【花を題材にした短歌  22選】知っておきたい!!季語を含む有名短歌&素人短歌を紹介

 

皆さんは、花に関する短歌をどのくらいご存じでしょうか。

 

花を題材にした短歌は、花の様子を自分に例えて気持ちや恋を歌ったものが多くあります。

 

 

 

今回は、いろんな「花」を題材にした有名短歌やおすすめの素人オリジナル短歌をご紹介します。

 

短歌職人
ぜひ短歌作りの参考にしてください!

 

花を題材にした有名短歌【おすすめ12選】

 

【NO.1】紀友則

『 列車にて 遠く見ている 向日葵は 少年のふる 帽子のごとし 』

意味:日の光がのどかな春の日に、落ち着いた心をもたないかのようになぜ桜は散っていくのか。

短歌職人
春が始まったばかりなのに咲いてもすぐに散ってしまう桜の儚さを歌った短歌です。この桜のように張るという季節もすぐ終わってしまうように感じます。

 

【NO.2】大判坂上郎女

『 夏の野の 繁みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ 』

意味:夏の野にひそやかに咲いている姫百合のように、相手に知られていない恋は苦しいものです。

短歌職人
作者は、思いを伝えたいけれど伝えることができない秘められた恋を繁みに隠れるようにして咲いている姫百合と重ねてこの歌を詠みました。この恋が報われるよう応援したくなるような歌です。

 

【NO.3】凡河内躬恒

『 月夜には それとも見えず 梅の花 香をたづねてぞ 知るべかりける 』

意味:

月の明るい夜は、梅の花を上手に見分けることができない。香りをたどることによってありかを知る。

短歌職人
梅の花を視覚ではなく嗅覚で表した印象的な歌です。今にもかぐわしい梅の香がただよってきそうに感じます。

 

【NO.4】詠み人知らず

『 月草に 衣は摺らむ 朝露に 濡れて後は 移ろひぬとも 』

意味:

月草(露草)の色に衣を摺り染めよう。朝露に濡れた後は色が落ちてしまうとしても。

短歌職人
朝露に濡れてしまっただけで色がおちてしまうような露草の刹那的な美しさが、如実に感じられるなんだか切ない歌です。すぐ落ちてしまったって構わないくらい、露草で染まった色は美しいのでしょうか。

 

【NO.5】源実朝

『 小夜ふけて 蓮の浮き葉の 露のうへに 玉とみるまで やどる月影 』

意味:夜が更けて、蓮の浮き葉の上にある露に玉のごとく月が映りこんでいる。

短歌職人
蓮の葉に浮かんだ露にまで着目して短歌を作り上げる作者の感性に脱帽します。映り込みを「宿る」と表現するのもセンスがあります。美しい情景が目に浮かぶようです。

 

【NO.6】大伴池主

『 うら恋し わが背の君は 撫子か 花にもがもな 朝な朝見む 』

意味:心から慕わしいあなたが撫子の花だったらいいのに。そうしたら毎朝のように見つめていられるのに。

短歌職人
好きな人が花だったらいいのに、というのは恋をしている人には共感できる感情ではないでしょうか。心ゆくまで見つめていたいという気持ちが美しく歌われています。

 

【NO.7】山部赤人

『 春の野に 菫摘みにと 来し我ぞ 野をなつかしみ 一夜寝にける 』

意味:春の野原に菫を摘みに来たが、あまりの美しさに心を惹かれてここで一夜を明かしてしまった。

短歌職人
春のもつ美しさが大いに感じられる、ノスタルジーにあふれた歌です。作者が一夜を明かしてしまうと例えたほど心惹かれる光景とはどんなものか、気になります。

 

【NO.8】長塚節

『 口をもて 霧吹くよりも こまかなる 雨に薊の 花はぬれけり 』

意味:雨に濡れた薊の花の花弁のひとつひとつに細かく雨粒がついている。

短歌職人
薊のことを歌った珍しいこの歌は、雨上がりの瞬間を切り取った美しい歌です。その水滴の細かさを「霧吹くよりも」と歌うことによって、ふさふさとした花弁に雨水がキラキラとついている様が想像しやすくなっています。

 

【NO.9】与謝野晶子

『 髪に挿せば かくやくと射る 夏の日や 王者の花の こがねひぐるま 』

意味:夏の王者である向日葵の花を自分の髪に挿すと、輝く太陽のようだ。

短歌職人
こがねひぐるまとは向日葵のことです。髪に向日葵を挿す、そんな何気ない夏の日常を描いたこの作品は、アルバムの中の一枚のようでなんだかほっこりとして微笑ましいです。

 

【NO.10】小池光

『 廃駅を くさあぢさゐの 花占めて ただ歳月は まぶしかりけり 』

意味:利用されなくなって久しい駅を「くさあぢさゐ」が覆っている。その歳月に思いを馳せると眩しく感じる。

短歌職人
どことなく退廃的な雰囲気を漂わせている句です。寂れて廃れてしまったかつて多くの人が利用していた駅と、そこに瑞々しく咲く花の対比が美しく感じられます。

 

【NO.11】寺山修司

『 君の歌う クロッカスの歌も 新しき 家具のひとつに 数えんとする 』

意味:君が歌っているクロッカスの歌も、家具のひとつとして数えよう。

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家具とは、いつも当たり前に家にあるものです。作者はそんな家具のひとつに「君が歌うクロッカスの歌」を加えようといっています。いつまでも「君」との生活を続けていきたいという思いを感じさせる、微笑ましい歌です。

【NO.12】俵万智

『 思いきり 愛されたくて 駆けてゆく 六月、 サンダル、 あじさいの花 』

意味:鬱々とした6月の空、思いっきり愛されたくなって駆け出していく。素足にサンダルを履いて、あじさいの花の咲き乱れる中を。

短歌職人
詩的な雰囲気が素敵なこの歌は、短歌ではあまり見ない句読点の配置がユニークで面白いです。感情あふれる青春がこの歌にギュッと詰まっている気がします。

花を題材にした素人オリジナル短歌【おすすめ10選】

 

【NO.1】『 秋の野に 子首傾げて 手招くは 黄花コスモス 嫋やかに咲き 』

短歌職人
秋風に揺れるコスモスを擬人化したこの歌は、かわいらしくて秋の外出がうれしく感じる気候にぴったりです。

 

【NO.2】『 野に生きる きみに今まで どれだけの 勇気を得たか 姫女苑の花 』

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雑草としても見られてしまいがちなヒメジョオンの花ですが、その可憐さとはうらはらのたくましい姿に得るものがあったようです。

 

【NO.3】『 人知れず 花を咲かせ 魅了する 美しきかな 十月桜 』

短歌職人
桜といえば4月のイメージが主だと思いますが、十月桜は春と秋で一年に二回花をつけるそうです。美しい十月桜を見つけたらなんだかうれしい気分になれそうです。

 

【NO.4】『 一人では 生きてゆけない 狭すぎる 鉢いっぱいに パンジーの花 』

短歌職人
こちらの歌は自然に生えている花ではなく、鉢植えの花についての歌です。身を寄せ合うようにして咲いているパンジーを見て人間に例えたセンスが光る歌です。

 

【NO.5】『 百合の花 咲き誇るなか 僕たちは 壊れていくね 小指重ねて 』

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儚く切ない恋愛模様が描かれた短歌です。小指という頼りないモチーフが今にも崩れてしまいそうな悲愴感を漂わせています。

 

【NO.6】『 思えども 姿の見えぬ 君いずこ 金木犀の 香に似て哀し 』

短歌職人
金木犀の花の香りはいったん嗅いでしまうとその場を離れがたいくらい良いにおいがします。そんな金木犀を会いたいけれど会えないあの人に重ねて歌われた切なく秋らしい歌です。

 

【NO.7】『 鶏頭花 冷たき露が 葉を滑り 今鮮やかに 色づきのとき 』

短歌職人
鶏頭の最も美しい瞬間を切り取った写真のような歌です。葉っぱの上を滑り落ちていく露の冷たさと今この瞬間色鮮やかになる鶏頭の花のコントラストが印象的です。

 

【NO.8】『 梅の花 匂いひときわ 鮮やかに 我も我もと 空へ空へと 』

短歌職人
梅の枝が上に向かって伸びていく様を表したこの歌は、同じ言葉を繰り返すことによって伸びやかな梅の様子が強調されています。寒い季節にも負けずに上を目指す梅の姿に元気がもらえそうです。

 

【NO.9】『 白き花 徐々に 赤らむ酔芙蓉 君への思いも 濃さ増すばかり 』

短歌職人
酔芙蓉という花は、花が成長するにつれて花弁の色が白から赤へと変化していくという特徴をもった花です。自分の恋心をそんな酔芙蓉に例えるこの歌は、甘酸っぱく初々しい印象です。

 

【NO.10】『 知ってるの? 八月終わる 寂しさを マリーゴールド 鮮やかなまま 』

短歌職人
夏がどれだけ暑くても、いざ終わるとなるとなんとなく寂しい気分になる方も多いのではないでしょうか。夏が終わる寂寥を未だ鮮やかなままで秋を迎えようとしているマリーゴールドの花に問いかける、切なくかわいらしい歌です。

 

以上、花を題材にしたおすすめ短歌でした!

 

 

花を題材にした短歌は、花によって印象が大きく変わるのが印象的です。

 

また、形のない気持ちというものを姿のある花に例えることによって多くの共感を呼ぶのではないでしょうか。

 

自分の気持ちを花にたとえて一句詠んでみるのも面白いかもしれませんね。

 

短歌職人
是非、あなたも短歌作りにチャレンジしてみてください!