【短歌の文字数の数え方】簡単にわかりやすく解説!!小さい文字(拗音)や伸ばし棒(長音)など

 

短歌は、思ったことを5757・7の31音で表現する定型詩です。

 

この「短い詩」は、古代から1300年を経た現代でも多くの人々に親しまれています。

 

今回は、短歌の文字数の数え方についてわかりやすく解説します。

 

 

短歌職人
「短歌をつくってみたいけれど、文字数の数え方が分からないな」「31文字じゃない短歌を見つけたけれど・・・?」といった思いを持っている方は、ぜひ読んでみてください!

 

短歌の文字数の数え方

 

短歌は厳密に言うと「文字数」ではなく「音数」でカウントします。

 

「音数」とは、読み上げたときの音の数のことです。

 

例えば、「食べた」は、「た/べ/た」と1音ずつ数えるので3音の言葉となります。実際に声に出したり指を折ったりしながら、音の数を数えていくと分かりやすいです。

 

①促音「っ」

促音(そくおん)は、「っ」を使ったはねる音のことです。短歌では「1音」として数えます。

 

【例】スキップ →「す/き/っ/ぷ」(4文字・4音)

【俳句例】穂村弘

『 それはそれは 愛しあってた 脳たちと ラベルに書いて 飾って欲しい

短歌職人
「あ/い/し/あ/っ/て/た」7音、「か/ざ/っ/て/ほ/し/い」7音です。

 

②拗音「ゃ•ゅ•ょ」

拗音(ようおん)は、小文字「ゃ・ゅ・ょ」を使った音のことです。

 

例えば「しゃ」(sya)。声に出す時に、わざわざ「し・ゃ」(siya)とは読みませんよね。これらは前の文字とセットで1つの音となります。短歌の中でも、前の文字とセットで1として数えます。

 

【例】

  • あかちゃん →「あ/か/ちゃ/ん」(5文字・4音)
  • 中華料理 →「ちゅ/う/か/りょ/う/り」(8文字・6音)

【俳句例】桝野浩一

『 こんなにも ふざけたきょうが ある以上 どんなあすでも ありうるだろう 』

短歌職人
「ふ/ざ/け/た/きょ/う/が」7音、「あ/る/い/じょ/う」5音です。

 

③長音・伸ばし棒「ー」

長音は、伸ばし棒「ー」を使った伸ばす音のことです。日本語では、主にカタカナで書く言葉で使われます。

 

「ー」は、あえて平仮名に書き直したとき、「あ・い・う・え・お」の母音にあたります。そのため、「ー」だけで1として数えます。

 

【例】エレベーター →「え/れ/べ/え/た/あ」(6文字・6音)

【俳句例】鳥居

『 錆びている ブーツの金具 入水した 深夜の海を 忘れずにいて 』

短歌職人
「ぶ/う/つ/の/か/な/ぐ」7音です。

 

④「!」や「?」

現代短歌には、記号が使われているものもあります。

 

記号(!・?・…・「」など)は、基本的には音数には数えません。

 

例えば「なぜ?」と書かれていた場合、声に出して読むときに「な・ぜ・はてな」「な・ぜ・クエスチョン」などとは読みませんよね。短歌においても、声に出して読み上げない記号は音数には数えないのです。

 

【例】

  • わあ! →「わ/あ」(3文字・2音)
  • 「おはよう」と →「お/は/よ/う/と」(7文字・5音)

記号は基本的には音数に数えませんが、+・-・∞・♪などは、音数に数える場合と数えない場合があります。それは、作品の中であえて「プラス」「おんぷ」などと読ませている場合です。

 

短歌職人
音数に数えるかどうか迷ったときには、その作品の解説を調べたり、歌全体の音数を数えたりして判断しましょう。

 

⑤英語やアルファベット

「A」などのアルファベットも、それが英単語なのかローマ字表記なのかで数え方が変わってきますので注意が必要です。

 

【例】

  • LOVE →「ら/ぶ」(4文字・2音)英単語
  • ABC →「え/ー/び/ー/し/ー」(3文字・6音)アルファベットの文字列
  • SF →「え/す/え/ふ」(2文字・4音)英語の略語
  • TAKARA →「た/か/ら」(6文字・3音)ローマ字

【俳句例】山田航

『 「Miss me?」の 答えは「Maybe」 逆光に 輪郭だけの 君の横顔 』

短歌職人
「み/す/み/ー」4音、「め/い/び/ー」4音です。

 

促音・拗音・長音を使った有名短歌【6選】

 

【NO.1】加藤千恵

『 まっピンクのカバンを持って走ってる 楽しい方があたしの道だ 』

短歌職人
作者の加藤千恵さんが、まだ女子高生だったころに詠んだ歌です。「自分が楽しいと思ったほうが、私が進むべき道だ!」と、若さいっぱいに歌っています。大人が読むと、何か忘れていた「あの頃」を思い出せそうな、キラキラした作品ですね。

 

【NO.2】雪舟えま

『 ホットケーキ持たせて夫送りだすホットケーキは涙が拭ける 』

短歌職人
「夫」は、何かに涙しなければならないところへ向かうのでしょうか。そんな夫を送り出す妻の目線で詠まれた歌です。そこで出てくる「ホットケーキ」。お弁当に持たせる?まして涙を拭くだなんて…突飛な発想です。しかし、読み手はなぜか納得してしまう。ホットケーキというアイテムには、妻から夫への気遣い、心配な気持ち、エール…色々な思いが詰め込まれているのではないでしょうか。

【NO.3】斉藤斎藤

『 シースルーエレベーターを借り切って心ゆくまで土下座がしたい 』

短歌職人
新感覚の短歌で有名な斎藤斎藤さん。この歌で何よりも印象的なのは「シースルーエレベーター」と「土下座」。四方八方だけでなく上も下も透けていて、どの角度からも見られるような場所で土下座をしたいとはどういう感情なのだろう…と考えてしまいます。おそらく、誰にも彼にもすべての人に土下座をしたいほどの懺悔の気持ちを歌っているのでしょう。

 

【NO.4】穂村弘

『 「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」 』

短歌職人
会話のみでできた歌。「ブーフーウー」は、かつてNHKで放映していた「三匹の子豚」を元にした、着ぐるみ劇に登場する子豚兄弟の名前です。おそらく最初の台詞は女性。それに対して男性が女性を子豚呼ばわりしているわけです。これだけを見ると「ひどい!」と思うかもしれませんが、歌集から推測するとこの歌の男女は恋人同士なので、恋人ならではの仲の良さが現れた一首なのでしょう。

 

【NO.5】石井遼一

『 生きているだけで三万五千ポイント!!!!!!!!!笑うと倍!!!!!!!!!! 』

短歌職人
この「!」は音数に数えるのか?そもそもどう読めば…?と思われる方も多いかと思いますが、これも有名な作品のひとつです。三万五千という数や「!」の数に意味を探してしまいがちですが、この歌はきっとそんなところに意味はありません。ただ、「生きているだけでたくさんポイントがついて、笑うだけでそのポイントが倍!」と、生きていることをひたすら肯定しているのですね。

 

【NO.6】荻原裕幸

『 ▼▼▼▼▼ココガ戦場?▼▼▼▼▼抗議シテヤル▼▼▼▼▼BOMB! 』

短歌職人
数え方という点では例外にあたる一首です。「▼」は声に出して読み上げませんが、この歌では「1文字」としてカウントします。BOMBは「ボム」と読み、「?」と「!」は数えないそうです。この「▼▼▼」は空から降ってくる爆弾を表していると解説されています。同じような歌が全部で8首あり、3ページにわたって並べられています。他には「▼▼▼街▼▼▼街▼▼▼▼▼街?▼▼▼▼▼▼▼街!▼▼▼BOMB!」など。短歌なのに、絵や写真を見ているような不思議な感覚になる…読者の視覚に訴えることを強く意識して作られた作品です。

 

さいごに

 

今回は、短歌の文字数の数え方について詳しく解説しました。

 

文字数(音数)の数え方に基本的な決まりはありますが、作品の例にもあったように、その型にとらわれないものも多くあります。

 

短歌は「自由に表現して良いもの」なのです。

 

短歌職人
作品の文字数(音数)の基本を知ったうえで色々な作品を読むと、また新しい面白みが出てきますよ!