【ひまわり(向日葵)の短歌 20選】すごく上手い!!有名短歌&おすすめ素人作品を紹介!

 

短歌は五七五七七の短い中でドラマティックな表現がなされます。

 

短い文章の中に要素を詰め込むため、いかに効果的な文字の使い方をするかが短歌のポイントの一つともいわれています。

 

夏の花「ひまわり(向日葵)」は印象的な花で、短歌でも強い印象を残します。

 

どのように効果的にそして印象的に使われるのでしょうか?

 

そこで今回は、「ひまわり(向日葵)」を歌った有名短歌やおすすめ短歌をご紹介します。

 

短歌職人
ぜひ短歌作りの参考にしてみてください!

 

ひまわり(向日葵)の有名短歌【おすすめ10選】

 

【NO.1】寺山修司

『 列車にて 遠く見ている 向日葵は 少年のふる 帽子のごとし 』

意味:電車の中から遠くに咲いている向日葵が見えるが、まるで少年の振る帽子のようだ。

短歌職人
車窓からぽつりと立っているように見える向日葵を帽子に見立てているところが、面白い表現です。自分を見送っているかのように感じられる内容です。

 

【NO.2】前田夕暮

『 向日葵は 金の油を 身にあびて ゆらりと高し 日のちひささよ 』

意味:向日葵が金の油を身に浴びたように輝いて見える。ゆらりと高く育った向日葵の向こうにある太陽はなんと小さく見えるのだ。

短歌職人
向日葵の黄色い様子を油を浴びたと独特の表現をしています。太陽よりまぶしく凛々しく咲いている様子が目に浮かびます。

 

【NO.3】与謝野 晶子

『 髪に挿せば かくやくと射る 夏の日や 王者の花の こがねひぐるま 』

意味:王者の花である黄金色の向日葵は自分の髪に挿すとさんさんと輝く夏の太陽だ。

短歌職人
「こがねひぐるま」が太陽を指します。非常におしゃれな内容の短歌です。向日葵を髪に挿している様子が印象的です。この短歌のように、大きさも色もまさに王者の花です。

 

【NO.4】与謝野鉄幹

『 輝やかに わが行くかたも 恋ふる子の 在るかたも指せ 黄金向日葵 』

意味:私の行く先も恋するあの子のいる方も光輝き指してくれ、黄金の向日葵よ。

短歌職人
向日葵に思いを託している姿が初々しい短歌です。向日葵の輝きで導いてほしいという切実さと強い思いが感じられます。

 

【NO.5】若山牧水

『 向日葵の おほいなる花の そちこちの 弁ぞ朽ちゆく 魂のごとくに 』

意味:向日葵の大きな花にあるあちらこちらの花弁が魂を持っているように枯れていく。

短歌職人
向日葵の花弁は種となる部分の周囲から抜け落ちていきます。その様子を魂が抜けていく様子だと例えたところに面白みがあります。大きな花から小さな花弁の様子に焦点を当て、枯れていく最中を惜しむ様子が描き出されています。

 

【NO.6】斎藤茂吉

『 向日葵は 諸伏しゐたり ひた吹きに 疾風ふき過ぎし 方にむかひて 』

意味:ひたすらに疾風が吹いていく方向に向かって向日葵がみんなひれ伏している。

短歌職人
風の強さと向日葵の力強さが感じられる短歌です。向日葵は太い茎を持っていますが、その方向を変えてしまうような疾風が吹いていることが分かります。同じ方向を向いて倒れている様子を「伏す」としたところも面白いですね。

 

【NO.7】中村憲吉

『 おほほしく 曇りて暑し 眼のまへの 大き向日葵 花は揺すれず 』

意味:気持ちが晴れなくて、曇って暑い日の目の前の大きな向日葵の花は揺らすことはできなかった。

短歌職人
非常に憂鬱とした様子が感じられます。どんよりとした気持ちと対照的に明るい向日葵が凛としている様子が悲しさを際立たせます。

 

【NO.8】岡山巌

『 風落ちて 夕づく畑の 大いきれ 我が立ちあふぐ 向日葵の花 』

意味:風がなくなり夕焼けが始まった畑の焼けつくような暑さに、私は立って天を仰いだ向日葵の花のようだ。

短歌職人
非常に暑い日のことを向日葵で例えている点が面白いところです。向日葵は太陽に向かって咲くことが知られていますが、一番熱い正午の向日葵のような状態に作者がいるように描かれているところから、夕方なのにじりじりと暑い様子が感じられます。

 

【NO.9】安立スハル

『 向日葵の 花は実となる 確かさの 見えつつありて 日々はやく逝く 』

意味:向日葵の花は実(種)になることが確実である様に見えて毎日天国へ逝っている。

短歌職人
向日葵の生命力の強さと儚さが同時に伝わる洗練された短歌です。向日葵は多くの種をつけますが、それと同時に花自身は枯れてゆきます。その様子をはやく逝くと表現したところに命の連鎖を感じます。

 

【NO.10】木下利玄

『 恐ろしき 黒雲を背に 黄に光る 向日葵の花 見ればなつかし 』

意味:恐ろしい黒い雲を背に黄金に光る向日葵の花を見ると懐かしくなる。

短歌職人
夏に黒い雲がくるときは夕立の時です。今にもこちらへ雨が降ってきそうな様子の中、怖気づかず光っているように立っている向日葵は力強さを感じます。子ども時代に遊んでいる最中に見た光景、または何がやってきても怖くなかった若い頃の風景、どちらにも受け取ることができます。

 

ひまわり(向日葵)の素人短歌【おすすめ10選】

 

【NO.1】『 太陽の かけらが一つ 落ちている もうすぐ夏が 終わりそうだよ 』

短歌職人
向日葵の花弁を太陽のかけらとしているところが面白いですね。向日葵が枯れていく様子を太陽のかけらがポロポロと落ちていくと思うと、夏の終わりも楽しく過ごせそうです。

 

【NO.2】『 真夜中の ひまわり畑 どうすれば 君を救い 出せたのだろうか 』

短歌職人
切なさとロマンティックさが感じられる短歌です。真夜中のひまわり畑は非常にロマンティックな場所です。そこに立つ君を作者は救い出せず、今でも後悔し、方法を模索している様子が悲しみを深くさせています。

 

【NO.3】『 来年は 植えてみようと 思い立つ リスの遺した 向日葵の種 』

短歌職人
リスのごはんである向日葵の種は思い出ですが、花が咲けば新しい思い出が生まれます。作者の優しさがにじみでている短歌です。

 

【NO.4】『 午後3時 向日葵畑を 駆け巡る 私以外を 見ないでください 』

短歌職人
向日葵畑のまぶしい景色のなか、駆ける作者だけを見てくれとお願いする様子が緊張感を感じさせます。少し日が和らぎ始めた3時の美しい景色の中、作者が最高の姿で駆け巡っている様子が感じられます。

 

【NO.5】『 何しても 大きくならない 向日葵に 優しく声を かけることにする 』

短歌職人
作者の温かい心が感じられる短歌です。向日葵は大きく背丈が伸びることが多いですが、肥料や水、光を浴びてもどうにもならないときもあります。そんな時に優しく声をかけることは必要なことです。人間も同じかもしれません。

 

【NO.6】『 乗り換えの ホームの向かい 向日葵が まじろぎもせず 僕を見ている 』

短歌職人
作者と対面するようにこちらに向かって咲いている様子が面白く描かれています。向日葵の花が目のように書かれ、瞬きせずじーっと見ていると作者は思っています。向日葵のような大きな目であれば、こちらも目が離せません。

 

【NO.7】『 向日葵は みんなこちらを 見てくれる 何かスピーチ してもいいかな 』

短歌職人
向日葵は同じ方向を向いて咲きます。その様子が観衆に見えたのでしょうか。鮮やかな黄色い花が応援しているようにも感じられます。スピーチしたくなるような前向きになれるような光景が感じられます。

 

【NO.8】『 ひとり居の 部屋が華やぐ 向日葵の 花を三本 花瓶に挿せば 』

短歌職人
一人寂しく住んでいても、花は人を豊かにしてくれます。向日葵のような大きく明かるい色の花があれば、見ている側が笑顔になってきそうです。

 

【NO.9】『 向日葵の 微笑む顔が ならんでる デイサービスの バスの車体に 』

短歌職人
向日葵は人の気持ちを明るくさせることがあります。デイサービスのバスという硬い雰囲気に対して、向日葵はニコニコしています。この雰囲気の違いから、読み手は向日葵という言葉の柔らかさに改めて気づかされます。

 

【NO.10】『 太陽へ まっすぐ伸びる 向日葵の 想いはひとつ 一直線 』

短歌職人
向日葵の力強さが作者を後押しするかのような短歌です。ピーンと伸びる向日葵の様子は目標に向かって突き進む様子に置き換えることができる点が面白いです。目標のその先は向日葵のように大輪を咲かせるぞという作者の強い意気込みが感じられるようです。

 

以上、ひまわり(向日葵)のおすすめ短歌でした!

 

向日葵は夏の象徴的な花であることから、絵画のように風景を切り取った作品や力強さを表現した作品まで幅広く取り上げられています。

 

向日葵の咲く様子を観察していると、素敵な短歌が生まれるかもしれません。

 

短歌職人
是非、あなたも短歌作りにチャレンジしてみてください!