例】
- わあ! →「わ/あ」(3文字・2音)
- 「おはよう」と →「お/は/よ/う/と」(7文字・5音)
記号は基本的には音数に数えませんが、+・-・∞・♪などは、音数に数える場合と数えない場合があります。それは、作品の中であえて「プラス」「おんぷ」などと読ませている場合です。
⑤英語やアルファベット
「A」などのアルファベットも、それが英単語なのかローマ字表記なのかで数え方が変わってきますので注意が必要です。
【例】
- LOVE →「ら/ぶ」(4文字・2音)英単語
- ABC →「え/ー/び/ー/し/ー」(3文字・6音)アルファベットの文字列
- SF →「え/す/え/ふ」(2文字・4音)英語の略語
- TAKARA →「た/か/ら」(6文字・3音)ローマ字
【俳句例】山田航
『 「Miss me?」の 答えは「Maybe」 逆光に 輪郭だけの 君の横顔 』
促音・拗音・長音を使った有名短歌【6選】
【NO.1】加藤千恵
『 まっピンクのカバンを持って走ってる 楽しい方があたしの道だ 』
【NO.2】雪舟えま
『 ホットケーキ持たせて夫送りだすホットケーキは涙が拭ける 』
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【NO.3】斉藤斎藤
『 シースルーエレベーターを借り切って心ゆくまで土下座がしたい 』
【NO.4】穂村弘
『 「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」 』
【NO.5】石井遼一
『 生きているだけで三万五千ポイント!!!!!!!!!笑うと倍!!!!!!!!!! 』
【NO.6】荻原裕幸
『 ▼▼▼▼▼ココガ戦場?▼▼▼▼▼抗議シテヤル▼▼▼▼▼BOMB! 』
さいごに
今回は、短歌の文字数の数え方について詳しく解説しました。
文字数(音数)の数え方に基本的な決まりはありますが、作品の例にもあったように、その型にとらわれないものも多くあります。
短歌は「自由に表現して良いもの」なのです。