5月は新緑のシーズンで春に芽吹いた葉がみずみずしい緑色となり、風も清々しく気持ちの良い気候となります。
また、5月にはゴールデンウィーク、こどもの日や母の日などがあります。そのため、5月に作られた短歌には季節の爽やかさや、行楽、行事を題材としたものが多く見られます。
原っぱに ねころがりたい 草の上 5月の 風と 青空の下 #tanka pic.twitter.com/VktLxCicyT
— 葉の上かえる (@hanouekaeru) May 17, 2014
あてもなく
寂れた町を彷徨へり
5月の風に
背中を押され#短歌#tanka #5月の風に背中を押され pic.twitter.com/SBtlz7y7kW— 黒男 (@kuroneko402) May 19, 2017
今回は、そんな「5月」をテーマに一般の方が詠んだ短歌を20首ご紹介します。
5月をテーマに詠んだおすすめ一般短歌【前半10首】
【NO.1】
『 つばめ飛ぶ 皐月の庭に とりどりの つつじの花の 色ぞあふるる 』
5月はツツジの見頃でもあり、ツバメのよく見られる時期でもあります。この歌では季節を感じる言葉を上手に取り入れながら、美しい庭に感動したことを表現しています。結句の「色ぞあふるる」は強調で、色とりどりのツツジが咲く華やかな庭が目に浮かぶようです。
【NO.2】
『 雨上がり 草蒸し滴り 青々と 照らされ輝き 目にも鮮やか 』
「草蒸し滴り」は、雨上がりに立ち込める草の青い香りが伝わってくるような表現です。雨上がりの風景の中で植物に注目し、雨を受けて濡れた葉の若々しい輝きを詠んでいます。
【NO.3】
『 満開の ツツジにとまる アゲハ蝶 もうすぐ楽しい ゴールデンウィーク 』
【NO.4】
『 蒼空に 立夏始まる 節なりて 身体感じる 日差しの強さ 』
【NO.5】
『 お茶の葉の 香りにむせる 5月の日 茶摘みの唄よ 立夏を迎ふる 』
【NO.6】
『 大通り ゆるき坂道 ポプラの木 青葉茂りて 影を作らん 』
【NO.7】
『 連休の 俺が揺られる 快速電車 ゴールデンウィーク ゴールデンウィーク 』
【NO.8】
『 アングラー 魚求めて ひた走る 着いた釣り場は 釣り人だらけ 』
【NO.9】
『 連休の 街で出くわす 君の横 俺が見た夢 かなえた男 』
【NO.10】
『 初夏思ふ 陽の輝きは 強うなり 端午の節句 風は優しく 』
5月をテーマに詠んだおすすめ一般短歌【後半10首】
【NO.11】
『 こどもの日 山に登りて 驚きぬ 立夏を知らす 春蝉の声 』
【NO.12】
『 親子連れ いっぱい載せて 走り去る 電車の窓に 日暮れの陽射し 』
「日暮れ」とあるので、電車はレジャーなどから帰る親子連れがたくさん乗っていたのでしょう。夕焼けに照らされて走り去る電車を見送りながら、作者はそれぞれの親子の様子や、今が連休であることなどに思いを馳せたのでしょうか。
【NO.13】
『 こどもの日 五月の風は 菖蒲田に 邪気をはらうか 国旗はためく 』
【NO.14】
『 家の中 いても忘れぬ 柏餅 食べて感じる 季節の行事 』
【NO.15】
『 風もなく 空に泳げぬ こいのぼり まるで干物に されているよう 』
【NO.16】
『 五月晴れ 鯉の姿は 楽しけり 泳ぐ影まで 優雅にうつる 』
5月の鯉の歌ですが、こいのぼりではなく実際の鯉を詠んだ歌です。良く晴れていて、きれいな水場では泳ぐ鯉の影まではっきりと見えたのでしょう。鯉を眺めて楽しく時間を過ごす様子が想像されるほのぼのとした歌です。
【NO.17】
『 これ以上 赤い日のない カレンダー 五月は甘く 厳しく長い 』
ゴールデンウィークが終わると5月にはもう祝日はありません。長い連休の最終日に多くの人が思うであろう休みを惜しむ気持ちを詠んでいます。作者は再開される学業や仕事を思いながらカレンダーを眺めていたのでしょう。
【NO.18】
『 母の字に 冠ひとつ 載っけたら 赤くて甘い 苺になった 』
母の日の頃はちょうど苺の旬に当たります。季節感と、漢字の面白さを詠んだ歌ですが同時に、お母さんに冠をあげているところも空想してしまいます。作者のお母さんは、赤くて甘い苺のようにいつまでも可愛らしい人なのでしょうか。
【NO.19】
『 母の日に お手軽そうな 育て方 ならいいかなと ミニ胡蝶蘭 』
ミニ胡蝶蘭は手入れが難しくなく、見た目も可愛らしいのでプレゼントに人気があります。母の日の贈りものに、お母さんに手間をかけさせないような花を選んだのでしょうか。「ならいいかな」と軽い言葉遣いですが、さりげない優しさを感じます。
【NO.20】
『 口実を つくれることが うれしいな いつもありがとう カーネーションを 』
何でもない日にお母さんにありがとうを言うのは照れくさいのでしょう。しかし母の日には堂々と感謝を表せるため「うれしいな」というわけです。ありがとうと、実はいつも思っていることが伝わります。
以上、5月に関するオススメ一般短歌集でした!
5月は草木の緑や空の青さがきれいなので、つい外に出かけたくなるという人も多いでしょう。
皆さんもぜひ、連休を楽しんだことや、5月ならではの行事を題材にして短歌を作ってみましょう。
短歌の中に青葉や若葉、新緑などの緑を表す言葉を織り交ぜても5月らしさが出ますので試してみてください。