【現代短歌 おすすめ20選】名作はこれ!!知っておきたい有名短歌を紹介【まとめ】

 

皆さんは現代の短歌についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。

 

現代短歌は、自由な文体が魅力の比較的親しみやすい短歌です。

 

 

四季が題材になっているものはもちろん、そこにユーモアや自虐も交えて思わず笑ってしまうような作品も少なくありません。

 

ときにはこちらが今まで気づかなかったこと、意識していなかったことが歌われていてハッとすることもあります。

 

今回は、知っておきたい有名な現代短歌をご紹介します。

 

短歌職人
ぜひ短歌作りの参考にしてみてください!

 

知っておきたい!現代有名短歌【前半10選】

 

【NO.1】鈴木晴香

『 自転車の 後ろに乗って この街の 右側だけを 知っていた夏 』

【意味】夏の間、街を走る自転車の後ろに横向きに座っていたから右側しか見えなかった。

短歌職人
青春のワンカットのような爽やかさを感じられる歌ですね。自転車の二人乗りは実際にはやってはいけないことだけど、シチュエーションとしては素敵で憧れてしまいます。

 

【NO.2】工藤玲音

『 ガーベラも ダリアも花と 呼ぶきみが コスモスだけは コスモスと呼ぶ 』

【意味】ガーベラもダリアもひとくくりに「花」と呼ぶほど花に無頓着な君がコスモスだけはちゃんとコスモスと呼ぶ。

短歌職人
花に対して興味を持っていなかった「きみ」がコスモスだけは認知している、そのささやかな日常が美しく感じられますね。コスモスになにか強い思い入れでもあるのでしょうか。

 

【NO.3】陣崎草子

『 未来とは レモン氷の 向こうなる おまえの八重歯に 映った花火 』

【意味】レモン氷を食べているおまえの八重歯に映った花火をみて未来を感じた。

短歌職人
花火にレモン氷、鮮烈な印象が映像として浮かんでくるような歌ですね。八重歯に映ったという表現が斬新ですね。

 

【NO.4】俵万智

『 たっぷりと 君に抱かれているような グリンのセーター 着て冬になる 』

【意味】冬になって緑色のセーターを着るとたっぷりと君に抱かれているような心地がする。

短歌職人
寒い冬にふんわりと暖かなセーターを着ると幸せな気分になります。たっぷりと、という言い回しを衣服に使用するところに作者のセンスを感じます。

 

【NO.5】俵万智

『 「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日はサラダ記念日 』

【意味】「この味がいいね」君が言ったから、今日をサラダ記念日としよう。

短歌職人
なんでも記念日を作りたがる女性がかわいらしいですね。相手の何気ない一言でうれしくなって記念日まで作ってしまうところに初々しさがあります。

 

【NO.6】俵万智

『 寄せ返す 波のしぐさの 優しさに いつ言われても いいさようなら 』

【意味】寄せて返す波に撫でられている思いがして、いつさようならと言われても受け入れられる気がする。

短歌職人

あたたかな波に慰められているような心地よさのある歌ですね。別れを告げられてもきっと優しい波が傷を撫でてくれるから大丈夫、と心の準備ができたのでしょうか

 

【NO.7】木下龍也

『 鮭の死を 米で包んで またさらに 海苔で包んだ あれが食べたい 』

【意味】鮭の死んだものをお米で包んで、さらに海苔で包んだいわゆる「おにぎり」が食べたい。

短歌職人
いつも口にしている鮭のおにぎりを嚙み砕いて説明した、現代ならではの短歌です。鮭の切り身を「鮭の死」と言い換えるとおにぎりひとつにも感謝して食べなくてはいけない気持ちになりますね。

 

【NO.8】小島なお

『 きみとの恋 終わりプールに泳ぎおり 十メートル地点で 悲しみがくる 』

【意味】君との恋が終わってプールで泳いでいるとき、十メートル地点に差し掛かった時に悲しみが胸に押し寄せてきた。

短歌職人
恋が終わったとき、最初はあまり現実感がなかったものの、プールに入って冷静になると途端に悲しくなってくるという心情を歌にしたものです。プールの中なら泣いても気づかれないですね。

 

【NO.9】笹井宏之

『 「はなびら」と 点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい 』

【意味】点字で「はなびら」と読めたとき、真っ先に頭に浮かんだのは桜だった。

短歌職人
点字を読んだときに思い浮かべる情景ってどんなものなのでしょうか。はなびら、という言葉で桜を思い浮かべたとき、脳内ではどんなイメージが浮かんでいるのかが気になりますね。

 

【NO.10】穂村弘

『 体温計 くわえて窓に額つけ 「ゆひら」とさわぐ 雪のことかよ 』

【意味】体温計を口にくわえたまま窓の外をみて「ゆひら」とさわぐ君。「雪だ」と言ったのか。

短歌職人
おそらく風邪を引いているのであろう彼女が無邪気でかわいらしい歌ですね。呆れながらもぶっきらぼうに応じる相手の態度もまた微笑ましいです。二人の仲の良さが伝わってきて、心が温かくなります。

 

知っておきたい!現代有名短歌【後半10選】

 

【NO.11】穂村弘

『 ゼラチンの 菓子をすくえば 今満ちる 雨の匂いに 包まれてひとり 』

【意味】ひとりでいるときゼラチンのお菓子をスプーンですくった瞬間、あたりに満ちている雨の匂いに包まれた気がした。

短歌職人
静かで清冽な雰囲気を感じられる歌ですね。たまにはこうして自然の気配を感じながら一人で過ごしてみるのもいいかもしれませんね。良い息抜きになりそうです。

 

【NO.12】穂村弘

『 終バスに ふたりは眠る  紫の <降りますランプ>に  取り囲まれて 』

【意味】最終のバスで眠っているふたりを紫色に光った<降りますランプ>が照らして包んでいる。

短歌職人
とらえ方によって「早く降りなさい」と責めたてられているようにも感じますし、静かに見守ってくれているようにも感じられる面白い歌ですね。ふたりが乗り過ごさずに降りることができたのでしょうか。

 

【NO.13】穂村弘

『 目覚めたら息まっしろで、これはもう、ほんかくてきよ、ほんかくてき 』

【意味】ある時、目覚めて息を吐いてみると息が真っ白だった。本格的に冬が来たのだなあと実感した。

短歌職人
冬が来た、という歓喜の気持ちがこちらにも伝わってくるようなワクワクする歌です。「ほんかくてき」のひとことだけで高揚した様子が想像できてしまいますね。

 

【NO.14】伊南真人

『 夏の夜の すべての重力 受けとめて 金魚すくいの ポイが破れる 』

【意味】金魚すくいをするとき、夏の重力をすべて受け止めてポイが破れたように感じた。

短歌職人
金魚は小さな魚ですが、金魚すくいのポイに乗っている間だけは不思議と重たく感じますよね。夏祭りの金魚すくいにてポイが破れたときの一瞬を鮮やかに描いた歌です。

 

【NO.15】東直子

『 しつけ糸 ほどけるように 向日葵が 遠いひかりに ひらかれてゆく 』

【意味】しつけ糸がほどけるように向日葵の花が光に向かって開いていく。

短歌職人
向日葵の花が開いていく様は圧巻ですよね。ピタリと閉じられた花びらの中心が広がっていく様子がしつけ糸がとれたように感じる感性は、唯一無二のように感じられます。

 

【NO.16】飯田有子

『 雪まみれの 頭をふって きみはもう 絶対泣かない 機械となりぬ 』

【意味】雪でまみれた頭を振って、きみはもう絶対泣かないと決意したからきみが機械のようになった気がした。

短歌職人
泣くのを我慢するということは、ひとつの感情を抑え込むということになりますよね、作者はそんな感受性を押し込めたような様子にまるで機械にでもなったようだと感じたのかもしれませんね。

 

【NO.17】佐々木あらら

『 庭先で ゆっくり死んでゆくシロが ちょっと笑った夏休みです 』

【意味】夏休み、庭先でシロを看取るときゆっくりと息絶えていくシロが微笑んだように見えた。

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悲しくも暖かさが伝わってくる歌ですね。シロはきっと幸せだったのだろうなと想像できます。シロが微笑んだように見えたのは、シロと飼い主の間にある信頼と愛情の証なのではないでしょうか。

 

【NO.18】佐佐木定綱

『 ぼくの持つ バケツに落ちた 月を食い めだかの腹は ふくらんでゆく 』

【意味】ぼくが持っているバケツに映った月をメダカが食べてお腹が満たしていくように感じた。

短歌職人
水面に口をぱくぱくとしているメダカをバケツに映った月を食べているようだと表現した、個性的な歌ですね。ふっくらとしためだかのお腹が健康な印象で、なんだかこちらまで元気が出るように感じます。

 

【NO.19】工藤吉夫

『 とぶために 四階に来て はつなつの 明るいベランダに 靴を脱ぐ 』

【意味】校舎の四階から飛び降りるために、初夏の陽にてらされた明るいベランダで靴を脱ぐ。

短歌職人
自殺という重たいものをテーマにしているのですが、「はつなつの」や「明るい」という言葉が使われていることから爽やかささえ感じてしまう、不思議な歌ですね。その人は何を思って校舎から飛び降りるのでしょうか。

 

【NO.20】工藤吉夫

『 十七の 春に 自分の 一生に 嫌気がさして 二十年経つ 』

【意味】十七歳の春に自分の人生に光が見えず嫌気がさしたが、それから何もかわらないまま二十年が経ってしまっている。

短歌職人
大人になったら何か変わるだろう、と学生時代に思ったことは一度や二度あると思います。大人になっても性格や思考は大抵変わらず、自分が成長していないように感じることも多々ありますよね。

 

以上、おすすめ現代短歌でした!

 

 

現代の短歌は現代の口調やくだけた話し言葉で歌われたものが多く、比較的内容も自由度が高いため、親しみやすい印象を受けます。

 

また、多くの人の納得や共感を誘うのも現代短歌ならではの特徴と言えそうです。

 

難しい言葉もあまり出てこずソフトな短歌が多いので、「短歌って難しそう…」「なんだか硬い印象がある…」という方は現代短歌から入ってみるのもいいかもしれませんね。

 

短歌職人
是非、あなたも短歌作りにチャレンジしてみてください!