【富士山を詠んだ短歌 20選】すごく上手い!!有名短歌&おすすめ短歌作品集を紹介!

 

日本の象徴ともいえる「富士山」。

 

世界遺産(文化遺産)に登録され、近年では富士山を見に来る外国人観光客も増えていますね。

 

有名歌人たちはそんな富士山をどのように見ていたのでしょうか?

 

今回は、富士山を詠んだ短歌(有名短歌&オリジナル短歌)をご紹介します。

 

短歌職人
ぜひ、あなたのお気に入りの短歌を見つけてみてください!

 

富士山を詠んだ短歌【有名短歌10選】

 

まずは、昔の短歌から有名なもの10つご紹介します。

 

【NO.1】山部赤人

『 田子の浦に うちいでて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪はふりつつ 』

意味;田子の浦の眺めの良い所に進み出て、遥か彼方を見渡すと、真っ白い富士山の頂上に今もなお雪は降り続いていることだよ。

短歌職人
「白妙の」という枕詞を「富士」にかけることによって、富士に雪が降って真っ白にまるさまを強調しているんですね。この歌を読むだけで、白富士の幻想的な景色が目の前に浮かんできます…!

 

【NO.2】慈円

『 天の原 富士のけぶりの 春の色の 霞になびく あけぼのの空 』

意味;大空に立ち昇る富士の煙が春の色である。浅緑の霞となってなびいている曙の空。

短歌職人
この時代の富士山は、噴煙を上げていたようです。冬から春へと移り行く季節感が描かれていますね!

 

【NO.3】源頼朝

『 道すがら 富士のけぶりもわかざりき 晴るる間もなき 空のけしきに 』

意味;旅の途中、せっかく楽しみにしていた富士山の煙もはっきり見ることができなかった。晴れ間もない天候だったのは非常に残念だ。

短歌職人
源頼朝が、上京するたびの途中で詠んだ短歌とされています。悪天候で見たかった景色が見れなかった気持ちが、ひしひしと伝わってきます。

 

【NO.4】紀貫之

『 しるしなき けぶりを雲に まがへつつ 夜を経て富士の 山と燃えなむ 』

意味;わたしはききめのない恋の想いの煙を立ち昇らせ、雲にまぎれさせながら、幾夜も富士山のように燃え続けるのあろう。

短歌職人
噴煙の立ち昇る富士山を見て、自らの想いを連想させるなんてさすがですね。そして切ない…!しかしなんともロマンチックな歌です。

 

【NO.5】清原深養父

『 けぶり立つ 思ひならねど 人しれず わびては富士の ねをのみぞ泣く 』

意味;煙の立ち昇る思いの火ではないが、相手に知られないままわびしくなって富士の嶺ではないが、身を伏し、ただ声をあげて泣くよ。

短歌職人
煙のように、この思いも届くといいのに。という切ない気持ちが伝わってきます。たとえ思いが届かずとも、この歌が現代にまで残っていることはとても素敵なことですよね。

 

【NO.6】藤原家隆

『 富士の嶺の 煙もなほぞ 立ちのぼる うへなきものは おもひなりけり 』

意味;富士山の煙も、嶺よりも高く立ちのぼる。そのように、この上なく高く燃えるものはわたしの恋の想いの火なのだ。

短歌職人
富士の噴煙よりも高く昇るほどの恋の煙…素敵すぎます。告白のような歌ですね。その想いは届いたと信じたいです。

 

【NO.7】慈円

『 世の中を 心たかくも いとふかな 富士のけぶりを 身の思ひにて 』

意味;私は身の程も弁えず、この世の中を不遜にも気位高く厭離(えんり)しようとしている。空高く立ち昇る富士の煙に、自身の思いを託して。

短歌職人
「たかく」とは「富士の煙」の縁語で、富士の煙が富士の高さに満足せず、さらに高くと立ち昇るさまをいいます。立ち昇る煙を見て、自らの使命を全うすることを誓ったのでしょうか。激動の時代を生きた慈円だからこそ詠めた歌なのかもしれません。

 

【NO.8】西行法師

『 風になびく 富士の煙の 空に消えて 行方もしらぬ わが思かな 』

意味;風に吹かれてなびく富士の噴煙が空に消えて、その行方も分からない。その煙と同じように、私の思いもどこに行こうとするのか、行方も分からない。

短歌職人
西行法師は、妻子を残して出家し、生涯流浪の旅を続けたことで有名ですね。これから先どうなるのか、行くあての知らない煙に自らを重ねて詠んだ歌とされています。不安と期待が交差する感情を「富士の煙」と詠むなんて、なんとも粋ですね。

 

【NO.9】在原業平(業平成臣)

『 時知らぬ 山は富士の嶺 いつとてか 鹿の子まだらに 雪の降るらむ 』

意味;季節を知らない山は富士の山だ。五月末だというのに、富士の嶺には鹿の子のまだら模様のように、まだ雪が残っている。

短歌職人
茶色い山肌に白い雪が残ってるさまを見て「鹿の子模様」と表現するとは、さすがとしか言いようがありません…!驚いた様子の業平が、この短歌から想像できますね。

 

【NO.10】源実朝

『 見わたせば 雲居はるかに 雪白し 富士の高嶺の あけぼのの空 』

意味;見渡すと、雲の向こうに雪が白く見える。富士山の頂上が見える、曙の空だなあ。

短歌職人
この歌からは、朝陽が昇ってオレンジ色に輝く空の中に、雪で白く輝く富士山の姿が想像できますね。実朝の感動が伝わってきます…!

 

富士山を詠んだ短歌【素人オリジナル短歌10選】

 

次に、素人オリジナル短歌をご紹介します。

 

有名人に負けず劣らずの作品がズラリ…!ぜひ短歌作りの参考にしてみてください。

 

【NO.1】『 ここからは 富士が見えなくて さびしいと わたしがいるのに 妻がつぶやく 』

短歌職人
なんともシュールな作品です()作者の気持ちも分かりますが、奥様の気持ちも分かってしまいます。それはそれ!これはこれ!です。

 

【NO.2】『 富士山は 背中を押して くれました 職なきときも 離職のときも 』

短歌職人
人生とともに富士がある、このような作者の想いが伝わってきますね。日本人にとって富士山とは、当たり前のようにそこにあるけれど、私たちのこころのふるさとと言えるのかもしれません。

 

【NO.3】『 人間は ちっぽけなものだと 五合目で 言うな父さん 富士山顔で 』

短歌職人
いや五合目はちょっと早いよお父さん!と言いたくなりますが、日本一の山であり、日本の象徴である富士山に登るということは、誰しも感慨深いものがあるということなのかもしれませんね。

 

【NO.4】『 参考書 開くその手は そのままに 車窓の富士に 誓う合格 』

短歌職人
これまでやってきたこと、頑張ってきた自分を信じて、偉大なる富士に誓う。作者の強い心・思いが、この歌からにじみ出てきます。

 

【NO.5】『 江戸川に 富士を見にゆく 何もかも リセットしてしまいたくなるとき 』

短歌職人
共感しかありません。富士山を眺めているだけで、心が浄化されるような、前向きになれるような…。悩みや不安に対する光を、作者は富士山に見ているのかもしれませんね。

 

【NO.6】『 山のなか 小さくなってく 友の背と 大きくなった 蝉の鳴き声 』

短歌職人
横並びで歩いていたはずなのに、いつの間にか違う道を行き、違う人生を歩む。作者は、そんな思いを、富士の山中で感じたのかもしれませんね。人の成長、人生の歩みを感じさせられます。

 

【NO.7】『 念願の あの頂に 立つために 富士を横目に 今日も漕ぎ抜く 』

短歌職人
自分にとっての頂に挑戦する、たくましい作者の姿が歌われています。やはり富士山には、心を震わせる力があるのだと思います。

 

【NO.8】『 富士山の 晴れたる夜は 山小屋の 明り点々 空へと続く 』

短歌職人
山小屋の明りが、満天の星空へ続いている…。それを見た作者の感動が歌われています。その明りが、頂へと導いてくれる気がします。

 

【NO.9】『 大きいな とても大きい 大きいぜ こんな器に 私はなりたい 』

短歌職人
富士山の大きさと器の大きさをかけるとは、とても面白い発想です。

 

【NO.10】『 教室の 窓の向こうに 見える富士 履修の日々が 離愁に変わる 』

短歌職人
当たり前に淡々と過ごしていた日常が、もうすぐ当たり前じゃなくなる。窓の外の富士山を見ながら、そんな寂しさを思う作者の様子が歌われています。「卒業」という独特な感情を思い出させてくれる歌です。

 

以上、富士山を詠んだ短歌20選でした!

 

富士山は、いつの時代も私たち日本人にとっての心のふるさとであり、日本文化の歴史そのものといえます。

 

短歌職人
皆さんも、富士山に思いを馳せながら、ぜひ短歌を詠んでみてくださいね!