みなさんは1月といえば何を思い浮かべますか?
新年・元旦・どんど・つらら・お餅・雪など・・・様々思い浮かぶと思います。
1月らしい短歌を詠むには、1月ならではの行事や自然、例えばお正月や新年の希望や雪などが入っているとわかりやすいですね。
今回は、主にお正月や新年を詠んだ1月の有名な短歌(和歌)を昔のものと現代のものそれぞれ10選ずつ、全20選をご紹介いたします。
1月の有名短歌(和歌)集【昔の短歌(和歌) 10選】
まずは昔の短歌(和歌)から有名なものを10選ご紹介いたします。
【NO.1】詠み人知らず
『 あたらしき 年にはあれども 鶯(うぐいす)の なくねさへには かはらざりけり 』
意味:新しい年ではあるけれど、鶯の鳴き声までもは変わらないのだなあ
【NO.2】大伴家持
『 降る雪を 腰になづみて 参ゐて来し 験(しるし)もあるか 年の初めに 』
意味:降った雪を腰まで埋まりながらやってきた甲斐があることでしょう。年の初めに。
【NO.3】大伴家持
『 あしひきの 山の木末の ほよ取りて かざしつらくは 千年(ちとせ)寿くとぞ 』
意味:山の木の梢のやどり木をとってかんざしにしたのは千年(の世)を祝ってのことです
【NO.4】大伴家持
『 正月(むつき)立つ 春の初めに かくしつつ 相し笑みてば 時じけめやも 』
意味:正月の春の初めにこのように共に笑い合うのは楽しいひと時ですね。
【NO.5】道祖王
『 あたらしき 年の初めに 思ふどち い群れて居れば 嬉しくもあるか 』
意味:新しい年の初めに気のあう仲間と集まっていられるのは嬉しいものですね。
【NO.6】葛井連諸会
『 新しき 年の初めに 豊(とよ)の年 しるすとならし 雪の降れるは 』
意味:新しい年の初めに雪が降っているのは豊かな年となる前兆を示しているようです。
さて、ここから先はお正月以外の短歌です。
【NO.7】紀貫之
『 雪降れば 冬ごもりせる 草も木も 春にしられぬ 花ぞ咲きける 』
意味:雪が降ると冬ごもりしている草も木も、春には見たことも無いような花を咲かせるのだなあ
【NO.8】伊勢
『 あしひきの 山ゐにふれる白雪は すれる衣の 心地こそすれ 』
意味:湧き水の井戸に降っている白い雪は摺り染めの服のような感じがします
【NO.9】藤原興風
『 浦ちかく ふりくる雪は 白波の 末の松山 こすかとぞ見る 』
意味:浦=入江の近くまで降ってくる雪が、末の松山を越えるような白波に見えるよ
【NO.10】崇徳院
『 つららゐて みがけるかげの 見ゆるかな まことにいまや 玉川の水 』
意味:氷が張って磨いたような光が見えます。本当に今の様子が玉川の水なのでしょう
1月の有名短歌(和歌)集【現代短歌 10選】
次は明治以降の現代短歌から10選ご紹介いたします。
【NO.1】樋口一葉
『 あらたまの 年の若水 くむ今朝は そぞろにものの 嬉しかりけり 』
意味:今日は元旦。今朝は若水を汲んでいます。なんとなくですが心うれしいものです。
【NO.2】与謝野晶子
『 水盤に わが頬をうつす 若水を また新しき 涙かと見る 』
意味:若水の水面が私の頬をうつしている。また新しい涙が出ているのかとみています。
【NO.3】斎藤茂吉
『 あたらしき 年のはじめは 楽しかり わがたましひを 養ひゆかむ 』
意味:新しい年のはじめは楽しいものです。私の魂(心)を養いましょう。
【NO.4】斎藤茂吉
『 白き餅(もちひ) われは呑み込む 愛染も 私ならずと 今しおもはむ 』
意味:白い餅を私が呑み込むように食べている今しがたは、煩悩(執着心)は私にはないのですよ
【NO.5】正岡子規
『 暁の 外の雪見んと 人をして 窓のガラスの 露拭はしむ 』
意味:明け方に外の雪を見ようと思い、他の人に窓ガラスのつゆを拭いてもらったよ
【NO.6】正岡子規
『 枕べの 寒さばかりに あら玉の 年ほぎ縄を 掛けてほぐかも 』
意味:枕のそばにある寒暖計に新年のしめ飾りを掛けてお祝いをしたよ
【NO.7】島木赤彦
『 見ゆる限り 山の連なりの 雪白し 初日の光 さしそめにけり 』
意味:見渡す限りに連なっている山々に被っている白い雪を初日の光が染めていったよ
【NO.8】長塚節
『 若水を 汲みつつ をれば標はへし ふたもと松に 日影のぼりぬ 』
意味:若水を汲んでいると木の梢が美しく見える二本の松に日がのぼってきたよ
【NO.9】北原白秋
『 ゐずまひに 眼先(まさき)貴(あて)なる杯や とよりと屠蘇の 注(つ)がれたるかに 』
意味:座っている自分の目の前にある貴い杯にゆっくりと屠蘇が注がれていますよ
【NO.10】馬場あき子
『 大ぶりの 椀にたつぷり 雑煮して 謹賀新年 ひとり正月 』
意味:大きなお椀にたっぷりと雑煮を入れて、謹賀新年のお祝いをひとりで迎えている正月です
以上、1月の有名短歌集でした!
1月はやはり新年、正月のめでたさを詠んだものが多いですね。
みなさんもそれぞれ家族や友達と過ごして新しい年を祝っていることでしょう。