短歌というと、難しいイメージや、マジメでおかたいイメージを持っていませんか?
実は、日常生活の中で思わず、くすっと笑ってしまうような瞬間を詠んだ短歌がたくさんあることをご存じでしょうか?
今回は、中学生の方に向けて、素人の方々が作った面白い短歌をご紹介していきます。
この記事を読んだ後には、今まで抱いていた短歌のイメージが変わるかもしれません。
短歌職人
お気に入りの作品を見つけたり、ご自身が短歌を詠まれる際の参考にしてみてくださいね!
中学生向け!!面白い素人短歌【前半10首】
【NO.1】『 面白い ホラー映画を 観たけれど 夜中トイレに 行けなくなった 』
短歌職人
怖い話を聞いたり、ホラー映画を見たりすると、夜眠れなくなったりトイレにいけなくなる…という経験がある人も多いのではないでしょうか?誰もが思いあたる経験談に、くすっと笑ってしまうような一首です。
【NO.2】『 宿題だ はりきり図書館 来たけれど ノート忘れた 本でも借りよう 』
短歌職人
宿題をしようと思って図書館へやってきたのに、肝心の宿題を忘れてしまった。きっと作者はがっかりしたことでしょう。ですが、宿題を忘れても、読む本がたくさんあるところが図書館の良いところです。せっかく図書館まで来たのですから、本を借りるのもいいかもしれませんね。
【NO.3】『 晴れ続き 出番のなかった 雨傘の 骨が折れてて また出番なし 』
短歌職人
傘の骨は、気づかないうちに折れてしまっていることがありますよね。出がけに傘を持ち、いざ使おうと思ったら骨が折れてしまっていた…という経験はありませんか?折れた傘は使いものになりませんし、道端に捨てるわけにもいきません。何よりも、雨に濡れてしまいます。作者はきっと、困りはてていたことでしょう。
【NO.4】『 返信の Re:の数に 比例して 君への想い 増える気がして 』
短歌職人
メールを返信する時に、件名の部分に「Re:」という記号がつきますね。この記号はメールのやりとりをするたびにどんどん増えていくのです。いつまでもメールを続けていたい、という作者の気持ちを、「Re:の数と比例して」と表現しているのが素敵ですね!
【NO.5】『 ばあちゃんの カレーライスは おいしいな ケチャップ少し これがポイント 』
短歌職人
カレーにケチャップを入れると、コクが出てまろやかな味になります。作者のおばあちゃんのカレーには、その隠し味が入っているのでしょう。その味はきっと、大人になっても忘れられない思い出の味ですね。
【NO.6】『 夕暮れの ピンクに染まる ひつじ雲 この空君も 見ているのかな 』
短歌職人
夕暮れ時、ひつじ雲がピンク色に染まっている、というのはなんとも美しい景色ですね。好きな人がいれば、この景色を一緒に見たい!と思うことでしょう。けなげな恋心を描いた一首です。
【NO.7】『 新チーム 部活の主将 まかされた ああどうしよう 不安がいっぱい 』
短歌職人
新学期が始まると、部活動での環境も一気に変化します。主将は責任ある重大な役割。作者は、頑張りを周囲に認められて任命されたのでしょうから、自信を持って頑張ってほしいです!
【NO.8】『 星占い 1位だった!と 喜んだ 矢先に転び 膝すりむいた 』
短歌職人
星占いの運勢が良い結果だと、いい気分ですごせます。ですが、油断しているとケガやハプニングが起きることもしばしば…。作者のかわいらしい失敗に、思わず笑ってしまうユニークな一首です。
【NO.9】『 スマホとか テレビゲームも いいけどさ たまには本を 読むのもいいよ 』
短歌職人
気づけばついスマホを見たり、テレビゲームをしてしまったりしませんか?もちろんゲームは楽しいですが、時には本を読むことも新しい発見があっておもしろいです。お気に入りの物語を見つけて、その世界にひたってみましょう!
【NO.10】『 ご飯食べ ソファーに寝ころぶ 瞬間に 即座に言われる 「宿題したの?」 』
短歌職人
この短歌は、中学生のみなさんはすごく共感できるものではないでしょうか?やらなければならない宿題ですが、「やりなさい!」と言われるとついついおっくうになってしまいますよね。リアルな気持ちをうまく描いている一首です。
中学生向け!!面白い素人短歌【後半10首】
【NO.11】『 映画観て いきなりキスシーン 出ちゃったよ すかさず親が チャンネル変える 』
短歌職人
家族でテレビを見ていると、急に出てくるキスシーンに気まずくなってしまった経験があるのではないでしょうか?日常のちょっと気まずい場面を、うまく切り取った一首です。
【NO.12】『 いろはすが 飲みたいと思い コイン入れ ボタン間違え コーラが出てきた 』
短歌職人
自動販売機でジュースを買うときに、うっかり別のボタンを押してしまい、違った飲み物を買ってしまった…。地味に悲しいハプニングだと思います。しかも、お水が飲みたかったのに、コーラを買ってしまうとは…。作者もさぞ、残念だったことでしょう。
【NO.13】『 「ありがとう」 その一言が 言えなくて ごめんねもっと 素直になるね 』
短歌職人
自分の気持ちを素直に打ち明けることって、意外と難しいです。しかし、こんな時にこそ短歌の出番です。歌の中では、普段は打ち明けることのできない自分の素直な気持ちを表現することができますよ!
【NO.14】『 タンポポの 白い綿毛の パラシュート どこへ行くのか 風吹く初夏に 』
短歌職人
タンポポの綿毛は、風に乗って遠い場所まで種を運ぶことができます。その白い綿毛を『パラシュート』に例えたのがおもしろい表現ですね。タンポポの綿毛は風にのってどこまでも飛んでいくことができそうですが、一体どんなところにたどり着いて根をおろすのでしょうか?
【NO.15】『 本ひらき ページをめくる そのたびに 私の世界 広がっていく 』
短歌職人
これぞ読書の醍醐味!といった短歌です。本を読むということは難しいこと、と思う方もいるかもしれませんが、本を読んでいる間は、自分の想像力を使ってどんな場所へも行けますし、どんな経験をすることもできます。「本を読むたびに自分の世界が広がる」というのは、まさにそのとおりかもしれませんね。
【NO.16】『 雨上がり 空にかかった 虹の橋 窓辺で笑う てるてる坊主よて 』
短歌職人
てるてる坊主は、翌日の晴天を願い、白い布や紙で作った人形を窓辺につるす、という日本の身近な風習です。美しく晴れた空にかかる大きな虹、そして、その虹が映った窓辺につるされたてるてる坊主。まるで一枚の絵のように、美しい景色が目に浮かんできます。
【NO.17】『 話すとき いつも見上げる 皆の顔 今日は見下ろす 橋の上から 』
短歌職人
作者はきっと、同級生の中では背が小さくて小柄なのでしょう。いつも自分より大きな友達の顔を見上げていますが、橋の上にのぼったときには立場が逆転し、下の道にいる人たちの顔を見下ろすことができます。さきほどの短歌は、景色の一枚の絵の中に閉じ込めたような美しさがありましたが、この歌は、景色の中に高低感があり、とても面白いです。
【NO.18】『 疲れはて 下を向いたら 驚いた 自分の足が 大根だった 』
短歌職人
もちろん、作者の足が本当に大根になったわけではありません。まるで大根のように太い足のことを、大根足というのです。人間は、歩き続けたり立ちっぱなしだったりと、疲れてくると足がむくみやすく、むくんだ足は太く見えてしまうのですが、作者はむくんでしまった自分の足にびっくりしたのかもしれませんね。
ですが、あたたかいお風呂に入り、しっかりとマッサージをすれば、足のむくみをとることができますよ!
【NO.19】『 「花の種 貴重な食糧 だったよね」 友達と思い出すままごと 』
短歌職人
小さい頃、友達とままごと遊びをした記憶は、きっと多くの人が経験したことでしょう。ままごと遊びには、公園や園庭にある自然や遊具が、必要不可欠になります。作者とその友達は、花の種を食料に見立てて遊んでいたのでしょう。また、この短歌からは、作者とその友達が、ままごと遊びをするような小さなから仲良しだったことがわかります。
【NO.20】『 「久しぶり」 兄が帰って 声かけた 「声変わりして 誰かわからん」 』
短歌職人
一首の中に、誰かの話し言葉である「」が2回も使われています。最初の「久しぶり」は、家を出ていた兄が実家に帰ってきたときに、作者がかけた言葉でしょう。そして下の句の「声変わりして 誰かわからん」は、兄が弟である作者の声を聞いて言った言葉です。
中学生と言えば、多くの男の子が変声期を迎える時期です。作者も声変わりし、以前よりも声が低くなったのでしょう。久しぶりに会った家族ならではのやりとりですね。
以上、中学生向けの面白い短歌でした!
さいごに
いかがでしたか?
この記事では、中学生の皆さんへ向けて、素人の方々が作った面白い短歌についてご紹介しました。
今回ご紹介した作品からもわかるように、短歌はとても自由に詠みたい題材を詠むことができる文芸です。
短歌職人
皆さんも、今回ご紹介した短歌を参考にして、自分の心の動きを自由にしたためてみてくださいね!たくさんの自由でユニークな作品が生まれることを期待しています。