【星に関する有名短歌•和歌 20選】夜空に思いを馳せた‼︎おすすめ短歌和歌集を紹介

 

星の瞬きには月とは違った魅力があります。

 

多くの歌人が夜空できらめく星の光に心を動かされ、星を詠み込んだ短歌や和歌を作ってきました。

 

今回は、星降る夜に読みたくなるような有名短歌・和歌を20首紹介していきます。

 

 

短歌職人
意味や鑑賞文も合わせて紹介していますのでぜひ目を通してみてください。

 

星/夜空に関する有名短歌(和歌)集【前半10選】

 

短歌職人
まずは奈良時代から江戸時代までに詠まれた有名な和歌を紹介していきます。

 

【NO.1】建礼門院右京大夫

『 月をこそ 眺めなれしか 星の夜の 深きあはれを こよひ知りぬる 』

【意味】月ばかり眺め慣れていたけれど、星の夜にも深い趣があるのだと今夜知った。

短歌職人
作者が恋人を亡くして、生活が様変わりした頃に詠まれた歌です。満月のように満ち足りていた暮らしが激変し、作者は自分を光の弱い星のように思って夜空を見上げたのかもしれません。しかし星の光はよく見れば美しく、星の夜にも魅力や情緒があるのだと気が付いたのでしょう。

 

【NO.2】藤原良経

『 くもりなき 星の光を あふきても あやまたぬ身を 猶そうたかふ 』

【意味】曇りのない星の光を仰ぎ見ても、過ちのない自分を尚も疑ってしまう。

短歌職人
作者は自分が過ちを犯していないと思いながらも迷っていて、自分の清廉さを星の光にたとえています。作者にとって星の光は、清く純粋なものの象徴だったのかもしれません。

 

【NO.3】藤原家隆

『 明けわたる 雲間の星の ひかりまで 山の端さむし 峰の白雪 』

【意味】明けてゆく雲の間の星の光まで山の端で寒そうにしている、その峰の白雪よ。

短歌職人
冬の夜明けに、凍てついた空気の中で震えるように星が瞬いている様子が想像されます。真っ白な雪で覆われた峰とまだ薄暗い空の星という描写が美しい歌です。

 

【NO.4】藤原長能

『 袖ひちて 我が手にむすぶ 水のおもに 天つ星合の 空を見るかな 』

【意味】袖を濡らして手ですくった水に、天の星が出逢う空が映るのを見る。

短歌職人
「星合(ほしあい)」とは七夕の織姫と彦星の逢瀬を言います。両手にすくった水に七夕の夜空が映っているのを見て、作者は自分の両手の中で二人が会っていることを想像し、微笑ましい気分になったのではないでしょうか。

 

【NO.5】能因法師

『 秋の夜を 長きものとは 星あひの かげ見ぬ人の いふにぞありける 』

【意味】秋の夜を長いと言うのは、星合を想像しない人の言うことなのだ。

短歌職人
旧暦では七夕は秋の風物詩です。秋の夜長と言いますが、一年のうちの一晩しか共に過ごせない織姫と彦星にとっては一瞬のように短い夜でしょう。それを想像してごらん、という作者の声が聞こえそうな歌です。

 

【NO.6】壬生忠岑

『 日暮るれば 山のは出づる 夕づつの 星とは見れど はるけきやなぞ 』

【意味】日が暮れて山の端から見えてくる宵の明星のように、欲しいと思って見てもあなたが遥かに遠いのは何故だろう。

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「夕づつの星」は宵の明星、金星のことです。金星は日暮れから夜半にかけてしばらく見えて、やがて消えてしまいますが、作者はそんな金星を眺めながら恋しい人のことを考えていたのでしょう。「星」と「欲し」を掛詞にして手の届かない人を星にたとえた切ない歌です。

 

【NO.7】永福門院

『 くらき夜の 山松風は さわげども 梢の空に 星ぞのどけき 』

【意味】暗い夜の山の松に吹く風は音を立てているが、その梢から見える空の星は穏やかなものだ。

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山に風が吹き下ろして松の葉がざわざわと音を立てています。しかし梢の上に見える星は、騒ぐ松には構わずに穏やかに輝いています。作者は夜空に輝く星に気付き、そのたたずまいの静かな様子に感じ入ったのでしょう。

 

【NO.8】藤原為子

『 星おほみ はれたる空は 色こくて 吹くとしもなき 風ぞ涼しき 』

【意味】星が多く出ている晴れた夜空は色が濃くて、弱い風が涼しい。

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星の光が夜空の色を一層引き立てているという歌です。夜空の濃紺の色と星の輝きを想像させます。作者は夜空の下で、吹くか吹かないかの微かな風を感じて立っているのでしょう。そして、ああ風が涼しいと感嘆し、爽やかな余韻を残して歌を終えています。

 

【NO.9】不祥

『 月ならぬ 星の光も さやけきは 秋てふ空や なへてすむらん 』

【意味】月だけではなく星の光もまた清くて、秋の夜空を澄んだものにしているのだろう。

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「さやけし」は明るく、清く澄んでいることを言います。作者は月と星の清らかな光がいっぱいに広がっていて夜空全体が澄みわたっているのだと感じ、秋の夜空への感動を表現しています。夜空を描写していますが全体的に明るく透明感がある歌です。

 

【NO.10】下河辺長流

『 あまつ星 おちて石とも ならぬ間や しばし河辺の 蛍なるらむ 』

【意味】天の星は、落ちて石になるまでの少しの間は河辺の蛍になるのだろう。

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作者は歌人であると同時に学者で、地上まで落ちてきた隕石が冷えて石になるという科学的な知識を詠み込んでいます。しかし同時に、石になる前に星が蛍になるという空想も織り交ぜていて、この歌をとてもロマンチックな印象にしています。

 

星/夜空に関する有名短歌(和歌)集【後半10選】

 

短歌職人
ここからは、明治から現代までに詠まれた有名な短歌を紹介していきます。

 

【NO.11】正岡子規

『 たらちねの 母がなりたる 母星の 子を思う光 吾を照らせり 』

【意味】母は星になって、その母星の子を思う光が私を照らしている。

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「たらちねの」は「母」にかかる枕詞です。亡くなった母は星になって、いつも自分を見守っているのだという歌です。作者は、母は亡くなっても心は消えずに、夜空を見上げればいつでもそこに居るのだと感じていたのでしょう。

 

【NO.12】正岡子規

『 天地に 月人男 照り透り 星の少女の かくれて見えず 』

【意味】天に地に月の光が照っているから、星の光は隠れてしまって見えない。

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月を男に、星を少女にたとえた歌です。作者は光を主張する月に対して、星の光を少女のようにか弱いものと感じたのでしょう。強い光の陰に隠れてしまう控えめな存在を愛おしく思ったのかもしれません。

 

【NO.13】与謝野晶子

『 冬の空 針もて彫りし 絵のように 星きらめきて 風の声する 』

【意味】冬の空に、針で彫った絵のように星がきらめいていて、風が声を上げるように吹いていく。

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夜空の細かな星を、針で引っかいてポツポツと穴を開けたようだと表現しています。星を詠んだ短歌の中でも独特のたとえで、そう見えたものをそのまま表現する子供のような無垢なセンスを感じ、沢山の星がきらめいていたことを想像させます。

 

【NO.14】与謝野晶子

『 流れ星 うつくしかりき 君とわれ くつは虫啼く 原にかかりぬ 』

【意味】流れ星が美しかった。君と私、靴は虫の鳴く原に踏み込んでいた。

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二人で流れ星を見たことを思い出している歌です。流れ星が美しかった!と初めに率直に表現し、次に足元で虫が鳴いていたことを思い出しています。作者は原っぱに足を突っ込んで星に見とれたっけ、と可笑しく思ったのかもしれません。

 

【NO.15】斎藤茂吉

『 むかう空に ながれて落つる 星のあり 悲しめる身の 命のこぼれ 』

【意味】向こうの空に流れて落ちる星がある。悲しむこの身の命がこぼれるように。

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遠くの空に流れ星が落ちるのを見た作者は、その時悲しい思いをしていたのでしょう。流れ星を悲しい自分の命がこぼれていったのだと表現している感傷的な歌です。

 

【NO.16】若山牧水

『 東明(しののめ)の 星のかがやき 仰ぎつつ けふは楽しと 勇みけるかも 』

【意味】明け方の東の空の星の輝きを仰ぎ見ながら、今日は楽しいと勇んでいくのだ。

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明け方のまだ暗い空に星が輝いているのを見つけ、今日は楽しいことがあるぞと嬉しくなったのでしょう。「勇みけるかも」が、やる気や希望が出てきたことを感じさせます。

 

【NO.17】梅内未華子

『 地下鉄の 前方後方 指す指に 白き流星を ともす駅員 』

【意味】地下鉄で前方後方を指す指先に白い流星を灯す駅員。

短歌職人
駅員の白い手袋の指先を流星にたとえた歌です。前方後方を確認する白い指先の動きが素早くて、光が尾を引くように思えたのでしょう。「指先に流星を灯す」という表現からは駅員の指先が神聖なもののようにも感じられます。

 

【NO.18】佐竹彌生

『 満天の 夜空の星を ひとつくぎり くらき鳥籠に 星を飼うなり 』

【意味】満天の夜空の星を一ヵ所区切って、暗い鳥籠に星を飼うのだ。

短歌職人
夜空を背景にして空の鳥籠を置くと、そこに星が入っているように見えたのでしょう。それを「星を飼う」と表現しています。夜空を区切って星を自分の物にするのはロマンチックですが、「くらき鳥籠に」からはどこか孤独な印象も受けます。

 

【NO.19】穂村弘

『 春のプール 夏のプール 秋のプール 冬のプールに星が降るなり 』

【意味】春のプール、夏のプール、秋のプール、冬のプールに星が降る。

短歌職人
一年を通じてそこにある屋外のプールは学校のプールを指すのでしょう。いつも変わることなく満天の星を映しているプールは、湖や池と同じ自然物のように普遍的にそこにあるもののように感じられます。

 

【NO.20】大滝和子

『 白鳥座(シグナス)の 位置もかすかに 移りたり 君への手紙 かきおえ仰げば 』

【意味】君への手紙を書き終えて夜空を見上げれば白鳥座の位置もかすかに変わっていた。

短歌職人
星座の位置の変化に気付くということは、手紙の書き初めにも白鳥座を見ていたのでしょう。作者は天の川に沿って翼を広げる白鳥座を見ながら、思いを届けてくれよと星に願ったのかもしれません。

 

以上、星降る夜に読みたくなるような有名短歌/和歌集でした!

 

 

皆さんは星を見上げた時にどんなことを思いますか?

 

七夕や星座の伝説などを想像してロマンチックな気持ちになる人もいるでしょう。

 

また流れ星に願いをかけたり、天体としての遥かな星々に思いを馳せたりする人もいるのではないでしょうか。

 

短歌職人
皆さんも星を見上げて感じたことや、星を見て感動したことなどを、ぜひ短歌で表現してみてください。