8月といえば、まさに夏本番!
海水浴やバーベキューなど、夏に楽しめるイベントもたくさんありますよね。しかし、月の後半ともなれば夏から秋へと移り行く季節を体感できる時期でもあります。
今回は、そんな8月らしい短歌(昔の短歌&現代短歌)をご紹介いたします。
8月の有名短歌(和歌)集【昔の短歌(和歌) 10選】
まずは、昔の短歌から有名なものを10つご紹介します。
【NO.1】山上憶良
『 天の川 相向きたちて 我が恋ひし 君来ますなり 紐解き設けな 』
意味:天の川を隔てて、お互い向かい合って立っています。私の恋しいあなたがもうすぐいらっしゃる。紐をほどいて(服を脱いで)、あの人を迎える準備をしましょう。
【NO.2】大伴家持
『 秋風に 今か今かと紐解きて うら待ち居るに 月かたぶきぬ 』
意味:秋風に吹かれながら、あなたが今にもいらっしゃるだろうと紐をほどいて(服を脱いで)心待ちにしている間に、月も傾いてしまいました。
【NO.3】清原深養父
『 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ 』
意味:夏の夜はまだ夜が始まったばかりだと思っているうちに、明るくなってきてしまった。あの美しい月は、今頃どの雲を宿にして眠っているのだろうか。
【NO.4】紫式部
『 めぐりあひて 見しやそれとも 分かぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな 』
意味:やっと会えたと思ったのに、あなたなのかどうかも分からないうちに消えてしまった。まるで、出たと思ったらすぐに雲隠れする、あの月のようね。
【NO.5】和泉式部
『 ありとても たのむべきかは 世の中を しらする物は 朝がほの花 』
意味:いま生きているからと言って、明日も無事だとは限らない。それを教えてくれるのは、あの朝顔の花です。
【NO.6】源順(みなもとのしたごう)
『 かれはつる 人の心に比ぶれば なほ夏の夜は 長くぞありける 』
意味:あっという間に離れていってしまう人の心に比べたら、短いといわれる夏の夜のほうがまだ長いだろう。
【NO.7】藤原良経
『 月かげに 涼みあかせる 夏の夜は ただひとゝきの 秋ぞありける 』
意味:月の光の下で涼みながら明けるのを待つ夏の夜は、その時間だけがまるで秋のようだ。
【NO.8】藤原実方
『 葉をしげみ 外山の影 やまがふらむ 明くるも知らぬ ひぐらしの声 』
意味:葉が茂っているので、外山の木陰の暗さを、夜の暗さと間違っているのでしょう。日は明るくなっているのに、ヒグラシは知らずに鳴いています。
【NO.9】壬生忠岑(みぶのただみね)
『 夏はつる 扇と秋の 白露と いづれかまづは 置かむとすらむ 』
意味:夏が終わり、もうじき秋になる。使わなくなった扇を床に置くことと、白露が草の上に置かれること。どちらが先になるのだろう。
【NO.10】猿丸大夫
『 ひぐらしの 鳴きつるなべに 日はくれぬ と思ふは山の 影にぞありける 』
意味:ヒグラシが鳴き始めると、辺りが暗くなり日が暮れたと思ったが、それは私が山の影に入ったからだった。
8月の有名短歌(和歌)集【現代短歌 10選】
続いて、近代(明治以降)に歌われた短歌をご紹介します。
【NO.1】前田夕暮
『 向日葵は 金の油を 身にあびて ゆらりと高し 日の小ささよ 』
意味:向日葵は、まるで金の油をぶったように輝き、その大きな花をゆらりと高く掲げている。後ろの太陽が小さく見えるほどに。
【NO.2】斎藤茂吉
『 蚊帳のなかに 放ちし蛍 夕されば おのれ光りて 飛びそめにけり 』
意味:捕えてきた蛍を蚊帳の中に放ったら、夕方になるとひとりでに光りながら飛び出したんだ。
【NO.3】北原白秋
『 青玉の しだれ花火の ちりかかり 消ゆる途上を 君よいそがむ 』
意味:青玉の花火が上がった。まるでしだれ柳のように消えていく花火を、道の途中で君と見ている。もっとよく見えるところまで急ごう。
【NO.4】正岡子規
『 夏ながら 秋葉の社の 下かげに ふきくる風ぞ 涼しかりける 』
意味:夏だというのに、秋葉の神社の並木から吹き抜ける風は涼しいものだ。
【NO.5】樋口一葉
『 葉がくれに 一花咲きし 朝がほの 垣根よりこそ 秋は立ちけれ 』
意味:生い茂る葉のなか、隠れるようにして朝顔が咲いている。その垣根の中に、秋を見つけたの。
【NO.6】土田耕平
『 残暑なほ 単衣の肌に 汗ばめど 磯の木蔭に 鳴く蝉もなし 』
意味:残暑がなおも続き、単衣も舌はまだ汗ばむほどに暑いのに磯の木蔭には、もう鳴いている蝉の姿は見えない。
【NO.7】木下利玄
『 くろみもつ 葉ずゑに紅き 花をつくる 夾竹桃の 夏のあはれよ 』
意味:黒い葉の先に紅い花を咲かせる夾竹桃(キョウチクトウ)は、まだ夏であることを思わせる。
【NO.8】北原白秋
『 うち向う 竹の林の 夕じめり ひぐらしのこゑを ひとり聴きゐる 』
意味:家に帰る途中の竹林の中は、もう日が落ちてきて空気が湿っている。少し立ち止まって、ヒグラシの鳴く声をもう少し聞いて居よう。
【NO.9】伊波真人
『 夏の夜の すべての重力 受け止めて 金魚すくいの ポイが破れる 』
【NO.10】堂園昌彦
『 秋茄子を 両手に乗せて 光らせて どうして死ぬんだろう 僕たちは 』
以上、8月の有名短歌集でした!
「8月」をテーマにした短歌でも、詠み人によって全く違う歌になりますね。
昔の和歌、近代短歌、そして平成短歌。時代とともに、短歌の姿も移り変わっていきます。